ぺトロールズ – ミュージシャンに支持される3Pバンド|名曲「雨」の徹底解説も!

ぺトロールズ – ミュージシャンに支持される3Pバンド|名曲「雨」の徹底解説も!

音楽好きの間で人気はあるものの、あくまでもマイペースな活動を続けるバンド、ペトロールズ(PETROLZ)

バンドを率いるのは、東京事変のギタリスト浮雲としても知られる長岡亮介です。

彼らの楽曲は多くのミュージシャンから支持され、トリビュート・アルバムにはnever young beachYogee New Wavesなどの若手バンドから、デビュー30周年を迎えたOriginal Loveまでもが参加しています。

「そんなにすごいバンド、ペトロールズってどんなバンド?」という疑問や、人気曲「雨」「Fuel」「アンバー」の魅力についても詳しく解説します!

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ペトロールズ(PETROLZ)とはどんなバンド?

ペトロールズは2005年に結成したスリーピースバンド。

東京事変のギタリスト、浮雲の名でも知られるギタリスト長岡亮介が、サポートプレーヤーとしては再現できない自らの音楽を追求するバンドとして結成。

バンド名は英国でガソリンを指す「ペトロール」が語源となっており、車好きの長岡が命名しました。

ペトロールズのメンバー

まずはペトロールズのメンバーについて、簡単なプロフィールをご紹介します!

メンバー

  • 河村俊秀(ボブ):ドラム・コーラス
  • 三浦淳吾(ジャンボ):ベース・コーラス
  • 長岡亮介 :ボーカル・ギター

ドラムの河村俊秀(ボブ)は高校時代から長岡とともにししゃもというバンドで活動していたメンバー。
もともとはビジュアル系のバンドが好きだったようです。

無駄のないドラミングと確かなリズム感で、行間を意識したペトロールズのサウンドをしっかりと支えています。

ベースの三浦淳吾(ジャンボ)は元ヒップホップバンドLoop Junktionのベーシスト。長岡みずから「一緒に演奏がしたい」とラブコールを送り、ペトロールズに誘い入れました。

ペトロールズのブラックフィーリングを持つグルーヴは、彼のベースなくしては成り立ちません。長岡が惚れ込むのも無理のない、唯一無二のセンスと演奏力で楽曲を引っ張っています。

ギター・ボーカルの長岡亮介は、1978年千葉県生まれ。
父はブルーグラスバンドのギタリスト、母はフォークソングが好きでよくギターを弾いていたという音楽一家に生まれます。

長岡本人は中学生になってからギターを始め、父のバンドでカントリーミュージックを演奏するように。
その後、2000年から本格的にプロのギタリストとして歩み始めました。卓越したテクニックとセンスは他のミュージシャンからもお墨付きですが、ペトロールズではあえて弾きすぎない、静と動のサウンドが特徴です。

 

ミュージシャンが惚れ込む才能、長岡亮介

プロになった長岡は、椎名林檎の兄である椎名純平のバンドでギタリストとして活動していました。
ある時、長岡の演奏を観た椎名林檎からのオファーで東京事変に参加。通称浮雲として活動を開始します。

その後も星野源大橋トリオ野田洋次郎(RADWINPS)高田漣といった、名だたるアーティストのサポートをつとめています。

彼を指名するアーティストは「長岡さんの思うように演奏してほしい」とオファーするといい、とにかくミュージシャンからの信頼が厚いギタリストです。オファーした側も、長岡のギターにより楽曲に新たな息吹が加わるのを楽しんでいるといいます。

椎名林檎は2012年に東京事変がいったん解散した後も、自身のバンドのギタリストに度々長岡を指名するほど彼に絶対的な信頼を寄せています。2020年の東京事変再始動後から現在も、ともに活動を継続中です。

ほかにも星野源が長岡を「世界一のギタリスト」と称するなど、多くのミュージシャンからその才能を惚れ込まれる、ミュージシャンズ・ミュージシャンなのです。

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ペトロールズの音楽性

前述のようにルーツがばらばらの3人ですが、その特性を生かし、型にはまらない音楽を生み出しています。圧倒的な演奏力に、ジャズや、ロック、ソウルにファンク、カントリーなど様々な要素が掛け合わさる洗練されたサウンドがペトロールズの最大の魅力です。

楽曲の作詞・作曲を手掛けるのはギター・ボーカルの長岡亮介。

曲は、長岡の頭の中にある一部のパーツやイメージをスタジオで伝え、3人の化学反応を楽しむようにその場で作られていきます。完成した楽曲は演奏するたびにさらにアレンジが加わり、ツアーで育てていくというから驚き。まさに、独創的なセンスと卓越した演奏力のなせる業です。

名曲「雨」のサウンドと歌詞の魅力

ここからは、長岡亮介が作詞・作曲を手掛けたペトロールズの代表曲、「雨」について、サウンドと歌詞の両面から魅力を考察していきます!

