2020年で結成32年を迎えたロックバンド「ウルフルズ」。
『ガッツだぜ!!』で大ブレイクし、今も老若男女に愛される唯一無二のソウルフルなロックバンドであり続けています。
そんなウルフルズの結成からこれまでのヒストリーを、代表曲と共に改めて振り返ってみたいと思います。
目次
ウルフルズ・ヒストリー
8/27(木)配信「フラカンの横浜アリーナ -リモートライヴ編-」を祝して、ウルフルズのみなさんより激励メッセージをいただきました!
今週末8/21(金)にはウルフルズの生配信ライヴもありますので、こちらもぜひミテクレエブリバディ!!https://t.co/c1WisvX2VY pic.twitter.com/08wD8pkJwI
— フラワーカンパニーズ (@FlowerCompanyz) August 19, 2020
きっかけは「カンテ・グランデ」
1988年、ウルフルズは大阪で結成されました。
トータス松本さんが地元兵庫県西脇市から上阪し、専門学校卒業後に音楽の道を目指しながらアルバイトしていたのが、インド喫茶「カンテ・グランデ」。
美味しいチャイが人気で独特の雰囲気を持つインド喫茶「カンテ・グランデ」は、当時4店舗あり、音楽を志す若者が多く働いていました。
トータス松本さんは中津店に勤務していましたが、丸ビル店にいたのがウルフルケイスケさんとジョンBさん。
ウルフルケイスケさんとジョンBさんがバンドを結成することになった時、「中津店におもろそうなヤツがおる」ということで、トータス松本さんに声をかけたのでした。
当時、トータス松本さんはギタリストとして音楽を目指していましたが、ウルフルケイスケさんの「松本くんが歌ったらおもろそう」という直感が見事にハマり、ボーカルに抜擢されました。
ウルフルズ結成
「ウルフルズ」というバンド名は、ウルフルケイスケさんお気に入りのバンドのCDジャケットの帯に書かれた「ソウルフル」という文字が改行され、「ウルフル」になっていたことが由来。
ウルフルズは大阪のライブハウスを中心に活動を始めますが、程なくしてドラマーが脱退してしまいます。
そこで、ウルフルケイスケさんの知り合いの弟で、ライブにお客さんとしてきていたサンコンJr.さんに声をかけ、ウルフルズメンバーが揃いました。
ちなみに、ウルフルズが活動拠点にしていたのが、大阪・十三の伝説のライブハウス「ファンダンゴ」(2019年、堺に移転)でした。
上京、メジャーデビュー
大阪で人気を博したウルフルズは、メジャーデビューが決定し、満を持して上京。
1992年5月、1stシングル『やぶれかぶれ』をリリースしました。
しかし、コアな音楽ファンには認知されているものの、全国区の知名度を得られないままの日々が続きます。
そんな中、伊藤銀次さんをプロデューサーに迎えてリリースした2ndアルバム「すっとばす」で徐々に話題を呼ぶことに。
表題曲の『すっとばす』は、人気トーク番組「さんまのまんま」のオープニングテーマソングに起用され、のちにシングルカットされるに至りました。
じわりじわりと人気を集め始めたウルフルズは、小室哲哉さんがMCを務めていた音楽番組「TK MUSIC CLAMP」に出演。
収録の合間に小室哲哉さんから、「ウルフルズはディスコ調の音楽はやらないの?」と声をかけられます。
大ヒット曲『ガッツだぜ!!』誕生
小室哲哉さんの言葉にヒントを得て作られた楽曲が、9thシングル『ガッツだぜ!!』。
9thシングル『ガッツだぜ!!』
1995年12月にリリースされ、大ヒットを記録しました。
ミリオンヒットの申し子・小室哲哉さんの些細なアドバイスが、ウルフルズを人気アーティストに押し上げたのです。
当時、他の曲作りをしていたトータス松本さんの耳にふと止まったのが、 KC&ザ・サンシャイン・バンドの『That’s The Way(I Like It)』。
軽快なダンスサウンドで日本でも人気のある楽曲ですが、「That’s The Way」のフレーズが「ガッツだぜ」と聞こえたことから名曲が生まれました。
MVでトータス松本さんが着用している殿様の衣装は、志村けんさんが「バカ殿」で着用していた本物の衣装が使用されています。
1996年2月にリリースした10thシングル『バンザイ〜好きでよかった〜』も続け様に大ヒット。
10thシングル『バンザイ〜好きでよかった〜』
さらに、アルバム『バンザイ』は100万枚をセールスし、ミリオンヒットを記録しました。
