People In The Box – 2022年でデビュー15周年! 多大な影響力を誇るスリーピースを徹底解説

People In The Box – 2022年でデビュー15周年! 多大な影響力を誇るスリーピースを徹底解説

他のミュージシャン、作家への影響

People In The Boxの楽曲は若手のミュージシャンや、別のジャンルの作家にも影響を与えています。

例として、緑黄色社会の長屋晴子は、People In The Boxの「旧市街」(アルバム『Family Record』収録)のMVに衝撃を受けたと話したり、TV「関ジャム完全燃SHOW」に出演した際、『Ghost Apple』を何度も聴いているアルバムとして紹介したりしています。

ちなみに、「旧市街」のMVを手掛けた映像作家の加藤隆は、緑黄色社会の楽曲「夏を生きる」のMV制作にも携わりました
こういう繋がりがあるのを知って曲を聴くのもおもしろいのではないでしょうか。

音楽以外のジャンルでは、なんと、芥川賞作家もPeople In The Boxの楽曲からインスパイアされています。
2018年下期に芥川賞を受賞した上田岳弘『ニムロッド』。この作品はPeople In The Boxの同名の楽曲「ニムロッド」に刺激を受けて書かれたものでした

People In The Boxの持つ独自の世界観と豊かな表現力は、ジャンルの垣根も超えて、様々な表現者に影響を与えているのです。

People In The Boxのおすすめ曲5選! 独自の楽曲世界の入門編

ここからは、People In The Boxの楽曲でおすすめの5曲をご紹介します。
People In The Boxの魅力を掘り下げるには5曲では物足りないところですが、まずは入門編として聴いてみてくださいね。

「翻訳機」と「聖者たち」

まず2曲まとめてご紹介します。

リンクのMVで2番目に流れるのが、先ほどもご紹介したアニメタイアップ曲の「聖者たち」。
もう1曲、最初に流れてくるのが「翻訳機」です。

「翻訳機」は2014年のアルバム『Wall, Window』に収録。
風が吹き抜けるように爽やかで明朗なサウンド、それでいて切なさを感じさせるメロディや歌詞、壮大に広がっていくような曲の展開。最後にもう一度静かに歌われるフレーズには、はっと息を呑むような気持ちにさせられます。

ちなみに、「翻訳機」が気に入った方には『Things Discovered』に書き下ろされた楽曲「木漏れ陽、果物、機関車」もおすすめします。

2曲目の「聖者たち」は一転してダークな曲調。冒頭からベースの低音が曲を引っ張っていきます。
不穏な曲調や歌詞の中にも、サビのメロディや、途中で差し挟まれるメジャーコードには美しさが感じられるでしょう。

この1本だけでもPeople In The Boxの表現力の幅広さをうかがい知ることのできるMVです。

旧市街


続いて、先ほども曲名をご紹介した「旧市街」。2010年のアルバム『Family Record』の中の1曲です。

『Family Record』は、収録曲に世界各国の実在する地名や、架空の地名がつけられていて、全体を通してひとつの物語になっているような印象もある作品。
このアルバムを通して聴くと、People In The Boxの様々な面を見ることができるでしょう。

さて、その中で特定の都市の名前ではなく「旧市街」という曲名がつけられているこの曲。冒頭のベースや攻撃的な雰囲気のサウンド、変拍子、ポエトリーリーディング風の歌詞など、様々な要素から成っています。

冒頭のベースのインパクトは「聖者たち」にも通じるものがありますが、「旧市街」はさらに尖った印象です。

初めて聴いた方は衝撃を受けるかもしれませんが、それでいて何度も聴き返したくなるような中毒性も併せ持っている、不思議な楽曲です。

ニムロッド


4曲目は「ニムロッド」。芥川賞作家に影響を与えた曲として先ほどもご紹介しました。

People In The Boxの歌詞には度々、聖書や神話に出てくるモチーフやエピソードが登場します。
曲名になっている「ニムロッド」は、旧約聖書に登場する、バベルの塔の建設を命じたとされる人物の名前と同じです。
MVのアニメーションも、そのようなストーリーを思わせるものになっています。

歌詞には色々と解釈の余地があるものの、そのような逸話も連想させ、聴き手に物語を想像させる力のある楽曲が、音楽以外のジャンルの作家にも影響を与えるのは頷けます。

歌詞や曲名からは重厚な印象を受けますが、楽曲自体はむしろキャッチーな音色やリズム、メロディで構成されています。

そんな耳馴染みの良いメロディに載せて、「あの太陽が偽物だって どうして誰も気づかないんだろう」など、どきりとさせられるような歌詞を突きつけてくるのもPeople In The Boxの楽曲の凄いところだといえるでしょう。

かみさま


最後は「かみさま」。アルバム『Kodomo Rengou』のリード曲となっています。
壮大に広がっていく音に包み込まれるような感覚が心地よい楽曲です。

「かみさまはいつだって優しい嘘をつく」から始まる歌詞はどことなく皮肉じみている一方、「いってらっしゃい、みてらっしゃい」という、繰り返し登場する歌詞は聴きようによっては前向きな響きを持っています。
とはいえ、この解釈も一通りではないでしょう。

聞き手によって様々なストーリーを読み取り、そこに浸ることができるという懐の深さを持った1曲です。

おわりに

今回は、People In The Boxについて、バンドの歩みや活動、メンバーの人となり、おすすめの楽曲を取り上げてご紹介してきました。

People In The Boxの魅力を掘り下げようと思うなら、今回ご紹介した楽曲はまだまだ序の口です。

『Ghost Apple』や『Family Record』のように、アルバム1枚を通じて一つの物語ができているような作品も多くありますので、ぜひ、1枚を通して聴いたり、色々なアルバムを聴き比べたりして楽しんでください。

デビュー15周年を迎えたPeople In The Box。これから先もどんな音楽的な挑戦を見せてくれるのか、期待が高まるところです。
今回興味を持ってくださった方は、引き続きチェックしてみてくださいね。

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