チェンソーマン – 【早川アキ】デンジの兄貴分的存在の魅力とは?

チェンソーマン – 【早川アキ】デンジの兄貴分的存在の魅力とは?

全11巻大好評発売中の藤本タツキの漫画、『チェンソーマン』。制作会社MAPPAによるアニメ化も決定しまだまだ勢いが止まらない本作には数多くの魅力的なキャラクターが登場します。

今回は第2回公式人気投票で堂々1位を獲得した、早川アキの魅力を徹底解説します!

チェンソーマンとは?

あらすじ

私達が住むこの世界とよく似ているものの、地獄から現れる悪魔が人類に害を成す世界。
極貧デビルハンターのデンジはスラムに住む16歳の少年。亡き父の借金元のヤクザに安い報酬でこき使われています。
そんなデンジの心の支えは数年前に出会ったポチタ。チェンソーが生えた犬の姿をしたポチタは、天涯孤独のデンジにとって唯一の友とも相棒とも呼べる存在です。
そんなある日、デンジはゾンビの悪魔の下僕になりはてたヤクザの罠にかかり、ポチタともども殺されてしまいます。
ダストボックスに瀕死の状態で遺棄されたデンジにポチタが人間の言葉で喋りかけ、彼の心臓の代わりを果たして甦らせました。
頭と両腕にチェンソーを生やしたチェンソーマンとして再誕したデンジは、公安デビルハンターのマキマのスカウトを受け、特異4課に配属されるのでした。

藤本タツキとは?

『チェンソーマン』の作者。他連載作にジャンプ+で連載していた『ファイアパンチ』、読みきりの『予言のナユタ』『ルックバック』。
高校時代よりウェブ漫画投稿サイト「新都社」に投稿していました。2013年に『恋は盲目』でデビュー。
ながやまこはる名義でTwitterをしており、こちらでは藤本タツキの妹という設定を遵守しています。

早川アキとは?

早川アキの基本情報

早川アキは公安退魔特異4課に所属するデビルハンターです。

出身は北海道、初登場時には都内のアパートで独り暮らしをしていました。のちにデンジやパワーと共同生活を始めました。階級的にはデンジの3年先輩にあたります。

年齢は不明、黒いスーツが基本スタイル。黒髪を後頭部の高い位置でくくっています。なお狐の悪魔にイケメン認定されている好青年。

先輩の姫野が相棒でしたが、彼女の殉職後は天使の悪魔(エンジェル)とタッグを組みました。
性格は礼儀正しい常識人。デンジやパワーの無礼な振る舞いに声を荒げることはありますが、根はストイックで真面目な性格です。

一人暮らしが長いせいか家事スキルが高く、早川家の料理番を担っています。ちなみに早川家とはアキ・デンジ・パワーの三人をまとめた通称で、彼らが共同生活をしているのに由来します。

早川アキの過去

早川アキは元々両親・弟を含む4人家族でした。生まれは北海道で人里離れた雪深い森の近くに住んでいました。
幼い頃のアキは弟のタイヨウを妬んでいました。両親は病弱なタイヨウの世話で手一杯で、アキへの対応が疎かになっていたのです。

ちなみにタイヨウとは3歳差で、公安デビルハンターとしての経歴がデンジと3年差なのとリンクします。
マキマが引用した「都会のネズミと田舎のネズミ」の絵本を、両親が熱を出したタイヨウに読んであげている描写があります。時キャッチボールの約束をした父親が来ないのに業を煮やしたアキが呼びにくると、父親はこう言いました。

「タイヨウの具合が良くないんだ。一人でできる遊びをしなさい」

さらに母親が追い討ちをかけました。

「お兄ちゃんはお兄ちゃんなんだから 我慢して一人で遊びなさい」

野球帽を目深に被ったアキは怒って出ていきます。病弱な次男を優先する両親の心情は理解できますが、まだ幼いアキが可哀想ですね……。
アキは両親の関心を独占するタイヨウを嫌って冷たく当たるものの、タイヨウは兄を慕い、一緒にキャッチボールをやりたがりました。

