ORIGINAL LOVE-次世代に多大な影響を与えた都市型音楽のレジェンド|30年の歩みを徹底解説!

ORIGINAL LOVE-次世代に多大な影響を与えた都市型音楽のレジェンド|30年の歩みを徹底解説!

2021年メジャーデビュー30周年を迎えたOriginal Love(オリジナル・ラブ)。デビュー以来メンバーチェンジを繰り返し、1995年以降は田島貴男のソロユニットとして活動を続けてきました。

1990年代初頭、フリッパーズ・ギターピチカート・ファイブと並び”渋谷系”と呼ばれた都市型音楽の草分けとして知られていますが、Original Love・田島貴男はそのようにカテゴライズされることを嫌っていたようです。

アルバムごとに音楽性の振れ幅を醸成してきたOriginal Love。ブラックミュージックをベースとしたあらゆるジャンルを網羅したグルーヴ感あふれるサウンドは、次世代のミュージシャン達に多大な影響を与え続けています。

今回はそんなOriginal Loveのこれまでの歩みを詳しくご紹介していきます!

Original Love/経歴

Original Loveは1985年、田島貴男(ボーカル/ギター)を中心として結成されます。当初はバンド・The Red Curtain(レッド・カーテン)として活動していました。1995年以降のソロユニット・Original Loveとなるまで激しくメンバーチェンジを繰り返しています。

デビュー当時のメンバー

  • 田島貴男/ボーカル・ギター
  • 村山孝志/ギター
  • 井上トミオ/ベース
  • 宮田繁男/ドラム

1991年6月のデビューシングル「DEEP FRENCH KISS」は通常盤8cmCDと限定3曲入り12cmCDの2種類を発売。同年7月に発売された1stアルバム「LOVE! LOVE! & LOVE!」はデビュー盤にもかかわらず、メジャーデビュー以前からの集大成的アルバムとして2枚組でリリースされます。

2ndシングル「月の裏で会いましょう」がドラマ「BANANA CHIPS LOVE」の主題歌に起用され、その年の暮れには第33回日本レコード大賞において最優秀アルバム・ニュー・アーティスト賞を受賞するなど一躍世間の脚光を浴びました。翌年にはちわきまゆみや本木雅弘をはじめとする歌い手たちに楽曲提供するなど、精力的に活動の幅を広げていきます。

ピチカートファイブの2代目ボーカリスト時代

デビュー前、田島貴男はOriginal Loveでの活動と並行して、小西康陽率いるピチカート・ファイブに2代目ボーカリストとして在籍。3枚のアルバム制作に参加しています。しかしOriginal Loveの活動に専念したいとの理由で1990年には脱退しました。

Original Loveのライブ定番曲としても知られる「夜をぶっとばせ」は、原曲をピチカート・ファイブ加入後にホーンアレンジなどを加えてリメイクされた楽曲。


Original Loveの1stアルバム「LOVE! LOVE! & LOVE!」ではセルフカバーという形で収録されています。初期Original Loveのマスターピースとして呼び声高い1曲ですよね。

都市型音楽”渋谷系”の旗手として

元々はパンクやロックばかり聴いていたという田島貴男。R&B、ファンク、ジャズ、HIP HOPなど、あらゆる音楽ジャンルをルーツとするOriginal Loveサウンドのグルーヴを創り出すには相当苦労したと語っています。しかし彼のボーカルはアルバムを出すごとに大人の色気が漂う艶やかな声へと深化し、よりグルーヴ感あふれる楽曲へと導きます。


1991年のデビュー以来、都会的で洗練されたオシャレな”渋谷系”サウンドとして世間から認知されます。”渋谷系”の代名詞的存在であるフリッパーズ・ギター・小山田圭吾と小沢健二はOriginal Loveの大ファンであることを公言しており、方向性としてのアプローチに違いはあるものの多大な影響を受けているのは確かでしょう。しかし田島貴男自身は”渋谷系”としてカテゴライズされることを嫌い、ステージ上で”俺は渋谷系じゃねぇ!“と叫んだというエピソードが知られています。

