万華鏡のように多様な世界を繰り広げる音楽が魅力の3ピースバンド、Dios(ディオス)。
ソロアーティストとして実力のあるプレイヤー3人によるバンドで、結成当初から話題を呼んでいます。
本記事では、メンバーの経歴や人気曲をご紹介。
これからますますJ-POPシーンを賑わせること間違いなしのDiosに注目です。
目次
Diosとは?
以前ぼくのりりっくのぼうよみとして活動していたたなか、ギタリストとして世界屈指の腕を持つIchika Nito、シンガーソングライターやトラックメーカーとしての活動の他、ぼくのりりっくのぼうよみの制作にも携わるなど、他アーティストのコンポーザーとしても活躍しているササノマリイによる3ピースバンド。
バンド名は、葡萄酒や豊穣、酩酊の神とされるギリシャ神話のディオニュソス神にちなんで名付けられました。
Diosの音楽は、ヒップホップ、ロック、エレクトロ、ゲーム、アニメなど、3人のバックグラウンドとなる世界が自在に交差するもので、とても一言では形容し難い多様性を持っています。
たなかの聴き手を唸らせるリリックと豊かな表現力、Ichika Nitoの圧倒的な存在感を放つ巧妙なギター、そしてそれらを見事にまとめ上げ、楽曲の世界観を作り上げるササノマリイのセンス溢れるトラック。
楽曲によって、更には1つの楽曲の中でさえも様々なテイストを感じさせるサウンドは、芸術的で実験的で、しかしポップで、娯楽性に富んでいます。
3人の活動は、2021年3月31日に1stシングル「逃避行」を配信したことを皮切りにスタートしました。
その後配信シングルを4曲リリースし、2021年12月には初のワンマンライブ「Dios 1st One Man Live “DAWN”」をSHIBUYA WWWXで開催。
配信曲わずか5曲のみの状態にも関わらず初ワンマンライブは即完売と、その注目度の高さがうかがえます。
2022年6月には1stアルバム「CASTLE」を発売。
7月から8月にかけてはファーストツアー「Dios 1st Tour “CASTLE”」を開催しています。
ライブハウスとしては最大規模の豊洲PIT会場を含め、ツアーは全国5会場全てで満席でした。
Dios 1st tour "CASTLE"
ファイナル、豊洲PIT。
応援してくれている皆様のおかげで素敵なツアーになりました。
またお会いしましょう。本当にありがとうございました!#Dios_Tour pic.twitter.com/GoKhgRUtpZ
— Dios (@_d_i_o_s_info_) August 12, 2022
結成されて間もないながら、Diosというバンドとその音楽は話題を呼び、人々を魅了しています。
Diosのメンバー
たなか(Vo)
前職:ぼくのりりっくのぼうよみと名乗るたなか。
1998年生まれの彼は、ニコニコ動画への投稿からぼくのりりっくのぼうよみとしての活動を開始し、10代限定のロックフェス閃光ライオットではファイナリストに選出されました。
2015年、高校3年生にしてメジャーデビュー。
文学的かつ哲学的なリリックや歌唱力、そのセンスは、若き才能として支持を得ていました。
また、独自の言語感覚が評価され、文芸雑誌『文學界』へのエッセイ寄稿も行うなど、文筆家としても才能を発揮します。
多くの大型タイアップも担当し、順風満々に活動を行っていたかに思えたぼくのりりっくのぼうよみですが、デビューから3年後の2018年9月に突如引退を宣言。
日本テレビの番組『NEWS ZERO』内で「天才を辞めます」と辞職を発表したのです。
Twitterの発言で炎上騒動を巻き起こしたり、人気YouTuberグループに加入したかと思えば1日で脱退したりと、世間の注目を集めたぼくのりりっくのぼうよみ。
そして2019年1月に行われたラストライブ“葬式”をもって、その活動に終止符が打たれます。
後から、荒々しい言動も含め全ては彼が没落していく様子を演じるための故意的なものだったと語られました。
彼は、引退表明時の「ぼくのりりっくのぼうよみという偶像を破壊する」という言葉を体現し、その事実自体をある種の作品のように作り上げることで活動に幕を閉じたのでした。
ぼくのりりっくのぼうよみを辞職した後は、名義を現在のたなかに変更。
日本に多い苗字であるたなかという名義にすることで、何者でもないということを表明したかったと語ります。
誰か特定の人物にならなくても生きていけるのだ、誰しもが同じ人間であり平等なのだというメッセージ。
名前に込められた彼の意図は、自分の存在や価値について思い悩みがちな現代に、自由や健やかな心の大切さを教えてくれているかのようです。
たなか名義となってからは、他アーティストへの楽曲提供やフィーチャリング、自身のYouTubeチャンネルへのカバー動画投稿といった形で音楽活動をしてきました。
音楽以外にも、俳優業やホスト、趣味のボルダリングを活かした広告出演など、多岐にわたる活動をしています。
また、ライブ配信しながら冷凍やきいもを販売するという特殊な形でやきいも屋を営み、やきいもファンの間でも話題となりました。
そんなたなかが、バンドを組んで再び音楽をやることに驚いた方も多いかもしれません。
Dios結成にあたり、彼はTwitterに正直な気持ちを投稿しています。
