ゆらゆら帝国紹介 – 解散後10年経っても根強い人気!日本のロックシーンの伝説バンドを徹底紹介!

ゆらゆら帝国紹介 – 解散後10年経っても根強い人気!日本のロックシーンの伝説バンドを徹底紹介!

邦ロック、J-ROCKと呼ばれるジャンルの音楽をよく聴く人なら、どんなバンドかは知らないまでも、ゆらゆら帝国というバンド名を耳にしたことはあるのではないでしょうか。

ゆらゆら帝国は1989年、ボーカル・ギターの坂本慎太郎を中心に結成されたオルタナティブロックバンド。「ゆら帝」の略称でも知られています。

いわゆるポピュラーソングの枠には当てはまらない作風ながら、多くのミュージシャンに影響を与えており、J-ROCKの歴史を語る上では決して外せないバンドです。

しかしながら、2010年にバンドは解散。
バンド名は知っていてもどんな音楽をやっていたのか知らないという人や、曲は聴いたことがあるけれどその活動をリアルタイムでは見ていなかったという人も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、ゆらゆら帝国とはどんなバンドだったのか、そして、その作品はどんなものなのかご紹介していきます。

強烈な個性と先鋭性を持ち、異彩を放っていたバンドの魅力に迫ってみましょう。

ゆらゆら帝国とは?

ゆらゆら帝国公式サイト


https://www.sonymusic.co.jp/artist/YURAYURA/

ゆらゆら帝国の来歴

冒頭でも触れましたが、ゆらゆら帝国は1989年に結成。
公式サイトのプロフィールでは、リーダーである坂本慎太郎が「日本語のオリジナルロック」というコンセプトのもとに結成したものと紹介されています。

当初は坂本とベースの亀川千代にギター、ドラムスを加えた4ピースバンドでしたが、1992年にはボーカル・ギター、ベース、ドラムスの3ピースバンドとなります。
その後、数回のドラマーの交代を経て柴田一郎が加入。

当初はインディーズで活動していましたが、妖しくサイケデリックなサウンドやエモーショナルなライブパフォーマンス、ヒッピー風の容姿などで早くから人気を獲得していたといいます。

1998年にアルバム『3×3×3』でメジャーデビュー。
この『3×3×3』が音楽メディアやミュージシャンから絶賛されたことからバンドも注目を集めました。
その後は単発のライブでも全国ツアーでもチケット即日完売を連発しています。

さらに2000年以降はFUJI ROCK FESTIVALやRISING SUN ROCK FESTIVALといった大型の夏フェスにも出演。ゆらゆら帝国の名前をさらに広く知らしめました。

2005年にSony Music Associated Recordsに移籍。同年10月に初のニューヨーク公演を開催し、以降は海外でも活動を行っていました。

他のアーティストとの共演も多く、公式サイトには「共演してきた皆さん」としてCORNELIUSやBRAHMAN、MICHELLE GUN ELEPHANT、椎名林檎、EGO-WRAPPIN’、eastern youthなど様々なアーティストの名前が書き連ねられています。

2007年にアルバム『空洞です』をリリース。これが最後のアルバムとなり、2010年3月31日にバンドは公式サイトで解散を発表しました。

解散の理由として坂本は、「この3人でしか表現できない演奏と世界観に到達した、という実感と自負」「ゆらゆら帝国は完全に出来上がってしまったと感じました」というコメントを残しています。

完成したから終わる、というのはある意味ではわかりやすい理由ですが、なかなかそう言いきれるバンドはないでしょう。
ゆらゆら帝国は最後まで強烈な印象を残すバンドだったと言えます。

そして解散後も、写真展や爆音上映会が開催されるなど、人気が衰えることはありませんでした。

解散から10年後の2020年3月にはYouTubeで5本のMVが公開されており、彼らの楽曲は今なお新鮮な驚きを与えてくれます。

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メンバー

活動期間中、数回のメンバーチェンジがありましたが、最終的には坂本慎太郎(ボーカル・ギター)、亀川千代(ベース)、柴田一郎(ドラムス)の3人となりました。

坂本慎太郎(ボーカル・ギター)