しかしグローブを持ってないので、手が冷たくなるのを心配したアキは「とってこい」とタイヨウに命じます。

そしてタイヨウが家に飛んで帰った瞬間、惨劇がおきました。

日本に上陸した銃の悪魔が、家ともどもアキの家族を踏み潰したのです。この時銃の悪魔がだした死者は世界中でのべ110万人、たった7分間の出来事でした。

目の前で家族を殺されたトラウマはアキの人生に甚大な影響を及ぼし、以降家族の復讐だけが生きる原動力になります。

公安デビルハンターを志望した動機は銃の悪魔を倒し家族の仇をとることで、その為なら寿命すら惜しまず未来の悪魔にさしだします。

なお東京に出てからも家族の命日は必ず北海道に墓参りに戻るなど、優しい一面が窺えますね。

早川アキの初登場回

早川アキの初登場回は第3話、『東京到着』。公安メンバーとしてはマキマに次ぐ早さです。この事からも作中重要ポジションであるのが伝わりますね。単行本では1巻に収録されています。

初登場時のアキの印象は決して良いものとは言えません。

アキはマキマの部下として東京本部に登庁し、初顔合わせとなるデンジと組んで仕事へ行くように命じられます。

アキは言われた通りデンジを連れて現地に赴きますが、途中で「マキマさんって男いんの?」と下心まるだしの無礼な質問をされ態度が豹変。

物も言わず路地裏に連れ込んで、デンジをぶん殴りました。

「軽い気持ちで仕事するヤツは死ぬ」

「生きてるヤツはみんな根っこに信念があるヤツだけだ」

アキに容赦ない鉄拳制裁をくらったものの、やられっぱなしのデンジではありません。すかさず殴り返し、これにアキが応戦して泥仕合に。殴り合いの最中にアキもまたマキマに惚れている事実が暴露され、二人ボロボロの状態で帰還します。

出会いは最悪の二人。その上一緒に住むようにマキマに命じられ、アキの受難が幕を開けるのでした。

早川アキとデンジの関係

アキとデンジは先輩後輩の関係です。アキがデンジの3年先輩にあたります。
第一印象で殴り合いの喧嘩を繰り広げた事実からもわかる通り、初対面時のアキは決してデンジを認めていません。平気でタメ口を叩く、スケベな妄想や発言をするなど、マキマへのなれなれしい態度に露骨に不快感を示しました。

これはマキマに好意を持っているのは勿論の事、生来の潔癖さや真面目さに起因するリアクションです。その根拠として、デンジのデビルハンターとしての覚悟の足りなさも怒りの原因でした。生真面目なアキからすれば、昨日今日入った新人が上司にタメ口を叩くなど言語道断だったんでしょうね。

……が、これはアキの優しさの裏返しともとれます。

公安デビルハンターは殉職率が凄まじく高い仕事です。民間が手に負えない案件を率先して引き受ける性質上、アキはたくさんの同僚を見送ってきました。

開口一番「お前仕事やめろ」とぶん殴ったのは、デンジの身を心配したからともとれます。

初登場時はなかなかバイオレンスなアキでしたが、早川家の生活がスタートを切ると、次第にデンジやパワーに対して愛着を抱き始めます。

ともに死線をくぐり日常を過ごすうちに、疑似家族めいた連帯感が3人の間に芽生えたのでした。2人を伴い実の家族の墓参りと称した北海道旅行にも行きました。

早川家におけるアキの立ち位置は長兄で、デンジ(弟)パワー(妹)を導く立場です。実の家族に与えられた役割と同じですね。

因縁の宿敵である銃の悪魔と決戦が決まった時、アキは天使の悪魔を同行し、パワーとデンジを戦闘から外してほしいとマキマに直談判に行きます。

しかしそれが裏目に出てマキマに殺された上、憎むべき銃の悪魔と融合させられ、大虐殺を引き起こしてしまうのでした。

犠牲者遺族の応援を受けたデンジ=チェンソーマンは激闘の末に銃の悪魔を倒します。

その間アキは子供に戻り、デンジと雪合戦をする幸せな夢を見ていました。最後に夢の中で見たデンジは泣きながらアキに雪玉を投げており、絶望的な別れを暗示します。
ちなみにデンジが泣いたのはこれが初で、早川家での日々が彼を人間的に変えたのがわかる名シーンです。

