1990年代後半〜2000年代始めに日本で起こったメロコア(メロディック・ハードコア)ムーブメントの最重要バンド、Hi-STANDARD(ハイスタンダード/通称:ハイスタ)。
2000年のハイスタの活動休止以来(2011年復活)、ギターの横山健はソロとなりKen Yokoyama(Ken Band)としてバンド活動を開始します。
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ハイスタ時代はメディアへの露出がほぼ無かったので、2015年のKen Yokoyama(Ken Band)としてのMステ(ミュージックステーション)初出演は、大きな反響を呼びました。
今回はKen Yokoyama(Ken Band)について、歴代のバンドメンバーや、Mステ出演に至った経緯、ライブのおすすめ定番曲、横山健の使用ギターまで詳しくお伝えします!
目次
Ken Yokoyama(Ken Band)の現在・歴代のメンバー
Ken Yokoyama(Ken Band)は何度かメンバーチェンジを経て、現在は以下の4人で活動を行っています。
現在のメンバー
- Ken Yokoyama(横山健) :ボーカル・ギター
- Jun Gray(高橋ジュン):ベース
- Hidenori Minami(南英紀):ギター
- Eiji (EKKUN):ドラム
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(左から、EKKUN、Jun Gray、Ken Yokoyama、Hidenori Minami)
Ken Yokoyamaを除くそれぞれのメンバーについて、簡単にプロフィールと加入の経緯をご紹介します。
【1】Jun Gray(高橋ジュン):ベース
元KENZI & THE TRIPS、BAD MESSIAHのベーシスト。
初期メンバーのコリンが辞めたあと、Kenの独断で直接バンドに誘い入れました。
本人の分析では、自分がメロコア一筋のプレイヤーではなかったことから、ジャンルに多様性があるKen Bandに受け入れられたのではないかとのこと。
現在横山健が代表を務めるレーベル「PIZZA OF DEATH」内で「JUN GRAY RECORDS」という、女性ボーカルバンドをフィーチャーしたレーベルを主宰しています。
意外だったのは、ロックに興味を持つきっかけが(メジャーでは)世界初の女性だけのガールズバンド、The Runaways(ザ・ランナウェイズ)だったこと。他にもBlondie(ブロンディ)など、以前から女性ボーカルバンドが好きだったと話しています。
【2】Hidenori Minami(南英紀):ギター
元KEMURIのギタリスト。Ken Bandには2008年から加入しています。
インタビューによると、ギターの技術はもちろんのこと、礼儀正しくポジティブな性格がメンバーとして受け入れられた要因です。
また英語が堪能で、横山健と話し合いながら、歌詞の英訳も担当しています。
【3】Eiji (EKKUN):ドラム
現メンバーの中では一番新しいメンバーで、2019年から参加。
元FACT、Joy Oppositesのドラマーで、FACT時代から横山健とは交流がありました。
音楽性が幅広く、ハードコアやパンクは聴くけど叩いたことはありませんでした。
他のメンバーによると、Eijiのドラムは粒立ちが良く、コーラスもたくさん入れられるのでバンド自体のサウンドが変わったといいます。
喰らってくれ!Punk Rock Dream!!! https://t.co/nqjt8QGoVM
— EKKUN_4W9L_5/26 (@ekkkkkkn) December 11, 2018
その新生Ken Bandのサウンドは、2020年に発売されたミニアルバム「Bored? Yeah, Me Too」と、最新フルアルバム「4Wheels 9Lives」で聴くことができます。
歴代のメンバー
【1】Colin Doyle(コリン):ギター(2004年〜2008年在籍)
コリンの脱退理由は明らかにされてはいませんが、武道館公演を終え、それぞれの道を歩み始める時期だったということ。
【2】Serge Verkhovsky(サージ):ベース(2004年〜2008年在籍)
サージは加入する前から仕事をバンドを掛け持ちしていましたが、両立が困難になり脱退。
現ベーシストのJun Grayによると、現在Year of the Firstというパンクバンドで音楽活動を続けているようです。