1967年9月9日生まれ。
大阪府出身ですが、神奈川、東京をはじめ各地を転々として育ったそうです。

水木しげるの作品に大きな影響を受けているといい、楽曲のサイケデリックな曲風や、抽象的でどことなく不穏な歌詞にその片鱗が見て取れます。

ゆらゆら帝国の解散後はソロで音楽活動を行っていて、自身のレーベル「zelone records」から楽曲をリリースしています。

亀川千代(ベース)

1969年7月29日生まれ。
黒のロングヘアがトレードマークとなっています。
千代という名前で女性かと思う人もいるかもしれませんが、男性です。

坂本以外のメンバーでは唯一結成直後から解散まで在籍していました。

ゆらゆら帝国の解散以前から他のバンドにも参加しており、現在もライブでのサポートなどを含む活動を続けています。

柴田一郎(ドラムス)

1968年9月2日生まれ。
ゆらゆら帝国への加入は1997年。それまでは「かかし」というバンドにも所属していました。

電子音楽家「いちろう」としても活動しており、ゆらゆら帝国解散後にはアルバム『Fly Electric』もリリースしています。

ゆらゆら帝国のアルバムと楽曲

ここからは、ゆらゆら帝国のアルバムと楽曲を紹介していきます。

ゆらゆら帝国の作品は、リリースの時期によって作風が様々であり、それぞれの時期の楽曲を聴き比べると当時リアルタイムで彼らの活動を追っていたファンがその度にどれほど衝撃を受けていたか想像できると思います。

それでいて、ゆらゆら帝国としての個性が失われることは決してなく、どの曲を聴いても「これがゆらゆら帝国だ」と感じられるインパクトがあります。

ぜひそのインパクトに注目して、これからご紹介する作品を味わってみてくださいね。

3×3×3

まずは1998年リリースのメジャーデビュー作となったアルバム『3×3×3』です。

表題曲の「3×3×3」は、クラシックロック風のビートに、物語性のあるようなないような、どことなく不穏で不気味な歌詞という組み合わせ。時折朗読のような箇所が出てきたり、メロディラインも独特だったりと、「なんだこれは!?」と惹きつけられる魅力があります。

1stシングル「発光体」もこのアルバムに収録されています。

こちらも歌詞には抽象的でありながらインパクトのある言葉が羅列されていますが、アレンジは王道のロックという印象。
サウンドやメロディがキャッチーだからこそ、パンチの効いた前衛的な歌詞も際立っています。

ミーのカー

『ミーのカー』は1999年にリリース。
2ndシングル「ズックにロック」を収録しています。
ズックにロック」、「アーモンドのチョコレート」、「ハチとミツ」のように、ユニークさや独特の哀愁がありつつも比較的ポップで明快なアレンジの曲も聴くことができます。

一方で表題曲となっている「ミーのカー(LONG VERSION)」は、なんと25分を超える長大な楽曲です。

アドリブセッションのようなバンドサウンドにのせて、「焼けて潰れたミーのカー はめてもう一度ユーのキー」といった、断片的で暗喩的にも聞こえる歌詞が繰り返されるのはなんともサイケデリック。

ゆらゆら帝国の様々な側面を感じられるアルバムですが、しかし、これがすべてではないというのがゆらゆら帝国の凄いところでもあります。

ゆらゆら帝国Ⅲ

ゆらゆら帝国で考え中」などを収めた『ゆらゆら帝国Ⅲ』は2001年リリース

ゆらゆら帝国で考え中」は、バラエティ番組「はねるのトびら」のオープニング曲に起用されており、ここでゆらゆら帝国を知った人も少なくないでしょう。

シンプルなバンドサウンドながらポップでキャッチー。「迷子になった覚えはない」「クレイジーワールド マンガの世界で」というようなところのメロディは、一度聴けば口ずさめるぐらい印象的です。

一方で「これからやっていくわけなんだけど」のように台詞調のところも、つい真似して言ってみたくなるような響きの良さがあります。

オリコンランキング最高位は15位。バンドの知名度をさらに押し上げるアルバムとなりました。

ゆらゆら帝国のしびれ・ゆらゆら帝国のめまい

サイケデリックで抽象的、環境音楽のような要素もある『ゆらゆら帝国のしびれ』と、ゆったりとしたメロディアスな曲や、歌ものと呼べるような曲を収めた『ゆらゆら帝国のめまい』は、対照的なアルバム。
2003年2月26日に同時にリリースされました

