YOASOBIや、ずっと真夜中でいいのに。など、ボカロPが関与しているグループが注目を集める現在の邦楽シーンで、一際ミステリアスな存在を放つヨルシカ。
今回の記事では、謎多きバンドヨルシカの魅力に迫りつつ、ヨルシカ初心者が最初に聞くべきおすすめ曲10選を紹介します!
▼あわせて読みたい!
目次
ヨルシカとは?
ヨルシカのメンバー構成
ヨルシカとは、ボカロPとして活動していたコンポーザーn-buna(ナブナ)が、女性ボーカルsuis(スイ)を迎え入れ結成された、男女2人組のバンドです。
男女2人組といえば、2020年の紅白歌合戦に出場し話題となった、YOASOBIが思い浮かびますよね。
ボカロPがボーカルを迎え入れ、音楽を作っていくという形は、現在の邦楽シーンにおいて珍しいものではなくなっています。
▼あわせて読みたい!
メディアに顔出しをしないバンド
ヨルシカは、TVなどのメディアへの露出がほとんどなく、顔出しも一切行わないまさにミステリアスなバンドです。
その素顔はライブに行けば見ることはできますが、薄暗いステージ上にはスモークがたかれているため、ハッキリと目で捉えることはできないでしょう。
ヨルシカとよく比較対象にされるYOASOBIは、素顔を公開し、テレビの音楽番組を中心にメディア出演を頻繁に行なっています。
同じく比較されることの多いずっと真夜中でいいのに。は、顔出しはせずとも音楽番組に声のみで出演するなど、メディアへの露出は最近増えつつあります。
この2組と比べると、ヨルシカは圧倒的にメディアへの露出が乏しく、顔出しも一切していないので、世間一般で”ヨルシカ=ミステリアス”というイメージが先行する理由も頷けます。
物語をテーマに作られるアルバム
ヨルシカは2019年のメジャーデビュー後、現在までフルアルバムを3作リリースしてきました。
特筆すべきなのは、3作すべてコンポーザーのn-bunaが書き下ろした”物語”をコンセプトとして制作されているという点。
アルバム全体を通して一つの物語を描き、聞き手に考察を促すような構造となっています。
各物語を象徴するような単語が、曲中の歌詞として随所に散りばめられているのも特徴的です。
まるで曲全体の歌詞そのものが、物語を描いた小説であるかのような錯覚を起こします。
これまでの3作品をまとめると、以下のようになります。
1stフルアルバム「だから僕は音楽を辞めた」(2019年4月10日リリース)
音楽を辞めることになった青年エイミーがエルマへ向けて制作した楽曲が14曲収録されたアルバム。
エルマは、エイミーが旅をしている途中、雨の日のカフェテリアで偶然出会った少女です。
エイミーとエルマの出会いから始まり、エイミーが音楽を辞め、毒で自ら命を絶つまでの時間軸が描かれています。
ヨルシカ 1st Full Album「だから僕は音楽を辞めた」
本日フラゲ日ということで、すでに手にしていただいている方、たくさんいるようですね。ありがとございます!