「雨」のサウンドの魅力

テンションコード(ジャズやポップスなどあらゆるジャンルで使われる、基本の和音に独特な響きを加える種類のコード)を多用した、心地よい浮遊感のあるサウンド。そこに雨の情景と、長岡の色気のあるボーカルがぴったりマッチした名曲です。

長岡亮介の声は、何度聴いても飽きない耳馴染みの良い声質。
椎名林檎にも「歌った方がいい」と勧められるほど艶があり、ボーカリストとしても大変魅力的です。

こちらでは弾き語りバージョンを掲載しましたが、アルバム「Renaissance」では、バンドバージョンが聴けます。

バンドバージョンでは、サウンドに厚みと彩りを添え、終始曲をリードしているコーラスが印象的です。
そして、引き算のカッコよさのお手本ともいえるべき、弾きすぎないギターバッキング。
リズム隊はブラックミュージックのようなグルーヴでしっかりギターを支えています。

後半に、長岡の真骨頂ともいうべき空間を縦横無尽に駆け巡るギターソロが挿入。筆者もライブで長岡亮介のギターソロを生で聴いたことがありますが、彼のギターには押し付けがましさがなく、浮遊感のある音で一瞬で別世界にいざなってくれるような心地よさがあります。

MEMO

長岡自身はインタビューで、「この曲は当初ビヨンセを思い浮かべて書いた」と話していたことがありました。
「全米ヒットチャートに上がるような曲を3ピースで合わせていくうちに、全く違う独自のサウンドに仕上がった」のだそう。これも3人で独創的な音楽を奏でるペトロールズらしい、興味深いエピソードです。

「雨」の美しい歌詞の世界

長岡亮介の作る歌詞は、自分を「ひねくれ者」だと形容するように、ストレートな表現ではありません。
聴く側に解釈をゆだねるのが特徴です。

逢いたい気持は この雨のように 全てを濡らして 色を増すように
逢いたい気持は あの日差しのように 全てを照らして 色を増すように

上記は曲中何度も登場する、サビのフレーズ。
抽象的ですが、無色の「雨や日差し」と「色」との対比が美しいですね。

逢えないときは この雨のように 泣けば良い それで良い
逢えないときも あの日差しのように 想えば良い それで良い 色を増すように

こちらは最後のサビ部分。

「雨」というモチーフは、前半のサビでは「色を増す想い」を表していますが、ここでは「涙」の象徴として描かれています。
登場人物の心の移り変わりを雨の描写を通して描く、とても詩的で想像力を掻き立てる世界観に、長岡の作詞センスの良さがうかがえます。

このような叙情的な歌詞から、相当な読書家なのでは?と思いきや、意外にも本人は「本は読まないし映画もあまり観ない」とのこと。
椎名林檎から浮雲というニックネームを付けられるほど「飄々としてつかみどころのない天才」らしい発言ですね。

様々なアーティストからカバーされる「雨」

ここまでご紹介したように、音楽業界には長岡亮介、そしてペトロールズをリスペクトするアーティストが数多くいます。
中でも代表曲である「雨」は、若手ミュージシャンにもカバーされる人気曲。

King Gnu(キングヌー)のボーカル井口理がこの曲をギター弾き語りでカバーし、インスタグラムのタイムラインに投稿していました。そこからペトロールズの存在を知った人も多いのではないでしょうか?