ジョンBさん突然の脱退
1999年、ベースのジョンBさんが突然グループからの脱退を発表。
理由は、音楽性の違いを感じたことでした。
もうベースをやめようとさえ思っていたジョンBさんは、友人であるスピッツのベーシスト・田村明浩さんに、ベースもエフェクターも処分することを相談。
この時、田村明浩さんは「このベースが他人の手に渡るのは嫌だ」と思い、一旦預かることにしました。
3人になったウルフルズは活動を継続。
2001年には坂本九さんの名曲『明日があるさ』をカバーし、話題となりました。
そして、4年後の2003年にジョンBさんはウルフルズに復帰。
田村明浩さんは保管していたベースを、ジョンBさんの元に戻したのでした。
ジョンBさんが復帰して最初にリリースしたのが、25thシングル『ええねん』。
歌詞の中には、ウルフルズメンバーからジョンBさんに向けた熱い言葉が並び、改めてウルフルズメンバーの絆の深さを再確認することになりました。
MVでは、ジョンBさんが扉を開けるシーンから始まり、そこにはベースが置かれています。
25thシングル『ええねん』
無期限活動休止から奇跡の復活
2009年、ウルフルズは無期限の活動休止を発表。
人気は好調を続けるものの、メンバー同士の思いがすれ違いを見せ始めてしまったのでした。
活動休止中、メンバーはそれぞれソロ活動に専念。
しかし、それぞれグループ活動からは離れたものの、誰も音楽から離れることはありませんでした。
2014年、4年半の時を経て、待望の活動再開を発表。
ファンからは多くの喜びの声が上がりました。
2017年、デビュー25周年を迎え、アルバム「人生」をリリース。
それまでトータス松本さんが主に楽曲制作を行なってきましたが、アルバム「人生」では他のメンバーも制作に積極的に参加しました。
アルバム「人生」収録、トータス松本&ジョンB作詞『バカヤロー』
ウルフルケイスケさん、ソロ活動に専念
2018年、リーダーのウルフルケイスケさんがソロ活動に専念するため、ウルフルズとしての活動を休止することを発表しました。
メンバーからは何度も慰留されましたが、ウルフルケイスケさんの意志は固く、最終的に背中を押すことになりました。
たった1人での挑戦を始めた仲間に向けて送られた曲が、2018年10月に配信された『変わる 変わる時 変われば 変われ』。
2番の歌詞には「グッドラック マイフレンド」と歌い、友の成功を祈っています。
再び3人になったウルフルズは、トータス松本さんがギターを担当してスリーピースで活動を継続。
2019年にリリースしたアルバム「ウ!!!」では、これまでのウルフルズらしさがありつつも、ツインボーカルやテクノを取り入れるなど、さらに「ウルフルズ」を進化させています。
ウルフルズの魅力
ウルフルズは、パワフルでありったけの元気をくれる楽曲が多いように感じます。
しかし、24thシングル『笑えれば』のように、優しい笑顔を与えてくれるものもあれば、5thアルバム「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」収録曲『愛してる』のように真っ直ぐなラブソングで泣かせてもくれます。
24thシングル『笑えれば』
気取らず、いい大人になっても無邪気に、そして恥ずかし気もなく全力で音を鳴らしている姿が、とてつもなくかっこいい「ウルフルズ」。
デビュー当時、「僕らバッタもんなんです」とプロデューサーに伝えたことがありました。
寄せ集めのメンバーで、ノリで音楽をやっているようないい加減なバンドなんですと、自らを卑下しているようにも聞こえますが、その謙虚さの裏側には誰よりも熱い思いがあったはず。
さもなければ、これほど多くのファンを惹きつけることはできなかったでしょう。
ウルフルズ・メンバー
トータス松本(とーたすまつもと)
#ガッチュー pic.twitter.com/Lu2QcuSc2x
— ウルフルズ トータス松本 の 💥Got You OSAKA💥 (@OSAKA765) September 15, 2019
本名:松本敦(まつもとあつし)
1966年12月28日生まれ
兵庫県西脇市出身
初めてバンドを組んだのは、中学生の時。
高校生になってアマチュアバンドを組み、ボーカルではなくギターを担当していました。
高校2年生の時に、RCサクセションのライブを見て、忌野清志郎さんの姿に感動し、音楽を志すことを決意。