サージが Year of the Fist というバンドに加入したようです👍ジャンルはサージいわくパンクロックンロールだそうです😄🎵 youtubeやSpotify で聴けるんでチェックヨロ❗ようつべにはサージ加入後最近のライブ動画もあがってた◎ pic.twitter.com/nC2oPYeD5S
— jungray (@jungray) April 16, 2019
【3】Masatoshi “Gunn” Ishida(ガンちゃん):ドラムス(2004年〜2011年在籍)
Ken Bandの初期メンバーとして7年間ドラムを叩きましたが、脱退。
ラストライブは彼自身の希望で思い入れのある渋谷CLUB QUATTROで開催されました。
【4】Matchan(松浦英治):ドラム(2011年〜2018年在籍)
脱退の理由とは、1/4のメンバーにはなれなかったこと。
つまり、横山健がKen Bandに求めた、(バックバンドとしてではなく)一人ひとりが全力でバンドと向き合う1/4のメンバーになっていきたいという思いに応えられなかったということです。
ですがこれも、今までずっと大きな資本に頼らず、ライブハウスで活動していたバンドばかりを集めて数万人規模のフェスを成功させた横山健らしいエピソード。
横山健はいくら有名になってもCDが売れても、毎週スタジオを予約し練習に励むインディーズシーンのミュージシャンと、精神面では何ら変わりなく音楽に向き合っているのでしょう。
Mステ(ミュージックステーション)出演で見えた心境の変化
横山健は、ハイスタ時代からパンクバンドがメディアに露出することに対して批判的でした。
それにより、バンドが商業主義になってしまう恐れがあるからです。
そもそもメディアの力やスポンサーに頼らない自分達のレーベルを持ち、一定数のファンがいて、大規模なライブも不自由なく出来ていたハイスタやKen Yokoyamaには、その必要さえありませんでした。
しかし横山健が多感な10代の頃、TVでは忌野清志郎やTHE BLUE HEARTSのようなバンドも普通に出演し、お茶の間で觀ていた少年少女に多大な影響を与えていました。
「今の音楽番組には、わかりやすいロックアイコンが存在しない。」
そう危惧を抱いた彼はKen Yokoyamaとして、子どもたちに分かりやすくロックの存在を知らしめるべく、アウェーになると分かっているMステに自ら出演オファーをしたのです。
TV画面に映る英語歌詞の日本人パンクバンド、ファンは多いとはいえ決してマジョリティー(多数派)ではない存在。しかも生演奏。
異例づくしの挑戦に、観ているこちらが緊張してしまうほどでした。
しかし、そんな不安はギターの音が鳴った瞬間に打ち消され、興奮と感動に変わります。
ゴールデンタイムの番組ということもあり、長袖の服で腕の刺青を隠し、「I Won’t Turn Off My Radio」を熱唱。その歌詞の内容に、伝えたかったメッセージが凝縮されています。
Hit hard by MTV
Stabbed by the net we bleed
Now you’re a icon of a world of yesterday
But I can still hear your voice
A slight wave is coming through
MTVに殴られ
インターネットに背中を刺され
お前はすっかり時代遅れのアイコン
それでもオレにはまだ聞こえる
お前のかすかな電波
Hey you, listen up
Get your act together
I know you’re old but you still got a lot to do
おいお前、オレの声が聞こえるか?
一緒にやるぞ
老いぼれたとはいえお前にはまだまだ仕事は残ってるぞ
自分でもいつまでギターを弾いてパンクロックを続けていられるか分からない。
だったら、今のうちにやれることはやっておこう。
ロックも他のアイドルやダンスグループのように、メディアにわかりやすい形で子どもたちに憧れられる存在であるべきだ。
そんなKen Yokoyamaの気持ちがストレートに画面から伝わってくる名演でした。
このMステ出演に手応えを感じ、その後のKen Yokoyamaはメディアへの露出を積極的に行っています。
そして2021年5月21日には2度目となるMステ出演も果たし、7thフルアルバムの「4Wheels 9Lives」からタイトル曲を披露しました。
今日はお茶の間を攻めっから。 #Mステ
— 横山健 (@KenYokoyama) May 21, 2021
ライブの定番曲、おすすめ9選
フェスではじめてKen Yokoyamaのライブを観るという人でも大丈夫!
