「かくしごと」アニメの世界観を強調するOP・ED主題歌を徹底解説!

「かくしごと」アニメの世界観を強調するOP・ED主題歌を徹底解説!

漫画家・久米田康治原作で、2020年4月からアニメが放送された「かくしごと」

ちょっと下品なギャグ漫画を描いている後藤可久士(ごとう かくし)が、一人娘である後藤姫(ごとう ひめ)にそれを隠しつつ、仕事に子育てにと奮闘するストーリーです。

「描く仕事」を「隠し事」にして進んでいくストーリーは、コメディタッチではあるものの、父と娘ならではの関係性にホロリとする場面もあります。

そんなストーリーの魅力をさらに深めてくれているのが、オープニング曲とエンディング曲。この記事では、アニメ「かくしごと」のOP・EDの魅力を徹底解説します。

オープニング曲:flumpool「ちいさな日々」

「何気ない日々の小さな幸せ」をテーマにつくられたOP

「かくしごと」のオープニングを飾るのは、flumpoolの「ちいさな日々」。

「何気ない日々の小さな幸せ」をテーマにつくられた楽曲は、夕暮れの公園を舞台に描かれています。

歌詞の中にも


「夕焼けの下 ブランコに乗った」
「行ったり来たり 軋む鎖の音」
「5時半のチャイム」

と、場面を想像させる言葉が散りばめられています。

また、楽曲内で印象的なのが、イントロがないということ。
ボーカル・山村隆太の力強い「舞い上がれ」という一言から楽曲が展開されていきます。

アニメの映像では、後藤可久士と姫が向かい合っている中、桜がひらひらと舞う春新緑の葉が舞う夏紅葉が舞い落ちる秋雪が降り積もる冬の映像が立て続けに流れます。

親子2人で過ごしていく季節の巡りを感じた直後、映し出されるのは、桜舞う中で姫が一人で立っている姿。現在小学4年生の姫は、お父さんと2人で誕生日会をしたいと言ったり、毎日頑張っているお父さんに金メダルを作ってくれたりと、かわいい子どもらしい一面が目立ちます。

しかし、成長が色濃く描かれた場面もあり、いつか父の元を離れていくことを連想させる描写も多く、OPの一人きりで立つ姫は、その名の通り「独り立ち」を彷彿とさせています。

子どもの成長を後ろから見守るような優しさと力強さで楽曲を引っ張っていくボーカル・山村隆太の声を支えるのは、ギター・阪井一生、ベース・尼川元気、ドラム・小倉誠司。Aメロではまるで足音を表しているかのようにリズミカルに鳴るドラムの音が印象的です。

Bメロに入ると、ギターとベースの音が曲を華やかに飾り付けます。そして、サビ前にはギター、ドラム、ベースが重なり合い、この曲一番の盛り上がりへと駆け上がります。

アニメ内では1番しか使用されていませんが、2番以降を聴いてみると、さらに親子の絆を感じる点も。2番のサビで歌われる「誰よりも遠い場所へ 進みだせ君の背中」には、子どもの幸せと成長を誰よりも願う親の愛。

Cメロで歌われる「黄昏にのびた影が僕の背を追い抜いてゆく 茜色の横顔が一瞬大人に見えた」という歌詞からは、子どもが自らの手を離れる寂しい気持ちが感じられます。

「さあ漕ぎだして 空高く羽ばたいて」という言葉で締められるこの楽曲には、アニメ「かくしごと」の主人公・後藤可久士が一人娘・姫の成長を見守る、儚くも尊い毎日が詰め込まれている楽曲と言えます。

エンディング曲:大瀧詠一「君は天然色」

CMソングとしても親しまれてきた名曲で彩られるED

「かくしごと」のエンディング曲は、デビュー50周年を迎えてもなお多くの人に愛され続ける大瀧詠一の代表曲「君は天然色」。
CMソングでも耳にすることが多い馴染み深い曲が、アニメ「かくしごと」の最後を締めくくります。

楽しげなイントロから始まる爽やかさが印象的な楽曲ですが、歌詞に注目すると「くちびるつんと尖らせて 何かたくらむ表情は 別れの気配をポケットに匿していたから」という始まり。
実は、この楽曲の誕生には、悲しい出来事が隠されています。

この曲の作詞依頼をされた松本隆には、病弱の妹がおり、制作を依頼された時期も妹の看病をしていました。その後、妹が26歳の若さでこの世を去ってしまいます。

大きなショックを受けた松本隆は、楽曲制作を断ろうとしますが、大瀧本人の強い希望により楽曲制作を続行。そうして生まれたのが「君は天然色」です。
背景を知ると、先ほどの歌詞もまた違った捉え方ができますよね。

一番のサビの「思い出はモノクローム 色を点(つ)けてくれ もう一度そばに来て はなやいで 美(うるわ)しのColor Girl」という歌詞も、後藤可久士が成長して手を離れた姫に向けた言葉だと捉えることもできますし、松本隆が亡くなった妹に向けた言葉だと捉えることもできます。

アニメ「かくしごと」は話数が進むにつれ、徐々に不穏な空気を纏いだします。
姫の名付け親は父でも母でもないこと、最終回直前に18歳になった姫の「ずっとずっとこんな時間が続くと思っていた」というナレーションが入ること、後藤可久士が漫画家を辞めたこと、救急車のサイレン音。

タイトルの「かくしごと」は「隠し事」「描く仕事」の掛詞になっていますが、アニメを見終わったあと、もう一つの意味に気付く構成になっています。
そんなアニメに漂っている“寂しさ“を強調させている一曲ではないでしょうか。

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まとめ

ここまでアニメ「かくしごと」のOP・EDを解説しました。アニメとリンクした一面を持つ楽曲、いかがでしたでしょうか。家族の温もりと寂しさが描かれたアニメをさらに色濃くしてくれているOPとED。アニメを見るときは、ぜひ音楽にも注目してみてくださいね。

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