本当は音楽をやるためであったが、それを隠して服飾の専門学校に進学する理由を付け、高校卒業後、大阪に出てきました。
「トータス」という名前は、亀を見てかわいいなと思ったことが由来です。
ウルフルズのボーカルとして活躍する傍ら、俳優や執筆活動なども行っており、NHK大河ドラマ「龍馬伝」ではジョン万次郎役を好演しました。
2017年には椎名林檎さんとタッグを組み、銀座にオープンしたGINZA SIXのテーマソング『目抜き通り』を発表し、話題となりました。
サンコンJr.(さんこんじゅにあ)
今日は石田小吉くんと、黒沢秀樹くんのお兄さん、黒沢健一さんのライブに!その後ご近所なのもあって町田で一杯!いやー、すてきなライブも観れて良い一日でした!RT @Ishidalf: サンコンさんと #nidaimenow 。 pic.twitter.com/vEWrX2MEgb
— サンコンJr. (@sakosankonjr) July 17, 2013
本名:佐古博幸(さこひろゆき)
1970年9月13日生まれ
大阪府茨木市出身
中学時代に兄の影響で音楽に興味を抱き、ドラムを始める。
ウルフルズへは、1989年に加入しました。
2009年にウルフルズが無期限活動休止になった時は、サニーデイ・サービスのベース田中貴さんらと共に Sankon Jr. and His Friendsを一日限りで結成。
2017年には、八代亜紀さんの寺岡呼人さんプロデュースアルバム「哀歌-aiuta-」を提げたコンサートツアーに参加し、話題となりました。
2019年にリリースされた15thアルバム「ウ!!!」の衝撃的なアルバムタイトルは、サンコンJr.さんのアイデアによるものです。
ジョンB(じょんびー)
今日は猫との話とか、真城さんとこのワンちゃんの話、たくさんしよう^_^ pic.twitter.com/cYCdn6XxLk
— ジョンB &スタッフ (@sleep_john_b) April 11, 2018
本名:黒田利博(くろだとしひろ)
1967年11月4日生まれ
大阪府吹田市出身
もともと楽器をやっていなかったジョンBさんがベースを始めたのは、ウルフルズに加入してからの20歳頃。
たまたま家にベースがあったからという理由で、ウルフルズのメンバーとなりました。
かつては「ジョン・B・チョッパー」の名前で活動していましたが、2014年のウルフルズ活動再開と同時に「ジョンB」に改名しました。
ウルフルズのベーシストとして活躍する傍ら、自らがフロントマンを務めるプロジェクトバンド・ジョンB&ザ・ドーナッツを結成。
ジョンB&ザ・ドーナッツでは、ボーカル&ギターを担当し、2011年5月には1stアルバム「DONUTS!」をリリースしました。
ウルフルケイスケ(現在ソロ活動に専念中)
初めて映画館で寅さんを見られた。
やっぱりいい。#男はつらいよ#ウルフルケイスケ pic.twitter.com/9JWDQZH5KM— ウルフルケイスケ (@ulfulkeisuke) December 25, 2019
本名:岩本圭介(いわもとけいすけ)
1965年5月23日生まれ
大阪府高槻市出身
「ミスタースマイル」と呼ばれ、屈託のないの笑顔で多くのファンに愛されています。
ウルフルズは、ウルフルケイスケさんがトータス松本さんにボーカルを勧めなければ、誕生していませんでした。
ウルフルズではリーダーを務めていますが、2018年2月からソロ活動に専念するため、バンド活動は休止中。
現在は、相棒のギターと共に全国を旅しながら、ソロでしかできない音楽を届けています。
ちなみに、崎陽軒のシウマイをこよなく愛するウルフルケイスケさんのTwitterには、度々シウマイ弁当が登場します。
今こそウルフルズの音楽が必要なんです
今、エンターテイメント業界は史上最大の苦境に立たされています。
出口の見えない戦いにだんだんと疲弊し始めている人々には、ぜひウルフルズの音楽を聴いてもらいたいと思います。
ウルフルズの楽曲は、俯いていたって、何にも始まらないことに気づかせてくれます。
「とにかく笑えれば、それでええねん、ガッツだぜ!明日があるさ!」
ウルフルズは、いつだって誰かを応援してくれているように感じられることでしょう。
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