ぼっち・ざ・ろっく!OP・ED・劇場版の主題歌、劇中歌を全曲解説

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ぼっち・ざ・ろっく!劇中歌・SP

「ギターと孤独と蒼い惑星(ほし)」結束バンド


2022年11月5日放送の第5話と、2022年11月26日放送の第8話で使用された劇中歌。ライブハウス「STARRY」のライブに結束バンドとして出演するため、店長(伊地知星歌/虹歌の姉)のオーディションを受ける時に演奏ひとりは自分のためでなく、虹歌の本当の夢のため、4人のためにバンドを続けたいと目的を明確にし覚醒しました。

眩しい外界に圧され、〈息・心臓・ギター〉の音しか聴こえない1人きりの世界で、高鳴る鼓動のように音楽がリズムを刻みます。大切なオーディションなのに、ひとりが「こんなオーディションなんかで落ちるわけにいかない」と決意を固めた瞬間が、歌詞中の〈聞いて 聴けよ〉と、音であふれる惑星に攻撃的なほど主張し、意志の強さもリンクします。

MEMO

音楽ディレクターの岡村弦曰く、結束バンドの緊張感ある演奏を再現するために、レコーディングではドラムのOKテイクの後、あえて“緊張してもたつく演奏”で録り直していたりと、楽器陣にもリアル感を追求しています。

「あのバンド」結束バンド


2022年11月16日放送の第6話と、2022年11月26日放送の第8話で使用された劇中歌(第6話ではインストゥルメンタル版「あのバンド-路上ライブ instrumental-」として使用され、第8話ではSTARRYのライブで披露されました)。

〈あのバンドの歌が誰かにはギプスで〉という歌詞からは、“視点によって正義は異なる”という、前のバンドが売れ線を意識した方向に進んだことで脱退したリョウの過去がよぎります。〈背中を押すなよ・容易く心触るな〉と、刃のような孤独と多数派意見に飲まれない鋼の鎧も思わせて、激しくも切ないロックナンバーです。


演奏前に、突然ひとりの独奏が始まり、アイコンタクトで曲を始めるリョウと虹夏、臨機応変な音響・照明スタッフ、見守る店長たち、戸惑いと緊張が漂う喜多と客席という“突発と安定”がライブ感があります。メンバー間の絆を強くした1曲です。

MEMO

ボーカル喜多役の長谷川も、ローテンションの本曲をかっこよく歌うことを大事にし、「全曲の中で歌うのが1番難しかった」と語っています。

「ワタシダケユウレイ」SICK HACK


2022年12月10日放送の第10話で使用された劇中歌には、結束バンドではなく、スリーピースバンドSICK HACKが初登場しました。新宿のライブハウス「FOLT」を拠点に活動し、リョウもファンだと断言するサイケデリック系インディーズロックバンド。ひとりが先輩バンドから学びを得るカリスマ的ライブシーンで少しだけ披露されました。


三味線の撥で演奏するベーシスト兼ボーカルの廣井きくりは、日常もライブ中も酒を手放さないほどの酒豪で、奇行がちなところも魅力。第6話では「敵を見誤るなよ」と、ひとりに自信をつけさせるために即興路上ライブを決行したり、音楽に対する想いが熱い先輩バンドマンです。

「忘れてやらない」結束バンド


2022年12月24日放送の第12話はOPテーマはなく、文化祭ステージで演奏された本曲でスタート。学園祭らしい賑やかで盛り上がるサウンドですが、〈狭い教室・キリトリ線で区切れた僕の世界〉〈嫌いな僕の劣等感と他人と違う優越感と〉と、“オトナとコドモ”の中間の無垢な葛藤を綴っています。歌い出しの〈ぜんぶ天気のせいでいいよ〉が、どうしようもない感情を、チャラにしてくれているようで、心も軽くなります。


MV映像は、教室と町という狭い空間から飛び出した虹夏が空中で止まっているという動きのない映像に。太陽の光がキラキラと反射し、自分が「コレだ!」と思えるものと出会った瞬間を切り取っているよう。複雑に音を重ねて、マイナスな感情をプラスに彩る青春ド真ん中ソングです。

「星座になれたら」結束バンド


2022年12月24日放送の第12話で、「忘れてやらない」に続き、文化祭ステージの2曲目として使用された清々しい曲調の劇中歌。演奏途中、ひとりのギターの弦が切れてしまいますが、当初ギターが弾けなかった喜多がアドリブでギターソロを入れてアシストし、ひとりはステージに転がっていたきくりの酒瓶を使って「ボトルネック奏法」で難を乗り切る、という名シーンの楽曲。


終盤の歌詞〈遥か彼方 僕らは出会ってしまった〉が、4人の運命や信頼感を表現しているようで胸も熱くなります。トラブルが発生しても、演奏シーンがスローになったり止まることもなく続行したアニメ映像が、手に汗握る臨場感のある演出で泣かせてきます。


編曲の三井律郎も、弦を切ってボトルネック奏法に切り替えて最後まで実演した動画を配信しています。「これぞギターヒーロー見参だ!」とファンを沸かせたかっこいい再現です!

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「ボトルネック奏法」とは、ギターの弦にスライドバーという棒をあてて、弦をフレットに押さえずに特有の音色を出す演奏方法。ガラスや金属、陶器など、弦にあてる素材や演者の技法によって音の幅が広がります。ライブの土壇場で出た、ひとりが培ってきた努力の賜物です。

「フラッシュバッカー」結束バンド


2022年12月24日放送の第12話放送直後に公開された本PVには、アルバム『結束バンド』の新規収録曲の「フラッシュバッカー」が使用されました。レコードのようなこもったイントロがノスタルジックで、タイトルの通り、第1話からの4人の軌跡が蘇ります。

初めは、青春ソングや応援ソングを薄っぺらいと感じていたひとりも、結束バンドに加入することで環境も心境も少しずつ変化してきました。歌詞は色や光の表現が豊かになり、出会った人たちの温かな言葉も宝物になっていることが伝わり、喜多役の長谷川も、ひとりの変化が嬉しかったと語っています。聴き手も自身の青春の思い出が巡り共感を生む名曲。


長谷川育美(Vo)、音羽-otoha-(Gu)、三井律郎(Gu)、比田井修(Dr)、高間有一(Ba)のスペシャルメンバーで構成した一発撮りのスタジオ収録ライブ映像も必見。長谷川のブレスの美しさや、楽器の一音一音、音羽-otoha-のハーモニーと、すべてが際立っています。ちなみに、普通はパートに分けて録る歌録りも一発録り。音楽制作チームは長谷川を絶賛しています。

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作詞作曲を担当した音羽-otoha-も、本曲を自分なりの表現も残しておきたいとセルフカバーし、2023年4月にリリースしたミニアルバム「Unlockable」に収録。ストリングスを入れてアレンジし、自身もレコーディング中に密かに泣いてしまったそう。結束バンドにはない違う世界線の曲に生まれ変わっています。

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