音楽と物語と十分に楽しんください♪ pic.twitter.com/xAnQI3KexN— ヨルシカ(n-buna、suis) / Official (@nbuna_staff) April 9, 2019
2ndフルアルバム「エルマ」(2019年8月28日リリース)
前作の続編で、前作の主人公であるエイミーから送られてきた手紙に影響を受けたエルマが手掛けた楽曲14曲が収録されたアルバム。
アルバムの最後に収録されている曲「ノーチラス」で、前作から続いた2人の物語が完結します。
【お知らせ】8/28発売するヨルシカ 2nd Full Album「エルマ」の通常盤のジャケ写を公開しました。
初回盤の仕様イメージはもう少しお待ちください。
また、初回盤日記帳の内容の一部も公開しました。
合わせてご覧ください。https://t.co/4oMcOBG42P pic.twitter.com/Vc0CvwraYv— ヨルシカ(n-buna、suis) / Official (@nbuna_staff) July 12, 2019
3rdフルアルバム「盗作」(2020年7月29日リリース)
音楽の盗作をする男を主人公とした男の破壊衝動を形にした楽曲14曲が収録されたアルバム。
「だから僕は音楽を辞めた」「エルマ」で描かれた物語とは全く別の登場人物、世界線で物語は進んでいきます。
アルバムの収録曲をすべて聞くことで、物語の情景を頭に浮かべながら、密度濃く楽しめるのがヨルシカのアルバムの魅力です。
物語の時系列とは関係ない順番で曲が収録されており、少し複雑な作りとなっているのも、物語をリスナー個人に考察させるための工夫なのではないでしょうか。
ヨルシカ 3rd Full Album「盗作」
アルバム配信が開始されました。
各配信サイト、サブスクリプションサービスにて是非お聴きください。#ヨルシカ_盗作 pic.twitter.com/k2bxfknRzn— ヨルシカ(n-buna、suis) / Official (@nbuna_staff) July 28, 2020
2019年のメジャーデビュー前にリリースされた1stミニアルバム「夏草が邪魔をする」と2ndミニアルバム「負け犬にアンコールはいらない」については、どちらも「夏」を題材に制作されたコンセプトアルバムです。
ヨルシカ・おすすめ曲10選
ヨルシカの曲一つひとつが物語を構成する要素であるということは、十分お分かりいただけたのではないでしょうか。
ここではヨルシカの紡ぐ物語、独自の世界観に浸れる、最初に聞くべき至極の10曲をリリース順に1曲ずつ紹介していきます。
”ヨルシカワールド”に迷い込んだ気分で、ぜひ最後の1曲までお楽しみください。
靴の花火
THE・ヨルシカといったようなミディアムテンポで優しいメロディーが、寄り添うように鼓膜を刺激する「靴の花火」。
ヨルシカのメジャーデビュー前にリリースされた、「夏」を題材とした1stミニアルバム「夏草が邪魔をする」に収録されている楽曲です。
Aメロの頭で「ねぇ ねぇ」と問いかける歌詞が、「君」のいない夏の切なさを演出しています。
青春時代の夏休みの花火大会、夏祭りに淡い特別な記憶が残っているリスナーは、この曲を聞いてどこか懐かしいような、むず痒いような感情を抱くのではないでしょうか。
夏の終わり頃、まだ夏特有の蒸し暑さが残る夜に、見慣れた道を歩きながら聞きたい1曲です。
ただ君に晴れ
ヨルシカの全楽曲の中で、おそらく最も知名度が高い楽曲「ただ君に晴れ」。
「夏」を題材とした2ndミニアルバム「負け犬にアンコールはいらない」に収録されています。
耳馴染みがよく軽快なギターサウンドと真っ直ぐで透明なsuisの歌声、爽やかな夏の匂いを想起させる歌詞が融け合い見事に調和した、まさにヨルシカを代表する一曲となりました。
サビで登場する2拍の手拍子がフレッシュさに拍車をかけ、涼しげな夏の情景を演出しています。
ヨルシカ公式youtubeの「ただ君に晴れ」のMV総再生回数が凄まじく、2020年8月に大台となる1億回を突破。
