クリープハイプ【人気曲解説】2010年代以降の日本ロックシーンを席巻! 珠玉の名曲10選を徹底解説

クリープハイプ【人気曲解説】2010年代以降の日本ロックシーンを席巻! 珠玉の名曲10選を徹底解説

2022年にメジャーデビュー10周年を迎え、今や国民的な人気を誇るロックバンド、クリープハイプ

メンバーは尾崎世界観(Vo/G)、小川幸慈(G)、長谷川カオナシ(B)、小泉拓(Dr)の4人。

2009年より現行メンバーにて活動を本格化し、下北沢DaisyBarというライブハウスを拠点に精力的にライブ活動を行い、2012年にアルバム『死ぬまで一生愛されると思ってたよ』でメジャーデビューを果たし、メジャーデビューシングル『おやすみ泣き声、さよなら歌姫』で週間オリコンチャート初登場7位を記録。デビュー以来、現在に至るまで唯一無二の存在感を放っているロックバンドです。

そんなクリープハイプの魅力を堪能できる名曲を厳選して紹介していきます。

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クリープハイプ名曲厳選10選 Part.1

HE IS MINE

2010年、メジャーデビュー前に発表したアルバム『踊り場から愛を込めて』に収録されている、現在でもライブではお馴染みの楽曲です。この楽曲で歌われるのは恋する女性の心情なのですが、そこは尾崎世界観。一筋縄ではいかないこじれた恋愛感情を取り上げています。

好きな人の彼女になったけれど、この関係がいつ終わりになるかわからないという不安が根底にある内容になっています。付き合えたからといってすべてハッピーというわけではなく、その先にある疑念や不安によってジェットコースターのようにアップダウンする情緒を、ヒリヒリした疾走感を携えたバンドサウンドで表現しています。

クリープハイプの楽曲の特徴でもある、サビでひとつのワードを連呼する手法はこの楽曲でも生かされています。

<愛 愛 愛 愛 愛してない訳 / 無い 無い 無い 無い 無いけどさ>

と叫ぶサビは、愛ゆえの苦悩を歌っています。愛してない訳無いけどさ…という煮え切らない表現があまりにも的確に、愛ゆえに不満を抱えるあらゆる人に刺さるのではないでしょうか。

絶妙な感情を歌ったことで多くの人々の心に刺さった、初期クリープハイプを代表する1曲になっています。

イノチミジカシコイセヨオトメ

2012年のメジャーデビューアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』に収録。もともとはインディーズ時代の自主製作音源『東京とライブ』に収録されていたものをメジャーデビューアルバムに再録し収録された、ファンの間でも非常に人気の高い楽曲です。

ギターソロも歌メロに沿ったシンプルなもので作られているなど、変化球なしのストレートな楽曲構成となっています。そんな楽曲にのせて歌われるのは、あるピンサロ嬢の心情です。自らを汚れたと評する彼女は、純真無垢だった子供時代をたまに思い出し、長生きする気もないと嘯き、OLになっていたかもしれない別の人生を夢想しながらただ毎日を生きています。

<明日には変われるやろか / 明日には笑えるやろか>

何度も繰り返されるこのフレーズは、今日をうまく生きられなかったすべての人に届きます

激しく歪んだギターが鳴るアウトロは、絶望の中わずかな光をぼんやりと追い求めながら無慈悲に過ぎ去る日々を象徴するようなエモーショナルな名演です。

手と手

こちらの楽曲もアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』に収録。アルバム内での曲順が『イノチミジカシコイセヨオトメ』の次であり、そのアウトロ後のギターのフィードバック音からこの楽曲は始まります。さらにイントロのギターは前曲のアウトロのままファズが効いて激しく歪んだ状態であるなど繋がって構成されています。『手と手』というタイトルからも「繋がり」というワードを意識せざるを得ないニクい演出ですね。

Aメロ部分を1番と2番では別メロで歌い分ける美しくキャッチーな歌メロが楽曲を引っ張っていきます。歌詞の内容は愛していた人を失ってしまった男性の空虚な感情を歌ったものですが、これでもかというほど全編にわたって名フレーズで溢れています。

<本当の事を言えば毎日は / 君が居ないという事の繰り返しで>

<もっと本当の事を言えば毎日は / 君が居るという事 以外のすべて>

これ以上ないと言うほどの空虚さと切なさを言葉にした名詞作です。愛する人を失ったというテーマはよくあるものですが、一節の言葉でここまでの表現力を持つ詞はそうあるものではないでしょう。尾崎世界観のワードセンスがとてつもないことを痛感させられる、まごうことなき名曲です。

オレンジ

こちらもメジャー1stアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』に収録。きらびやかなギターの音が全編にわたり散りばめられた、ミッドテンポのナンバーです。これまで初期衝動に駆られたアグレッシヴな曲調の楽曲を紹介してきましたが、こういった「聴かせる」ような楽曲でも歌詞のストーリー展開や構成などで仕掛けをつくっているのもこのバンドの魅力と言えます。

<あのオレンジの光の先へ / その先へ行く / きっと2人なら全部上手くいくってさ>

歌い出しはサビからで、どこかありきたりのような何の変哲もない希望を歌った詞に思えます。しかし聴き進めていくと、この一節から受ける印象が徐々に変わっていく構成になっています。内容は夢を追いかける男性と、その生活を支えてくれている女性のストーリー。最初はきっとうまくいくと確信して始めた交際そして同棲も、男性はお金はないが夢を捨てきれず、女性は夜の仕事に就いてまで生活を支えざるを得ない状況になっていきます。男性はそんなヒモ生活を自分勝手に「安定した日々の退屈」と呼び、愛想を尽かされたのか二人は別々に暮らすことになります。こうして歌詞のストーリーを追っていくと、サビのフレーズはもはや実現不可能な空虚に響くかつて希望だったものという印象へと変貌していきます

同じフレーズを、展開によってまったく真逆の意味合いに変えてしまうギミックを仕込んだ詞のストーリー構成は圧巻です。

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