早川アキとマキマの関係

マキマは早川アキの直属の上司で想い人にあたります。美人で巨乳で有能なマキマにアキは好意を持っており、それもあってデンジの言動に不快感を示しました。
マキマには基本的に敬語で礼儀正しく接します。マキマもアキを「アキくん」と呼んで一定の信用を見せていました。マキマの決定に逆らうことは殆どなく、住む家のないデンジと同居を命じられた時も渋々承諾しています。

ところがマキマへの恋愛感情はフェイクだったと74話で判明し、読者に激震が走ります。

支配の悪魔であるマキマは人の感情を支配する力を持っていました。それを用いてアキに好意を植え付け、都合よく使っていたのです。

実際74話時点でアキの洗脳は解けかかかっており、「俺なんでこの人のこと好きだったんだっけ?」と自問していました。

アキの性格上上司への敬意の念は持っていたでしょうが、それと恋愛感情は分けて然るべきものです。

未来の悪魔との交渉時アキは「復讐できれば残り寿命なんてどうでもいい」とし、自分の死期に関する質問を一切していません。

そんな復讐以外興味のない彼が色恋沙汰に現を抜かすとは考えにくく、ほぼ初対面のデンジに手を上げるほど嫉妬するのも不自然です。

74話にてアキはマキマに殺害され、銃の悪魔と融合させられてしまいました。マキマの中では彼もまた忠実な飼い犬の一匹にすぎなかったのかもしれません。

早川アキと姫野の関係

姫野はアキの先輩で指導者にあたる女性です。サムライソード編までの相棒も務めました。初登場回は第10話、ヒルの悪魔に苦戦を強いられるデンジの助っ人として駆け付けます。

その後公安特異4課の親睦会では酒豪ぶりを披露しデンジの初キスをゲット。ところが勢いで吐いてしまい、お持ち帰りしたデンジにちゃっかりアキとの繋ぎ役を頼んでます。

アキにはまるでその気がありませんでしたが、姫野はアキに片思いしていました。おそらくかなり早い段階で好意が芽生えていたと思われます。アキが喫煙者なのもチェーンスモーカーの姫野の影響です。

回想シーンでは復讐に固執して死に急ぐ新人時代のアキをたびたび諭す一方、彼の青臭い信念に好感を持っていました。

姫野の口癖は「アキくんは死なないでね」。同じ戦場にいても別行動をとる際は必ずこの言葉を口にします。

姫野はアキと組んだ時点で既に5人の相棒に先立たれており、誰より彼を失うことを恐れています。

アキも姫野には多大な信頼をおいており、サムライソード編で彼女が命を落とした際は酷いショックを受けていました。

アニメのPVには姫野とアキが裸で添い寝しているシーンがあり、「実はもっと深い仲だったんじゃないか?」「マキマに記憶改変されたのでは?」と憶測を呼んでいます。確かに、マキマの能力を考えれば姫野への好意を自分にスライドさせた可能性は大いにありえそうです。

第2回人気投票でアキが1位を獲得した時には、姫野との相棒時代のエピソードが描き下ろされています。

早川アキと天使の悪魔の関係

天使の悪魔(エンジェル)はサムライソード編以降のアキの相棒です。触れた人間の寿命を吸い取る力をもっています。
そんな自分に身を挺して手をさしのべてくれたアキに信頼をおいており、良好なバディ関係を築きました。狐の悪魔およびカースと契約が切れて武器が使えなくなったアキに、自分の寿命を使って新しい刀を提供しています。

デンジ・パワーの離脱を望むアキが、マキマへ直談判に赴く際にも付き添いました。なおアキはエンジェルをバディに迎え入れる際に煙草を捨てており、これは姫野への決別を表すと推測されます。

早川アキの契約悪魔

この項目では早川アキが契約している悪魔を紹介していきます。

狐の悪魔

頭部に大小複数の目をもつ巨大な狐の悪魔です。女性的な口調のメンクイで、頭部を召喚できるのはイケメンの特権です。フツメン以下は末端部位しか使わせてもらえません。アキは頭部を召喚できたので狐の悪魔のお気に入りだったんでしょうね。
召喚部位に応じた形の手印、および「コン」の鳴き声で姿を現します。爪による斬撃や噛み付きが主な攻撃方法でした。
強大な悪魔でしたが、アキにサムライソードに食い付けと命令され、そのあまりのまずさに辟易して嘔吐。アキを見限って契約を解消します。