2021年7月現在は1億3千万回を超え、1億4千万回に迫る勢いとなっています。
このまま右肩上がりでヨルシカの知名度が上がり続ければ、2億回再生も夢ではないですね。
爆弾魔
重々しく、破壊衝動を感じるタイトルからは想像できないような、軽快なギターサウンドに疾走感のあるメロディー、毒のある歌詞がクセになる「爆弾魔」。
メジャーデビュー前にリリースされた2ndミニアルバム「負け犬にアンコールはいらない」に収録されており、同アルバム内でも異彩を放つ一曲となっています。
「ずるいよ」「ひどいよ」「さよならだ」など、心の奥底から溢れ出てくるような素直な感情表現が歌詞に多用されており、随所でsuisの歌唱表現に工夫が感じられるのも特徴的です。
3rdフルアルバム「盗作」に本楽曲のリレコーディングが収録されており、ヨルシカにとって重要な1曲であることが伺えます。
一度、原曲とリレコーディングver.の双方を交互に聞き比べてみてはいかがでしょうか。
聞き比べることで、より一層「爆弾魔」という楽曲の魅力に引き込まれること間違いなしです。
だから僕は音楽を辞めた
1stフルアルバム「だから僕は音楽を辞めた」の表題曲として収録されている楽曲。
音楽を辞めることになった青年エイミーを主人公とした物語をテーマに作られたアルバム「だから僕は音楽を辞めた」において、物語を語る上で欠かせない、文字通り重要な楽曲となっています。
Youtubeでの再生回数は、「ただ君に晴れ」に続き1億回再生を突破。
「ただ君に晴れ」と肩を並べる、ヨルシカを代表する楽曲です。
滑らかで繊細な歌い出しに合わせるように演奏される、高速のピアノサウンドが心地よく、繰り返し聞いていると、メロディーすべてが五臓六腑に染み渡るような感覚に襲われます。
ピアノサウンドが印象に残る創りとなっているのは、青年エイミーは元々ピアニストに憧れていた、という設定によるものだからです。
パレード
間奏に流れる、力強く、そして美しい音色のバイオリンが耳に残る「パレード」。
1stフルアルバム「だから僕は音楽を辞めた」に収録されている楽曲です。
歌詞として何度か登場する「一人ぼっちのパレード」というフレーズが、普段耳にすることのない言葉でとても印象的です。
孤独を表す「一人ぼっち」と、大勢で練り歩くことを意味する明るいイメージの「パレード」という、対極関係にある2つの単語の組み合わせにより、主人公エイミーの内に秘める寂しさをより一層引き立てています。
藍二乗
序盤から軽快なギター音が鳴り響き、ロキノン系ロックバンドが演奏していても違和感のないような、疾走感のある硬質なバンドサウンドが心揺さぶる楽曲「藍二乗」。
1stフルアルバム「だから僕は音楽を辞めた」に収録されています。
エモーショナルなピアノ演奏も随所に組み込まれており、ヨルシカならではの多様性のある演奏隊がフルに活躍している楽曲です。
タイトルに含まれる「藍」とは、デニムなどの染料として使用されるタデ科の植物で、一般的に言われる「藍色」とは、暗く染め上げられた深く濃い青色のことを指します。
サビの頭に「ただ、ただ」と繰り返す歌詞が印象的で、suisがこの部分を叙情的に歌い上げることで、主人公エイミーの物語が切ない結末へと向かっていくことを予感させます。
エイミー
見えない「君」の面影を追い続ける切ない歌詞と、suisの生き生きとした生命力溢れる歌声が印象的な楽曲「エイミー」。
本楽曲は2ndフルアルバム「エルマ」に収録されており、同アルバムには、前作の主人公エイミーから送られてきた手紙に影響を受けたエルマが手掛けた楽曲が詰め込まれています。
前作の1stフルアルバム「だから僕は音楽を辞めた」には、本楽曲「エイミー」の対となる「エルマ」という楽曲が収録されていて、「エルマ」の歌詞の中には”エルマ”という単語が散りばめられているに対し、「エイミー」の歌詞には”エイミー”という単語は一切登場せず、全て「君」と表現されているのがポイントです。
対となる楽曲「エルマ」と比較しながら、ぜひ本楽曲「エルマ」を聞いてみてください!
