小説を音楽化するアーティスト「YOASOBI」が話題ですね。
しかし、今回注目したいのはその逆とも言える”小説を執筆した”アーティストについて。
音楽の才能のみならず、文学の才能も持ち合わせたアーティストは少なくありません。
この記事では自身のオリジナル小説を出版したアーティストと、その小説についてご紹介します。
目次
大槻ケンヂ
「歌本大戦」終了。オフコース、ツイスト、拓郎さん、陽水さん、伊勢正三さん、ペドロ&カプリシャス、そしてジュリーまで歌本から弾き語り。個人的にはもちろん楽しかった。そりゃそうでしょうね。ラスト曲は「また逢う日まで」だもの。アーカイブございます。#歌本大戦 https://t.co/WGcCWOuUXt pic.twitter.com/r3E9AvebqP
— 大槻ケンヂ・オーケン (@OfficialOken) February 21, 2021
大槻ケンヂは日本で活動する男性ミュージシャンです。
1980年代から「筋肉少女帯(きんにくしょうじょたい)」というロックバンドのボーカルとして活動しています。
また、同バンドで作詞を務めるだけでなく、氣志團やももいろクローバーZといった有名アーティストに楽曲提供もおこなう音楽界の重要人物でもあります。
そんな彼が小説の執筆を始めたのは1990年頃のこと。
「新興宗教オモイデ教」という作品で小説家デビューを果たしました。
くるぐる使い
「くるぐる使い」は1994年に出版された大槻ケンヂの短編小説集。
非日常的でありながらもどこかリアルなSF・ホラーストーリーが収録されています。
収録作品が漫画化されたり、筋肉少女帯として作品をモチーフにした楽曲をリリースしたりとかなり注目された作品の一つです。
表題作「くるぐる使い」は第25回星雲賞日本短編部門を受賞。
翌年には収録されている物語の一つ「のの子の復讐ジグジグ」が第26回星雲賞日本短編部門を受賞しました。
グミ・チョコレート・パイン
「グミ・チョコレート・パイン」は1993年から2003年にかけて出版された長編小説。
「グミ編」「チョコ編」「パイン編」からなる三部作構成です。
同作品は漫画化のみならず、2007年に映画化もされたことでも話題になりました。
映画には柄本佑や竹中直人、銀杏BOYZの峯田和伸など豪華な俳優陣が出演。
主題歌「少年ヤング」は電気グルーヴが書き下ろしました。
町田康(まちだ こう)
町田康は「町田町蔵(まちだ まちぞう)」という名前で1980年代ごろに活動していたミュージシャン。
「INU」というバンドのボーカルとしてメジャーデビューし、現在は「汝、我が民に非ズ」というバンドで活動中です。
執筆活動を始めたのは1990年代のことで、当初は「供花(くうげ)」という作品で詩人としてデビューしました。
音楽活動、執筆活動の傍ら俳優活動もするマルチプレイヤー。
テレビや映画のみならず多数のCMにも出演しています。
くっすん大黒
「くっすん大黒」は1997年に出版された町田康の小説デビュー作。
妻に捨てられた主人公が家にあった大黒様を捨てようとしたことから始まる文学作品です。
文学作品とはいえところどころに笑いがあるのがポイント。
同作品で第19回野間文芸新人賞を受賞しました。
きれぎれ
いわゆる「ダメ男」が主人公の表題作「きれぎれ」と、「人生の聖」の2編が収録されています。
同作品はなんと第123回芥川賞を受賞。文学界に町田康の存在を認めさせる作品となりました。
藤崎彩織(ふじさき さおり)
藤崎彩織は4人組バンド「SEKAI NO OWARI」でピアノを担当するアーティスト。
同バンドは日本武道館でのライブや紅白歌合戦への出場を果たすなど国内で大成功を収めつつ、2013年以降は活躍の幅を海外へと広げ始めています。
SEKAI NO OWARIでは「Saori」の名前で活動しており、執筆活動で使われている「藤崎彩織」の名前は本名(旧姓)。
執筆活動を始めたのは2017年ごろで、小説の他に新聞や雑誌などでコラムを連載しています。
「文學界」という文芸誌で連載していた「読書間奏文」というエッセイは、のちに同名のエッセイ集として出版されました。
ふたご
「ふたご」は2017年に出版された藤崎彩織のデビュー作品です。
構想から5年以上かけて執筆されたという同作品は、第158回直木賞にノミネートされました。
作品の内容は、「双子のようだと思っている」という関係の夏子と月島を中心とする青春物語。
2020年には文庫本も出版されておりますので、ぜひチェックしてみてください。
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尾崎世界観(おざき せかいかん)
尾崎世界観は4人組ロックバンド「クリープハイプ」でボーカル&ギターを務めるミュージシャン。
2010年にメジャーデビューして以降、リリースする作品が次々とオリコンランキングの上位にランクインし、映画やCMなど様々なタイアップを獲得してきた人気バンドです。
そんな彼が小説家としてデビューしたのは2016年のこと。
現在も音楽活動の傍ら執筆活動を続けており、小説のみならず様々な雑誌で連載を行っています。
自身の音楽活動だけでなく、YUKIやSMAPなど有名アーティストに楽曲提供も行っています。
最近ではテレビのMCを務めるなどマルチに活動中。
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祐介
尾崎世界観の本名である「尾崎祐介」がタイトルになっている通り、作品は半自伝的な内容です。
2019年には「祐介」に書き下ろし作品を加えた「祐介・字慰」も出版されました。
母影(おもかげ)
「母影」は2021年に出版された尾崎世界観初となる純文学作品です。
第164回芥川賞の候補作となったことで大変話題になりました。
作品の主人公は小学生の少女。