呪いの悪魔

アキが契約していた悪魔で通称カース。ドイツの刺客、サンタクロースとも契約していました。釘で相手の身体を打ち付け、代償をさしだすことで呪殺を完成させます。アキはカースの力を宿した、五寸釘によく似た形状の刀を愛用していました。
アキは対象に3回刀を刺すことで自らの寿命を削り、呪いを発動します。

未来の悪魔

アキが契約していた悪魔。普段は公安の独房に監禁されています。契約者の身体の一部や感覚、寿命と引き換えに千里眼で未来を予言します。
人の形をした樹木のような悪魔で、幹の洞に頭を突っ込むことで相手に未来を見せることが可能です。アキに「最悪の死に方をする」と宣告し、その結末の面白さを気に入って破格の条件で契約します。

早川アキの名シーン・名セリフ

「姫野先輩、聞こえるか?オレ達からアンタへの鎮魂歌だ」

デンジと共闘の末サムライソードを倒したアキのセリフです。
復讐に魂を売り渡したアキは怒りをおさえきれずサムライソードを殺そうとしますが、「金玉蹴ってでっかい悲鳴上げさせた方が勝ち!」と提案するデンジに毒気をぬかれます。
子供のようにはしゃいでサムライソードの金玉を蹴飛ばす二人がとても微笑ましく清々しい名シーンです。

「言わなくもていい。自分の死に方には興味ない」

カースに死に様を教えてやろうかと問われて返したセリフ。家族の復讐を果たせず死ぬのが怖いだけで、この時のアキは死ぬこと自体を恐れていませんでした。それがデンジやパワーとの生活で徐々に変わっていきます。

「俺が死んだその時に笑いに来てください」

自分と境遇の似た京都公安の黒瀬の揶揄に対して言ったセリフ。黒瀬もまた銃の悪魔の暴虐により大事な人を亡くしていましたが、復讐に人生を捧げるのに疲れ果て、敵討ちを諦めます。そんな黒瀬は銃の悪魔への復讐に拘泥するアキを嫌悪して皮肉り、上記の啖呵を返されました。
アキの不敵さが伝わる名シーンです。

「怖気づきました」

銃の悪魔討伐戦前のアキのセリフ。デンジやパワーとの毎日で日常の大切さ、家族に等しい存在への愛情に気付いたアキは、既に以前のような孤独な青年ではありませんでした。
彼は自分の気持ちの変化を正直に認め、デンジたちを守ろうと誓います。

「デンジとパワーだけは……生きて……幸せになってほしいんです……」

銃の悪魔討伐の決定後、デンジとパワーを戦線から外すようにマキマに頼みに行った時の言葉。厄介者の居候にすぎなかった二人を家族と認め、再び失うのを恐れる葛藤が伝わってきます。

「何泣いてんだよ…」

銃の悪魔と融合したアキが、チェンソーマンに倒される際に夢の中で発したセリフ。この時アキは幼いデンジと雪合戦で遊ぶ、幸せな夢を見ていました。子供の頃は病弱な弟がいて、おもいきり遊べなかったアキ。やはり不幸な生い立ちで、子供らしい遊びを経験したことなどなかったデンジ。
そんな二人が再び子供に戻って遊ぶも現実のアキは既に死亡し、デンジは泣いています。
切なさでは『チェンソーマン』屈指の名シーンです。

まとめ

以上、『チェンソーマン』を支えた魅力的なキャラクター早川アキの紹介でした。
エキセントリックな登場人物がそろった中で常識人代表の感性を持ち合わせたアキ。思えばそれこそが彼の不幸の始まりかもしれません。
マキマの野望に利用されショッキングな最期を迎えますが、彼の生き様はデンジに確かに焼き付きました。
早川アキをさらに深く知りたい方は、ぜひ『チェンソーマン』原作をお読みください。

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