心に穴が空いた
軽やかでメロディックなピアノのイントロで心を掴まれ、その揚感が加速するサビ。まるでジェットコースターのような感覚を耳で味わえる一曲が「心に穴が空いた」です。
2ndフルアルバム「エルマ」に収録されており、同アルバム内で最も直球で、切ないタイトルです。
疾走感のあるピアノサウンドがメインに展開されますが、背後でギターサウンドも掻き鳴らされており、心に棲みついた「脆さ」の中にも「強さ」があることを表現しているように思えます。
曲を聞くだけでは気が付かないのですが、歌詞の中で「心に穴が空いた」と「心に穴が開いた」で漢字が使い分けられているのも注目ポイントです。
花に亡霊
タイトルに含まれる「亡霊」という単語や、歌い出しの切なさ溢れる歌詞が印象的な「花に亡霊」。
入道雲が夏空にゆっくりと流れゆく様を彷彿とさせる優しいメロディーに、「アイス」「木陰」「氷菓」など夏の季語を表す歌詞が相まって、幼少期の夏の思い出を甦らせてくれる楽曲です。
2019年4月に配信リリースされたのち、2020年7月に発売されたヨルシカの3rdフルアルバム「盗作」にも収録されています。
2020年6月にNetflixにて全世界独占配信されたアニメーション映画「泣きたい私は猫を被る」の主題歌となっており、音楽ファン以外の層からも幅広く知られています。
「泣きたい私は猫を被る」通称「泣き猫」は、映画「ペンギン・ハイウェイ」で一躍ヒットしたスタジオコロリドが手掛ける劇場作品第2弾で、「花に亡霊」が主題歌として作品に彩りを加えました。
「泣き猫」を観たうえでじっくり聞くと、作品の世界観との親和性がより感じられ、「亡霊」という単語がタイトルに組み込まれている意味にも気づくでしょう。
春泥棒
2021年1月に配信リリースされた、アコギによる優しい音色のイントロが特徴的な「春泥棒」。
大成建設のTVCM「ミャンマー」篇のタイアップソングであり、「どこかで聞き覚えがある」「この曲でヨルシカを知った!」といった人は多いのではないでしょうか。
「春泥棒」という、誰が聞いても違和感のあるタイトルは、インパクト絶大で覚えやすいですよね。
30秒間の美しいアニメーション映像と、楽曲の桜がひらひら舞うような軽やかなメロディーが融け合い、大成建設のTVCMは一本の作品として非常に完成度が高いものとなっています。
サビ頭の「はらり」という言葉や、歌詞の中に数多く散りばめられている「花」という言葉が、桜そのものや日本特有のお花見文化をリスナーに強く連想させるのも魅力的です。
ヨルシカの最新情報
「言って」のMVが1億回再生を突破
ヨルシカ「言って。」のミュージックビデオの再生数が1億回を越えました。
ありがとうございます!
今後とも是非!https://t.co/hUMFEZLCVS pic.twitter.com/wCpiNZ7nS0— ヨルシカ(n-buna、suis) / Official (@nbuna_staff) July 27, 2021
2021年7月27日、ヨルシカの代表作「ただ君に晴れ」「だから僕は音楽を辞めた」に続き、「言って」のMVのyoutube再生数が1億回再生を突破しました。
ノスタルジックな実写映像を背景に、シンプルな線で描かれた幼い顔の女の子が歌いながら独特な踊りを見せる、コミカルで可愛らしいMVとなっています。
ヨルシカのライブ情報
ヨルシカ LIVE TOUR 2021「盗作」
スマホサイト「後書き」会員で来場される方への企画詳細を掲載しました。
来場される会員の方はご確認ください。
(当日入会でも参加可能です)https://t.co/QE9FabgiYs— ヨルシカ(n-buna、suis) / Official (@nbuna_staff) July 28, 2021
ヨルシカは、2021年8月1日の札幌公演を皮切りに”ヨルシカ LIVE TOUR 2021「盗作」”を開催。
その後は仙台、名古屋、大阪、福岡、東京の順で周り、10月2日に最終日を迎えます。
ヨルシカは頻繁にライブを行うようなバンドではないので、ファンは貴重な機会を逃さずライブに参加したいところですね。
ヨルシカまとめ
ヨルシカのおすすめ楽曲10選を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
2021年6月7日に最新シングル「又三郎」を配信リリースし、新たな一面を見せたヨルシカ。
常にリスナーの予想を遥かに上回り、エモーショナルで透明度の高い音楽を世に放つヨルシカの今後の活動からは、目を離すヒマもありません。
本記事を読んで「ヨルシカの曲をしっかり聞いてみたい!」と思っていただけたなら、
「だから僕は音楽を辞めた」「エルマ」、2つのアルバムを通しで聞いてみることをおすすめします。
エイミーとエルマの2人で紡がれる物語を、ぜひ全曲通して味わってみてください!
▼あわせて読みたい!