Diosを始めるにあたっての自分の気持ちを正直に綴りました。 pic.twitter.com/gPPUXZ541u
— たなかです (@aaaaaatanaka) March 31, 2021
Diosとしてはマネジメント事務所アミューズに所属していますが、個人としてのプロデュース業は現在も自らが立ち上げた音楽制作事務所で行っているたなか。
バンド活動と並行して、引き続き音楽制作やディレクション業務も行なっています。
Ichika Nito(Gt)
UKのギター誌『Total Guitar』内で、読者が選ぶ「史上最高のギタリスト100選」にランクインするIchika Nito。
YouTubeチャンネルの登録者数は215万人にも及び、名実共に世界屈指のギタリストです。
彼は多くの海外アーティストの楽曲参加、楽曲提供を行っていて、そのジャンルも様々です。
HalseyやZEDDなどの楽曲プロデュースで知られるJohn Cunninghamを筆頭に、世界のあらゆるアーティストからのラブコールが絶えません。
作品リリースやライブといったソロのギタリストとしての活動も行なっているIchika Nitoですが、2018年からはゲスの極み乙女の川谷絵音や休日課長らとインストバンドichikoroとしての活動も開始しています。
幼い頃からピアノを始めた彼は、ジャズやクラシックに触れ、Bill Evansの作品をきっかけに様々な音楽を聴くようになったと言います。
その後、Iron Maidenの影響を受け、中学生の頃にベースとギターを弾き始めます。
ピアノのように1つの楽器だけで表現しきる音楽をギターでも試みようとした彼は、時間をかけて試行錯誤を重ね、独自の演奏や作曲方法を生み出していきました。
音同士の間を無くすために両手を使って弾くという独特な演奏方法、濃密な音楽表現、高度な技術。
そのような武器を磨いていった彼は、大学生の頃Instagramに投稿したギター演奏動画がアメリカのチャンネルで取り上げられたことから、その名が知られるようになります。
巧みなテクニックと優れた音楽性は、時にバズも起こしながら、海外を中心に広がっていきました。
彼は、注目を浴びるコンテンツとニッチなコンテンツのバランスを取りながら、きちんと音楽が評価されるようにと舵取りをして、ギタリストとしての実績を積んでいきます。
彼がDiosとしての活動も始めたのは、自分以外のミュージシャンと活動するとどのような化学反応が起こるのかという興味が根底にあったようです。
また、彼自身も好きなミュージシャンであるたなかとササノマリイと共に、美しい音楽をつくりたいという思いがあったと語ります。
心の奥底に触れる音楽を目標に掲げるIchika Nito。
その目標に向かうべく、Diosとしての日本メジャーシーンにおける活動も含め、様々な活動を通じて表現に挑んでいます。
ササノマリイ(Key)
クラブミュージックやエレクトロニカ、ポストロックをルーツに持ちながら、ゲーム音楽やポップスなどを自在に組み入れ、独自のサウンドを生み出しているビートメーカー/シンガーソングライター。
アニメやゲーム界隈と親和性の高いササノマリイですが、ぼくのりりっくのぼうよみを筆頭に他アーティストの楽曲プロデュースも手がけてきました。
直近でも私立恵比寿中学の楽曲編曲、yamaへの楽曲提供など、様々な作品に携わっています。
彼の楽曲制作のスタートは、アニメで流れた新居昭乃の楽曲をきっかけにキーボードに触れ始めたり、ゲームで音楽を作って遊んだりしていた小学生の頃だったと語ります。
そして中学生の時、パソコンを使って本格的な楽曲制作を開始。
高校2年生で自身の楽曲をネットにアップし始めました。
彼は当初、ねこぼーろ名義のボカロPとして活動していて、「戯言スピーカー」という楽曲が多くのネット発アーティストにカバーされたことでニコニコ動画の殿堂入りを果たします。
その後2014年にササノマリイという名義で、シンガーソングライターとしての活動も開始しました。
複雑な重なりや深さを持つサウンド、美しく温かなメロディーと歌声、鋭く痛切な歌詞。
それらが融合した彼の音楽は、唯一無二の世界観をまとっています。
学生時代にグラフィックデザイナーを目指していたこともあった彼は、デザインやアートにも関心が高いアーティスト。
「共感覚おばけ」という楽曲のMVは、海外でアニメーション関連の様々な賞を受賞していて、映像作品としても高く評価されています。
たなかとIchika Nitoが共に活動することを決めたときに、歌、ギター、ベース以外を全て担える人物として声がかかったのがササノマリイでした。
当初彼は断ったと言いますが、Ichika Nitoから送られたギターのデータに感服したことからトラックを作り、そこにたなかの歌が乗せられていくにつれて、気持ちが高まっていったそうです。
3人の実力と個性が重なったときに生まれるものの素晴らしさや、3人で音楽を作り上げていくことの楽しさは、ササノマリイにとっても大きかったに違いありません。
Dios結成の前スランプに陥っていた時期があったという彼ですが、Diosの活動をきっかけにその時期を抜け、メンバーからも顔色が良くなったと言われています。
精神的、技術的にも更に上を向いて、彼の躍進は勢いを増す一方です。