しっかり予習してみんなで盛り上がりましょう。
最近の(2021年10月時点)セトリ(セットリスト)から、ライブの定番曲をまとめました。
「Punk Rock Dream」
4thアルバム、「Four」に収録。
以前からライブの定番曲として演奏され続けている、マスト曲。
キャッチーなメロディーに載せ、「オレのパンクロックドリームは本当にあったんだ」と歌う歌詞は、まさに彼の生き様そのものです。
「そしてそれは全てあなたのおかげなんだ」というメッセージから、ファンとKen Yokoyamaとを繋ぐ重要な曲だというのがわかります。
「I Won’t Turn Off My Radio 」
6thアルバム「Sentimental Trash」収録。
こちらも2021年のライブやフェスでは必ず登場する定番曲。
前述の2015年Mステ初出演で生演奏を披露し、話題になりました。
横山健がライブのMCで、この曲は「自分がキャリアを更新している証」だと言ったように、今の等身大のKen Yokoyamaによるメッセージが歌われています。
「4Wheels 9Lives 」
最新の7thフルアルバム表題曲。
2021年のフェス、ツアーでは毎回演奏している定番曲。
タイトルを直訳すると「四輪の九回生き返るバンド」となり、今の4人のメンバーで不死身のKen Bandを作っていくという、決意の表れを感じさせます。
「Woh Oh」
2020年に発売されたミニアルバム、「Bored? Yeah, Me Too」に収録。
ドラムのEKKUNも好きだというモータウン調のリズムに、自然と体が動きます。
6thアルバム「Sentimental Trash」でも、ロックンロールやロカビリーなど幅広い音楽性を見せたKen Yokoyama。
この曲でもまた、その幅広い音楽センスを存分に発揮しています。
「Helpless Romantic」
7thアルバム「4Wheels 9Lives 」収録。
横山健のメロディーセンスが光る、ミドルテンポのナンバー。
MVは、Ken Band初となるリリックビデオ(歌詞の表示を主体としたミュージックビデオ)として配信されました。
思わず口ずさみたくなる「Look at me, a helpless romantic」のサビと、全編を流れるようなギターのバッキングが印象的。
「Forever Yours」
7thアルバム「4Wheels 9Lives 」収録。
若くない自分が死生観を意識することで、生きている事に感謝するようになったという、奥の深い歌詞。
Ken Yokoyamaらしい疾走感のあるメロディックパンクチューンですが、ドラマティックな展開もあり、何度聴いても飽きません。
「Still I Got To Fight」
2020年に発売されたミニアルバム「Bored? Yeah, Me Too」収録。
動画は、10万人が視聴したというKen Band初の配信ライブより。
(「Still I Got To Fight」は後半から始まります。)
Ken Yokoyamaの真骨頂である、メロディックなパンクロックチューン。
キャッチーなサビの「Still I got to fight」では大合唱になること間違いなし!
「Maybe Maybe」
6thアルバム 「Sentimental Trash」に収録。
メロディーメーカーとして評価の高い横山健による少し切ないメロディーと、素直な歌詞ににキュンとなる楽曲。
以前はライブの定番曲でしたが、最近では毎回とまではいかないものの、フジロックフェスティバル’21で演奏されています。
「A Beautiful Song」
6thアルバム 「Sentimental Trash」に収録。
曲中にストリングスを使うなど、Ken Yokoyamaとしては珍しい曲調。
最近ではフジロックフェスティバル’21で演奏されている、その名の通りサウンドも歌詞も美しい名曲。すべての音楽ファンにオススメします。
Gretsch(グレッチ)から日本人ギタリスト初のシグネイチャーモデル発売
2015年の横山健は、Mステ出演以外にも、グレッチから日本人ギタリストとしては初のシグネイチャーモデル「G6136T-KFJR-FSR Kenny Falcon」を発表したことで話題になりました。
グレッチのギターといえば、エディ・コクランやブライアン・セッツァーといったロックンロール・ロカビリー系のアーティストに使用されているイメージが根強いです。
しかし横山健モデルでは、出力が弱くて歪ませづらかったピックアップ(音を拾うパーツ)を出力の高いものに変え、現代的な歪みが得られるようにアレンジされています。
そしてグレッチから出た2本目のシグネイチャーモデルは、「G6136T-KFJR-FSR Kenny Falcon Jr.」。パッと目をひく横山健オリジナルのカラーには「アーリーサマーグリーン」というすてきな名前が付いています。
この色なら女性ギタリストが持っても可愛いです!
さいごに
Ken Yokoyama(Ken Band)のMステ出演や、横山健モデルのギター、ライブの定番曲についてお伝えしました。
50歳を超えてもなお真剣に音楽と自分に向き合い続けるその姿勢は、これからも多くのファンやバンド、ミュージシャンを鼓舞し続けることでしょう。
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