田島貴男のソロユニット・Original Loveへ

メンバーチェンジが激しかったOriginal Loveですが、1994年6月発売の4thアルバム「風の歌を聴け」がオリコンチャート初登場で1位を記録。このときすでに田島貴男とベースの小松秀幸、キーボードの木原龍太郎以外のメンバーが離籍していました。

そんな中でサポートメンバーを迎えて制作された「風の歌を聴け」は、高い完成度と心地よいグルーヴ感に圧倒される1枚。多彩なサウンドに厚みを加えるホーンセクションが耳なじみよく、何度でも繰り返し聴いていたくなるようなOriginal Love最高傑作ともいえる名盤です。およそ30年近く前のサウンドとは思えないほど、洗練された高い音楽力とセンスに驚かされます。

しかし翌年の1995年、5thアルバム「RAINBOW RASE」発表を最後に、メンバー2人が離籍。Original Loveは田島貴男のソロユニットとして活動していくことになります。
以降も数々のサポートメンバーを迎えながら精力的にライブ活動を続け、楽曲制作にも円熟味を増し躍進していきます。

東京スカパラダイスオーケストラfeat.田島貴男「めくれたオレンジ」

2001年には東京スカパラダイスオーケストラの歌モノ3部作・第1弾として、田島貴男がゲストボーカルを務めた「めくれたオレンジ」がリリースされます。作詞は谷中敦、作曲は川上つよしで、大人の色気漂う意味深な歌詞と田島貴男のボーカルをより魅力的に引き出す伸びやかなサビが聴きどころの本曲。YouTubeでの再生回数が700万回を大きく上回るほど根強い人気のある楽曲です。

東京スカパラダイスオーケストラが2015年にクリープパイプの尾崎世界観をフィーチャーした両面A面シングルでは、「めくれたオレンジ」のアンサーソングともいえる「めくったオレンジ」が収録されています。この曲によって、田島貴男が歌う「めくれたオレンジ」が女性との別れを男性目線で描いた曲であることがわかるというもの。気になる人はぜひどちらもチェックしてみてくださいね。

あわせて読みたい!

Original Love/30thイヤープロジェクト

2021年6月、デビュー30周年を迎えたOriginal Love。30thイヤープロジェクトとしてOriginal Loveのこれまでが凝縮した魅力的なラインナップがスペシャルリリースされました。

アナログ盤リリース


メモリアルリリース第1弾としてデビューアルバム「LOVE! LOVE! & LOVE!」に続き、2ndアルバム「結晶-SOUL LIBRATION-」のアナログ盤をリリース。さらに11月3日・27日のレコードの日に合わせ、7インチレコード8枚組スペシャルボックス「Free Soul Original Love 90s ~Special 7inch Box」を限定リリース、「SUNNY SIDE OF ORIGINAL LOVE」は2枚組でアナログ化しリイシューされました。

オフィシャルカバーアルバム 「What a Wonderful World with Original Love?」


2021年9月リリースのOriginal Love初となるオフィシャルカバーアルバム「What a Wonderful World with Original Love?」。Original Loveサウンドに魅了され影響されてきた若手アーティストや、長きにわたり親交の深めてきたアーティストたちによる色とりどりのリスペクトのかたちがパッケージされた珠玉のカバーアルバムです。

参加アーティストは、2016年にふたりソウルショウとして共演したペトロールズの長岡亮介や、椎名林檎斉藤和義、新時代シティポップを牽引するYogee New Wavesなど錚々たるメンバー。かつて田島貴男の才能を見出しピチカート・ファイブでの活動を共にした小西康陽の「夜をぶっとばせ」は必聴です。

あわせて読みたい!

オールタイムベストアルバム「Flowers bloom, Birds tweet, Wind blows & Moon shining」


30thアニバーサリーリリース第2弾としてリリースされた「Flowers bloom, Birds tweet, Wind blows & Moon shining」。Original Loveの前身バンドであるThe Red Curtain時代の「Orange Mechanic Suicide」から最新シングル「Dreams」までおよそ35年にもおよぶOriginal Loveの歩みがコンパイルされています。これまでOriginal Loveに触れたことがないという人にも、都市型音楽の台頭・Original Loveサウンドを浴びるように体感できる超大作ベストアルバムです。

Original Love/代表曲

いま聴いてもまったく色褪せないOriginal Loveの代表曲を紹介していきましょう。聴いたことがなかった人も、この名曲の数々をぜひ体感してみてください!