母親が働くマッサージ店でカーテン越しに母を思う少女の切なく哀しい心情に注目です。
加藤シゲアキ
『オルタネート 』が先ほど放送された王様のブランチのブックランキングで一位に輝きました🥇
読者の皆さま、書店員の皆さま、ありがとうございます!!!!!#オルタネート #加藤シゲアキ #王様のブランチ pic.twitter.com/7i2jUFBm19— 『オルタネート』公式アカウント (@alt_Shinchosha) November 28, 2020
加藤シゲアキはジャニーズの人気グループ「NEWS」のメンバー。
アイドルグループとしての活動のほか、バラエティ番組や情報番組でのタレント活動、映画や舞台での俳優活動など幅広い分野で活躍しています。
加藤シゲアキが執筆活動を始めたのは2005年ごろのことで、ウェブサイト内や雑誌にて連載を担当していました。
その後、2012年に「ピンクとグレー」で小説家デビュー。
現在に至るまでコンスタントに小説作品を発表し続けています。
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ピンクとグレー
「ピンクとグレー」は2012年に出版された加藤シゲアキのデビュー作品。
芸能界デビューをした二人の青年が主人公の青春小説であり、それぞれの成功や挫折をへて成長していく姿が描かれています。
同作品は出版から1年で発行部数12万部を記録し、2016年には映画化、2017年には中国語版が発売されるなど、処女作とは思えないほどの大ヒットを記録しました。
映画版は中島裕翔や菅田将暉といった人気俳優が出演。作者である加藤シゲアキも登場します。
オルタネート
高校生限定のマッチングアプリを題材とし、主人公の女子高生を中心とした様々な人間模様が描かれています。
同作品は2021年本屋大賞、第164回直木賞、第42回吉川英治文学新人賞にノミネート。
結果的に直木賞と本屋大賞は逃したものの第42回吉川英治文学新人賞を受賞し、アイドルではなく小説家としての確固たる地位を築く一作となりました。
河邉徹(かわべ とおる)
河邉徹はスリーピースバンド「WEAVER(ウィーバー)」のメンバーです。
同バンドではドラムと作詞を務めています。
「WEAVER」では2009年にメジャーデビュー。
「SUMMER SONIC」や「COUNTDOWN JAPAN」など大きな音楽フェスティバルへの出演も果たしました。
そんな彼が小説家としてデビューしたのは2018年。
その後毎年1作品ずつ小説を出版し続けています。
夢工場ラムレス
「夢工場ラムレス」は河邉徹のデビュー作。2018年に出版されました。
同作品はコンテンツ配信サイト「cakes」にて連載されていた物語を単行本化したもの。
自分の夢を変えることで、現実世界での夢を叶えることができるという「夢工場」に辿り着いた人々の人間模様が描かれています。
ファンタジーでありながらも、作品に込められた強いメッセージやラストでの伏線回収が見どころです。
流星コーリング
広島県廿日市中央高校の天文部に所属する高校生4人を主人公とした青春ファンタジーです。
また、同作品の出版をきっかけに「流星コーリングプロジェクト」という企画が派生し、WEAVERは「流星コーリング」というアルバムをリリース。
ゲストボーカルとして人気バンド「HY」の仲宗根泉や声優の花澤香菜が参加しています。
「流星コーリング」はのちに「流星コーリング〜双つ星の願い事〜」というタイトルで漫画版も出版されました。
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加藤ミリヤ
加藤ミリヤは2004年にメジャーデビューした女性シンガーソングライター。
高校一年生の時に「Never let go/夜空」でデビューすると瞬く間に話題になり、女子高生のカリスマ的存在になりました。
楽曲は哀しい恋愛や片思いを歌ったものが多いことから「片思いソングの女王」「マイナスオーラの女王」としても話題の存在に。
ファッションブランドを立ち上げるなど音楽だけでなくビジュアルやファッションも注目されたアーティストです。
ちなみに、小説家としてのデビューは2011年。
2019年以降は著書を出版しておらず、今後の活動が期待されています。
生まれたままの私を
「生まれたままの私を」は2011年に出版された加藤ミリヤの小説デビュー作。
女性の裸を描くヌード専門画家の女性・ミクを主人公とし、様々な出会いの中で起こる複雑な心情や人間模様が描かれています。
加藤ミリヤのファンからは「楽曲の世界観とリンクする部分がある」との声も多く、アーティスト・加藤ミリヤを知る上でも重要な作品です。
本のカバーになっている絵を手がけたのも加藤ミリヤ本人。独特な世界観の表紙にも注目です。
神様
好きな人のために過酷なダイエットに励むモデルや2人の男性で悩む女性など、5人の女性を主人公とした短編が5話収録されています。
また、表題作でもある「神様」は楽曲も制作されており、同年に「Love/Affection」という楽曲と両A面シングルとしてリリースされました。
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まとめ
意外と小説家として本格的に活動しているアーティストが多く、驚いたという方も多いかもしれませんね。
「天は二物を与えず」なんて言いますが、果たして本当なのでしょうか。
ご紹介したアーティストは全員音楽の才能にも文学の才能にも溢れているように思います。
みなさんどちらの活動も現役なので、今後の活躍が楽しみですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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