世の中つらくて当たり前。
不平不満は言わないぞ。
今日もがんばる。明日もがんばる。
どうしたの??
さっきからブツブツを独りごとを……
いや、ちょっと人生がつらいものでね。
自己暗示をかけていたんですよ。
あんまり無理しちゃダメだよ…。
そんなキミにピッタリのバンドをご紹介しましょう。
きっと心が楽になりますよ。
日本テレビ『バズリズム02』の人気企画『これがバズるぞBEST10 2020』で堂々12位に選出された2人組ガールズ・ロックバンド、なきごと。
SUPER BEAVER、sumika、テスラは泣かない。、マカロニえんぴつなど錚々たるバンドが所属する音楽レーベル・murffin discs主催のオーディション企画「murffin discs audition 2018」で準グランプリを獲得した実力派ロックバンドです。
落ち込んだ人たちを鼓舞する応援ソングがあふれる中、なきごとの曲は「辛いときはなきごとを言ってもいんだよ」とそっと僕らの悲しみに寄り添ってくれる、長年使い続けた毛布のように優しく鳴り響きます。
夜にひとりでヘッドホンで聴きたい私的な音楽、他人とわかちあえない感情をそっと溶かしてくれるようなそんな音楽です。
心の隙間に入り込んで来る表情豊かなヴォーカルと感情剥き出しで骨太なギターの組み合わせが生む相乗効果で、気が付けば何度もリピートして聴いてしまっているのは筆者だけではないでしょう。
耳の肥えた審査員すら唸らせるサウンドを武器に、2020年の音楽シーンを面白くしてくれること間違いなしのバンド、なきごとをご紹介していきます。
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目次
なきごと
【🚩本日!このあと!🚩】#FM802 #ポピフラ にて!#なきごとが深夜2時をお知らせします
だいたい深夜2時はだいたい関西あたりにいるので、なきごと号はリアルタイムでポピフラをBGMに帰ります!
今週は何がテーマかな?お楽しみに!🦡 pic.twitter.com/FhYf224p3A
— なきごと (@_nakigoto_) October 22, 2019
- 水上 えみり(みずかみ えみり) / ヴォーカル、ギター
- 岡田 安未(おかだ あみ) / ギター、コーラス
2018年9月に結成されたなきごとは、結成以降、水上えみりと岡田安未の2人組ガールズ・ロックバンドとして活動を続けています。
水上と岡田は2018年に解散した前身バンド・雨音コンプレックスから活動を共にする盟友で、前身バンドを引き継ぐ形ではなく、「ゼロからスタートする」という決意で活動を開始しました。
ライヴやレコーディングではベースとドラムを演奏するミュージシャンを起用していますが、メンバーがふたりだけの方が意思疎通をしやすいなどの理由から正式メンバーは迎えず、ツーピース・バンドとしての活動を選択したと語っています。
なきごと・メンバー
水上 えみり(みずかみ えみり) / ヴォーカル、ギター
#釈迦生誕祭 pic.twitter.com/9Sy3ne6rR2
— 水上 ゑみり (@kumakuma_emily) April 7, 2020
ヴォーカルとギターを担当する水上えみりは、すべての楽曲で作詞・作曲を手掛けるバンドのメインソングライターです。
「壊滅的な機械音痴」を自認していることもあり、音源データをオンラインでやり取りすることができず、スタジオ練習の際に弾き語りでメンバーに披露するという現代のバンドらしからぬアナログな手法を採用しています。
もっとも影響を受けたアーティストとしてスピッツを挙げているほか、バンドを結成するきっかけとなったアーティストとしてはRADWIMPS、“世界の終わり”表記だった頃のSEKAI NO OWARI、plentyなどを挙げています。
また、学校の文化祭でバンドのヴォーカルとして歌っている姉の姿を見て、「自分にもできるんじゃないか?」と思ったことがバンドへの憧れが芽生えた瞬間であったことも明らかにしています。
高校の軽音部でバンドを結成するまではアコースティックギターでスピッツの楽曲を弾き語りしていたそうです。
岡田 安未(おかだ あみ) / ギター、コーラス
あけましておめでとう
今年はもっとたくさんの人に届けられるよう、たくさんいいギター弾きます
よろしく! pic.twitter.com/N2fqdlrCqk— おかだみ (@alta_cc224) December 31, 2019
ギターとコーラス担当の岡田安未は、自身のギタープレイを「男の子らしい」と表現している通り、可愛らしい見た目からは想像のつかない骨太でラウドな音を鳴らす看板ギタリストです。
水上とは前身バンド・雨音コンプレックスからの付き合いで、出演したライヴハウスの店長を通じて、当時ギタリストを探していた水上に紹介されたことが運命の出会いとなりました。