接吻 kiss


いまや多くのミュージシャンにカバーされる1993年リリースの5thシングル「接吻 kiss」。大人の恋を思慮深い歌詞で表現した田島貴男の情感豊かなソウルナンバーで、Original Love最大の人気曲です。ドラマのタイアップとして制作した本曲。当時ラブソングを日本語で書くことを研究していたという田島貴男ですが、「接吻 kiss」はたった3分で書き上げたとか。作詞家・阿久悠の詩集を読みこんだ影響が表れているかもしれないと振り返っています。

また2021年6月14日、デビュー30周年の記念日にはOriginal LoveとOvallのコラボレートで新録した「接吻」を配信。オリジナル曲より気怠く淡々と歌い上げる田島貴男のボーカルと、Ovallのタイトなサウンドが絡み合い絶妙な音空間を創り出しています。

あわせて読みたい!

朝日のあたる道 ―AS TIME GOES BY―


1994年にリリースされた6thシングル「朝日のあたる道 -AS TIME GOES BY-」。宮沢りえ出演で話題になったシャンプーのCMソングとして、音楽ファン以外にも広く人気を博した曲です。田島貴男自身も思い通りのラブソングになったと語るほどの自信作ですが、サビの歌詞がなかなか思いつかずスタッフからのダメだしを幾度と浴びたとか。最終的には熱を出して点滴を打ちながらのレコーディングでやっと完成したそうです。


いつの日よりも 今の君が一番いとおしい
My sweet heart
永く いつの日もずっと 今の君をこのまま愛したい
My sweet heart

何度も何度も練り直し完成したサビの歌詞。ひとりの女性をその瞬間のまなざしで想い続ける男性の心情を、溢れんばかりの幸福感で歌い上げる田島貴男のボーカルの魅力が余すところなく繰り広げられる極上のラブソングです。

プライマル


1996年、通算8枚目となる大ヒットシングル「プライマル」をリリース。ドラマ「オンリー・ユー~愛されて」主題歌に起用されオリコン初登場5位を記録しました。ひとりの女性を一途に思い続ける切ない男の心情を、包容力と温かみのある声で歌い上げる田島貴男のボーカルがグッと胸に迫ります。


きみにいつまでも見とれたい 何もいらないよ
きみを愛してるよ 心の底から
愛はいのちよりも前にあるから

シンプルな言葉のつなぎ合わせの中に、これほど深い愛情を表現できるのも田島貴男ならではの魅力。結婚式でも多く歌われれるというラブバラードの決定盤です。

サンシャインロマンス


サンシャインロマンス」はOriginal Loveの3rdアルバム「EYES」の先行シングルです。5人編成の頃の楽曲で作詞はキーボードの木原龍太郎が担当しています。トロピカルなサウンドとホーンセクションが絶妙に絡み合ったソウルフルなナンバー。太陽が照りつける海にけしかけられ、恋愛を謳歌するフレッシュな感覚を熱く歌い上げる田島貴男の太く伸びやかなボーカルが印象的です。

まとめ

今回はデビュー30周年を迎えても尚、音楽性の深化を躍進していく田島貴男のソロユニット・Original Loveのこれまでを紹介してきました。


2022年が明け、念願であったミュージックマガジン2月号で巻頭特集で表紙を飾り弾き語りツアー2022の開催が決定している発進モード全開のOriginal Love。

田島貴男は30周年アニバーサリーリリースに際してこう発言しています。

30年経ちましたがまだまだ続きまっせ。コロナがなんぼのもんじゃとばかりにね

艶やかで力強いソウルフルなボーカルと相まって、30年間変わらないテンションで未来を見据えるパワフルなOriginal Love・田島貴男の今後の活躍から目が離せません。

あわせて読みたい!

この記事をシェアをしよう!

この記事を書いた人

この記事に関連するタグ

関連記事

新着記事