ぼっち・ざ・ろっく! × アジカン【作品解説】ファンならニヤリのオマージュを徹底解説

ぼっち・ざ・ろっく! × アジカン【作品解説】ファンならニヤリのオマージュを徹底解説

ぼっち・ざ・ろっくでオマージュされたASIAN KUNG-FU GENERATIONの名曲5選

転がる岩、君に朝が降る

第1話「転がるぼっち」および最終話「君に朝が降る」の元ネタであり、結束バンドによるカバーが最終話のエンディングテーマとしても使用された楽曲「転がる岩、君に朝が降る」。2008年2月6日にリリースされた11thシングルです。

当時は、メンバー間でのセッションから曲作りに取り掛かることの多かったアジカン。しかし本楽曲では、後藤がメロディと歌詞を先に作り込み、後からアレンジを組み立てるという手段で制作されました。そのため、歌をいかに引き立てるかを重視したそうです。

シンプルな8ビートと素朴なギターの音色が後藤の歌声に寄り添い、「出来れば世界を僕は塗り変えたい / 戦争をなくすような大逸れたことじゃない」という歌い出しで語られる、切実な思いを響かせます

結束バンドによるカバーは、「ぼっちに一番合っている曲」ということで、原作者のはまじあきが選曲。「俳優や映画スターには成れない / それどころか君の前でさえも上手に笑えない」と自身の無力さを嘆きつつ、それでも希望を見出そうとする本楽曲の歌詞は、愛すべきメンバー達とステージを共にしたぼっちの心情とリンクしているかのようです

歌唱はぼっち役の青山吉能が担当。ソロアーティストとしても活動しており、高い歌唱力を武器に流麗な歌声を響かせている彼女ですが、本楽曲でのボーカルは引っ込み思案なぼっちそのもの。キャラクターのイメージにぴったりな、不器用ながらも真摯な発声を、声優ならではの優れた表現力で実現させています

ほぼ原曲通りのアレンジながらも、ぼっちの演奏力を意識し派手なギターソロを加えたり、話し始めの「あっ」を意識してブレスの聴こえ方を調整するなど、隅々でこだわり抜かれた名カバーです。

君の街まで

第7話「君の家まで」の元ネタ、および第3話にてMVをオマージュしたシーンが登場する「君の街まで」。2004年9月23日にリリースされた6thシングルです。

第3話の冒頭、ぼっちが登校準備している場面で突然登場する、2人のシンクロ選手とザリガニの親子、サングラスをかけた男性。一見意味不明なこのシーンですが、実は全て、本楽曲のMVに登場するキャラクターなのです

シンクロ演技のバックでアジカンが演奏していると、プールの中に突如巨大なザリガニが出現。シンクロ選手の1人を連れ去ってしまうという、シュール極まりない内容のMV。SPACE SHOWER Music Video Awards 2005にて、BEST CONCEPT VIDEOを受賞しました。

イントロの儚げなアルペジオが、切なさを演出する本楽曲。骨太なパワーコードとキャッチーなメロディーが心地良い、アジカンの王道とも言える一曲です

ダンシングガール

第4話「ジャンピングガール(ズ)」の元となったのは、2018年12月5日にリリースされた9thアルバム「ホームタウン」に収録された楽曲「ダンシングガール」です。

ミドルテンポで重心の低いサウンドが特徴の本楽曲は、なんとアジカンのルーツの一つでもあるWeezerのフロントマン、リヴァース・クオモと後藤による共作。リヴァース・クオモが英語でデモを制作し、後藤がそれを日本語に書き直すという作業が行われたそう。

世界的なソングライターによるサビのメロディーとコーラスワークの美しさは流石の一言。2番サビ後の間奏では、アジカンの楽曲にしては珍しくヘヴィーなサウンドが展開され、暗雲が立ち込める不穏な空気を作り出し、空が晴れ渡っていくようなラストサビの爽やかさを引き立てています。

「あの娘が笑ったんだ」「もう どこへでも行ける気分さ」という歌詞は、第4話から本格的に結束バンドに加わる、ぼっちとは対照的なザ・陽キャのボーカル&ギター担当・喜多を連想させます

八景

ぼっちが大酒飲みの凄腕ベーシスト・廣井きくりと出会い、ライブハウスのチケットノルマを達成すべく路上ライブを行う第6話「八景」。サブタイトルは、同名の楽曲からそのまま名付けられています。

定番のシングル曲からファンに人気のアルバム曲まで、幅広いアジカン楽曲を取り上げたぼっち・ざ・ろっく!ですが、「八景」はその中でも特にコアなアルバム未収録曲。

2016年7月13日にリリースされた23rdシングル「ブラッドサーキュレーター」のカップリングに収録された本楽曲は、ギタリストの喜多がメインボーカルを担当。多くの楽曲で美しいコーラスを紡いでいる彼の、透明感溢れる歌声を堪能できます

WeezerMy Name Is Jonas」を思い起こさせる6/8拍子のパワー・ポップから、前のめりな疾走感溢れるビートへとスイッチする思い切った展開が印象的な本楽曲。歌詞では、神奈川県横浜市南部に位置する景勝地・金沢八景の景色が綴られています。

関東学院大学で結成されたアジカンにとって、そのキャンパスがある金沢八景はまさに地元。そして、劇中の描写から、ぼっちの出身地も金沢八景と考えられ、第6話で行われる路上ライブも金沢八景の駅近辺とされています。

サブタイトルからその内容まで、製作陣の深いアジカン愛に満ち溢れた回ですね

アフターダーク

文化祭ライブに対して揺れ動くぼっちの心情を描いた第10話は「アフターダーク」。2007年11月7日にリリースされた同名のシングルは、テレビアニメ「BLEACH」のオープニングテーマにも起用されています。

イントロの変則的なドラムビートを始めとした、ユニークなリズムが特徴的な一曲。異なるリフを奏でるツインギターの絡み合いも聴き応え抜群のキラーチューンです。

歌詞は、宮沢賢治の童話「よだかの星」をモチーフにしているそう。物語の中で、醜さゆえに周囲から嫌われ、空へと旅立つことを決意し、やがて星になったよだか。その姿は、自身の劣等感に押し潰されそうになりつつも、ステージに立つことを決意するぼっちと重なります。

「夢なら覚めた / だけど僕らはまだ何もしていない / 進め」のフレーズは、そんな彼らの背中を押しているように感じられます

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最後に

2022年を代表するアニメとなったぼっち・ざ・ろっく!。2023年4月23日には、ミニライブを含むスペシャルイベントが開催予定と、ぼざろ旋風はまだまだ止まりません。

アジカンの後藤は、前述のポッドキャストにて、「ぼっち・ざ・ろっく!でロックに興味を持った人には他のバンドも聴いてみて欲しい」「アニメを見たことがない人にもぼっち・ざ・ろっく!を見てみて欲しい」と語っています。

是非、ぼっち・ざ・ろっく!をきっかけに、興味の幅を広げてみてください。

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