ギターを始めたのは中学生の時で、休み時間にギターを弾いている先輩の姿に憧れ、自分も弾くようになったと語っています。
最初はアコースティックギターでYUIの弾き語りなどをやっていましたが、エレキギターに持ち替えた後からは、ONE OK ROCKやBUMP OF CHICKEN、RADWIMPSなどギターが前面に出るバンドを聴くようになりました。
ギター好きが高じた結果、高校生の時には超絶技巧で知られるアメリカのプログレッシヴ・メタルバンドDream Theaterまで聴くようになっていたとか。
水上が「一緒にやれないかもしれない」と思ったほど独創的なギターを弾く岡田は、実に多彩なアイデアの持ち主で、レコーディングの時にいきなり新しいフレーズを弾いて水上を驚かせることもしばしば。
ギターソロはその場のノリでスポンテニアスに弾きまくるスタイルではなく、鼻歌でメロディを作っていくタイプだと語っています。
なきごと・バンド名の由来
辞書では「自分の不満や不幸などを嘆いて、人に訴える言葉」と説明されている言葉、なきごと。
この決してポジティヴには響かない言葉をバンド名にした理由はなんだったのでしょうか。
バンド名の由来を紐解いていきます。
元々は前身バンドが解散する際、水上は弾き語りのシングルを制作しようと考えており、その楽曲のタイトルになるはずだったのが「なきごと」でした。
同時期に水上と岡田で新しく始めたバンドの名前も決めることとなり、「なきごと」は楽曲名ではなくバンド名として水上と岡田のふたりを表す言葉となったのです。
多くのストレスにさらされながら生きなくてはならない現代社会。
誰もが同じようなストレスを抱えているがゆえに、自然と泣き言が言いづらいような世の中になってしまっているのは否めません。
そんな疲れ果てた人たちに「なきごとを言ってもいいんだよ」と寄り添えるような音楽を作りたい、という想いが「なきごと」というバンド名には込められています。
なきごと・経歴
2018年9月、前身バンド・雨音コンプレックスのメンバーだった水上えみりと岡田安未により、2人組ロックバンド・なきごとが結成。
ベースとドラムは正式メンバーを入れず、サポートメンバーを起用して活動していくことになりました。
結成直後、知り合いのライヴハウスの店長に薦められるがまま、murffin discs主催のオーディション企画「murffin discs audition 2018」に応募。
最終審査まで勝ち残り、なんとオーディション最終審査ライヴが初舞台となるという予想だにしない展開に。
グランプリこそ逃しましたが、結成わずか1ヶ月だったなきごとのポテンシャルの高さは審査員にも評価され、本来は設定されていなかった“準グランプリ”の栄誉に輝きました。
耳の肥えた審査員たちが「彼女たちに何か賞を与えないとダメだ!」とわざわざ準グランプリの座を新設したことからも、なきごとが与えたインパクトの大きさが伝ってきます。
この時期、自主制作MV“メトロポリタン”を公開しています。
しかし、再生回数が10万回を超えたところで、岡田が誤って動画を削除してしまうという痛恨のミスが発生。
その後、再度アップロードされた動画は順調に再生回数を伸ばし、10万回を遥かに超える数を記録して全関係者を安堵させました。
これはバンド史上最大の事件として、公式サイトのバイオグラフィーにしっかりと記載されています。
2019年4月にはmurffin discsの内部レーベルmurffin Lab.から初の全国流通盤となる『nakigao』をリリース。
3曲入りながらバンドの様々な側面を見せる作品となった『nakigao』は各方面で高く評価され、自主企画として開催された下北沢SHELTER公演もソールドアウトするなど早くも注目のバンドとなりました。
6月から7月にかけて全3公演が開催されたレーベルメイトのosageとのツーマンツアーも大盛況で、ツアーファイナルとなったshibuya eggmanは見事にソールドアウト。
「murffin discs audition 2018」でグランプリを獲得したosageを相手に一歩も引かない熱演を見せつけました。
完全に上昇気流に乗ったなきごとは、murffin discsの内部レーベル[NOiD]へ移籍。
[NOiD]はSUPER BEAVER、sumika、Amelieという今をときめく若手アーティストが在籍しているレーベルで、なきごとは同レーベルからの第4弾アーティストとなりました。
2019年9月、[NOiD]からの初作品となるミニアルバム『夜のつくり方』をリリース。
オリコンインディーズチャートで9位を記録する大健闘を見せたほか、タワーレコードのスタッフが自身の感性を頼りに新進気鋭のアーティストをオススメする「タワレコメン」にも選出されるなどブレイクの下地が着々と整いつつあります。