『ゆらゆら帝国のしびれ』に収録の「夜行性の生き物3匹」は、このアルバムの中では比較的アッパーな曲。
とはいえ、タイトルの通り夜の街の光景を切り取ったような歌詞には、やはり得体の知れなさが滲み出ています。

またこの曲では、民謡風のリズムに合わせて3人の人物が阿波踊りを踊るというMVが制作されました(現在は公開されていません)。

一方の『ゆらゆら帝国のめまい』には、メランコリックな曲や、いわゆる歌ものと呼ばれるようなしっとり聴かせる曲も収められています。

そんな中でも、「ボタンが一つ」のような曲を聴くと、シュールさや、聴き手が「おや?」と思うような良い意味での不自然さが散りばめられているのが感じられます。

聴き手の好奇心や、怖いもの見たさのような心理をくすぐるのも、ゆらゆら帝国の楽曲の特徴と言えるかもしれません。

それでいて「冷たいギフト」のように感傷的な印象のバラードもあり、バンドの底知れなさを感じさせます。

Sweet Spot

2005年リリースの『Sweet Spot』ではさらに独特な世界を確立。

2005年世界旅行」の浮遊感はなんとも言えず癖になります。

タコ物語」はタコを主人公にした歌詞がこれまたユニーク。

そして、これらの楽曲を経てゆらゆら帝国が「完成」を迎えることとなったのが『空洞です』でした。

空洞です

ゆらゆら帝国の到達点であり完成形を示すのがこの2007年のアルバム『空洞です』だと言えるでしょう。

収録曲はそれにふさわしい作品ばかりですが、インパクトの強さという点では「美しい」が挙げられます。

2007年リリースのEP『美しい』の表題曲であり、アルバム版として収録。
映画「愛のむきだし」の挿入歌として使用されています。

メロウでゆったりしたサウンドに対して、歌詞は「上品なクソがいい/素敵なクソがいい」と、歌い出しからかなりの奇抜さ。MVも極めてシュール。上品・美しいとは言い難い……ですが、ゆらゆら帝国のユニークさや前衛性がよくわかる1曲です。

このほかにも、「さしずめ俺は一件の空き家さ」という歌い出しで始まり、諦念とも開き直りとも覚悟ともとれる言葉が綴られている「あえて抵抗しない」や、優しいサウンドながら寂しげで哀愁漂う「ひとりぼっちの人工衛星」など、どの収録曲も他にない強烈な個性と、それにもかかわらず耳馴染みが良かったり不思議と癖になったりする魅力とを併せ持っています。

そしてアルバムの最後を締めくくる表題曲「空洞です」も、間違いなく到達点と言える曲でしょう。

映画「愛のむきだし」主題歌となったほか、CMソングとして「キリン 本搾りチューハイ」のテレビCMで使用されるなど、ゆらゆら帝国の最も広く知られた楽曲のひとつでもあります。

後にリミックスアルバム『REMIX 2005-2008』には、「空洞です(alternative version)」として、別のバージョンが収録されました。

ぼくの心をあなたは奪い去った/俺は空洞 でかい空洞」という歌詞は、ある意味ではわかりやすく、それでいてやはり抽象的。
「空洞」という単語は一般的なものなのに、ゆらゆら帝国の曲にのせて繰り返されると不思議な響きを湛えているような気がしてきます。

空洞でありながら完成している、完成していながら空洞である、というのは、ゆらゆら帝国というバンド自体を象徴するものかもしれません。

まとめ

今回は、伝説的なバンド・ゆらゆら帝国をご紹介してきました。
しかし、ここで触れることのできた楽曲は彼らの作品のほんの一部、氷山の一角に過ぎません。

王道のロックサウンドからミステリアスでサイケデリック、時には不気味な楽曲まで、ゆらゆら帝国はその活動の中で実に変幻自在な音楽を奏でてきました。

「なんだか興味が湧いてきた!」「このアルバムなら好みに合うかも……?」と少しでも思われた方は、ぜひゆらゆら帝国の築いた世界をさらに掘り下げてみてはいかがでしょうか。

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