ミニアルバム『夜のつくり方』に伴うリリースツアーは全8公演が開催され、各地で大盛況を記録。
最終日となった新代田FEVERは、オーディションを例外とすればなきごとの初ライヴとなった思い出の地で、その会場を見事にソールドアウトさせてみせた彼女たちの1年間での躍進ぶりには驚かされるばかりです。
2020年1月に放送された日本テレビ『バズリズム02』の『これがバズるぞBEST10 2020』では堂々12位に選出。
トップ10圏内こそ逃したものの、ブレイク確実と目されるアーティストたちがひしめき合うランキングでこの位置は大健闘です。
ちなみに同ランキングのトップスリーは、1位はNovelbright、2位はニガミ17才、3位はヨルシカとなっています。
3月には2枚目のシングル『sasayaki』をリリース。
ソングライティングとアレンジにさらに磨きをかけた珠玉の3曲にファンは酔いしれました。
4月から開始予定だったリリースツアーはコロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言によって中止が発表されましたが、こんな状況だからこそ彼女たちの音楽はより一層優しく鳴り響くことでしょう。
なきごとの次なる一手から目が離せません。
なきごと・オススメ曲
結成から2年弱にもかかわらず、すでに多くの名曲を世に放ってきたなきごと。
その名曲の数々の中から厳選したオススメ曲をご紹介します。
メトロポリタン
なきごと初のMVとなった“メトロポリタン”は、シングル『nakigao』とミニアルバム『夜のつくり方』に収録されているバンドの代表曲です。
水上のギターリフに岡田のギターメロディが絡んでいくサウンドが心地よい“メトロポリタン”ですが、実はなんと復讐の曲。
総理大臣と付き合っている女の子が、総理の浮気に怒って警察に密告するというぶっ飛んだ内容になっています。
<Sorry…許して>という歌詞があり、Sorryと総理をかけた言葉遊びをしたいというところからスタートした楽曲だということですが、現実の総理大臣を想定しているわけではなく、自分にとって大きな存在だった人を総理大臣に見立てて書かれています。
ドリー
2019年のミニアルバム『夜のつくり方』収録曲で、最初にご紹介した“メトロポリタン”と共になきごとの最初期に書かれた曲です。
「“メトロポリタン”と“ドリー”があったから、えみりの隣りでまたギターを弾きたいと思った」と岡田が当時を回想するなど、なきごとにとって非常に重要な楽曲だと言えるでしょう。
鎮魂歌のように響く水上のヴォーカルと独特のトーンでむせび泣く岡田のギターフレーズが印象的なエモーショナルな“ドリー”は、世界初のクローン羊であるドリーを題材にして書かれた楽曲です。
<キミの命は1つではないから / 代わりは沢山いるんだ>
ブラック企業で若者の未来が浪費されていく様を歌ったような歌詞に胸が痛くなるのは筆者だけではないでしょう。
クローン羊の元となった“オリジナル”のドリーはすでに死亡しているという事実が、この曲の物悲しさに拍車をかけます。
この世にたったひとつの命だったドリーに優しく語り掛ける歌は、<キミの命は1つではないから / 代わりは沢山いるんだ>という言葉を毅然と否定してくれるものです。
Oyasumi Tokyo
2019年にリリースされた初の全国流通盤『nakigao』収録曲です。
岡田が精神的に落ち込んでいた時期に書かれたという“Oyasumi Tokyo”は、なきごとというバンドの優しさのすべてを詰め込んだ楽曲だと言えるでしょう。
この曲に救われたという岡田は「一番のファンはわたしだ!」と断言するほどです。
タイトルに「東京」や「Tokyo」が付く曲に駄曲なし、というのは筆者の持論ですが、“Oyasumi Tokyo”も間違いなくその持論の裏付けになる名曲だと断言できます。
くるりの大名曲“東京”には<あい変わらず / 僕はなんとか大丈夫です>と強がる主人公が登場しますが、そんな気丈さを<東京 強がらないで / 泣き顔が一番綺麗だ>と氷解させてくれる優しさが“Oyasumi Tokyo”にはあるのです。
すべての疲れた人の耳元に届けたい名曲です。
なきごと・まとめ
結成から2年足らずで2020年の注目株に躍り出てしまった2人組ガールズ・ロックバンド、なきごとをご紹介しました。
オーディションの時に宣言したという「武道館を即売できるバンドになりたい」という目標が現実のもとになるのも、それほど遠い未来の話ではないかもしれません。
しんどい時に元気を注入するエナジードリンクではなく、「しんどいよね。たくさん寝たらいいよ」とすべてを受け入れてくれる毛布のような音楽、それがなきごとです。
キャパオーバーを自覚している方は、彼女たちの音楽に耳を傾けてみてください。
きっと心が少し楽になるはずです。