ここでは、その他アーティストによる名曲「雨」の素晴らしいカバーを2バージョンご紹介します。

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Suchmosによるカバー

2021年に惜しくも活動を休止した人気バンド、Suchmos(サチモス)
彼らはペトロールズのトリビュート・アルバム「WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ ?」に参加した際に、「雨」をカバーしています。

温かいエレピの音を全面にフィーチャーした、どこか懐かしさも感じさせるアレンジ。

Suchmosのオリジナル曲の中にあっても何ら違和感がないくらい、楽曲を自分たちのサウンドに生まれ変わらせています。
そのため、Suchmosファンの中には、この曲がペトロールズの曲だとは知らなかった人も多いようです。

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藤井風によるカバー

2021年末に紅白初出演を果たしたことでも話題になった、実力派シンガーソングライターの藤井風

藤井風ならではのピアノ弾き語りでカバーした「雨」を、自身の公式Twitterにアップしています。
R&Bの曲調を歌いこなす声質や、力強いピアノがブラックミュージックの雰囲気を持つ楽曲にマッチした、見事なカバーです。

彼のファンの中でもペトロールズを好きな人は多く、二つの才能の奇跡のコラボに多くの音楽ファンが歓喜しました。

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ラッパー呂布とのコラボで話題になった人気曲「Fuel」

ペトロールズの人気曲のひとつ「Fuel」は、ファンキーな曲調に、時折挟まれるサイケデリックなギターフレーズやソロがクセになる楽曲。

2016年のレコードストアデイ(アメリカが主催の、日本を含む23か国でレコードストアの文化を宣伝し活性化させるイベント、年1回開催される)では、ペトロールズの演奏に呂布カルマGeorge GIVVNによるラップ・パートを加えたスペシャルコラボレーション・バージョンの音源が限定発売。ファンの間で話題になりました。

また、前述のペトロールズのトリビュート・アルバム「WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ ?」では、Original Loveが圧巻のカバーを披露しています。

驚異のギターテクニック!人気曲「アンバー」

うねるベースに印象的なギターリフ、空間をあえて埋めないプレイで3人それぞれの魅力を堪能できる人気曲。

このギターリフには、ディレイ(やまびこのように音が反響する音響効果)がかかっているように聴こえます。しかしなんと、この時は手でディレイと同じ効果を生み出す「手ディレイ」(本人曰く)を駆使していたそう。しかも歌いながら!
まさに、長岡のギターテクニックの高さを物語る驚異的なエピソードです。

そして「雨」でも言及した、リズム隊の完璧なコーラスワークがこの曲でもまた際立っています。吸い込まれそうなサビに、何度もヘビロテして聴きたくなりますね。

ペトロールズのCDアルバム


「MUSIC FOUND BY HDR-HC3」2008年発売 
ライブコンセプトアルバム(ライブ会場・Amazon限定発売)

「EVE2009」2008年発売
ミニ・スタジオアルバム(ライブ会場・タワーレコード限定発売)

「capture 419」2012年発売 
ライブコンセプトアルバム(ライブ会場限定発売)

「Problems」2012年発売
6曲入りミニアルバム(初の全国流通盤)

「dice」2013年発売
7曲入りミニアルバム(ライブ会場限定発売)

「Renaissance」2015年発売
1stフルアルバム(全国流通盤)

「GGKKNRSSSTW」2019年発売
2ndフルアルバム(全国流通盤)

ペトロールズの音源はサブスクリプションサービスでは配信されていません。
また、彼らは「CDは単なる記録でしかない」と言い切っていて、常に変化し続ける生の音楽を重視するバンドスタイル

そのため、2012年発売のミニアルバム「Problems」が初の全国流通盤CDとなり、それ以前のCDはライブ会場限定発売のみという、独自の活動を行っていました。

ファーストフル・アルバム「Renaissance」においては、結成10年目の2015年にようやく一般発売。

MEMO

ファンの間でも特に人気が高いファーストアルバムは再発されておらず、今でも入手困難。インターネット上ではプレミア価格で取引されています。その他、ライブ会場限定で発売されていたCDも今では高額に。

そして2019年、ファン待望のセカンド・アルバム「GGKKNRSSSTW」が全国で流通を開始。
同年には、プレミア化していた2012年発表のミニアルバム「Problems」が再発されます。

さらに翌年2020年にはライブアルバム「SUPER EXCITED」が一般発売されるなど、ようやく多くの人がペトロールズのアルバムを入手できるようになりました。ファンにとっては嬉しい限りですね。

 

さいごに

長岡亮介率いるペトロールズについて、バンドのプロフィールと名曲「雨」の魅力、人気曲「Fuel」と「アンバー」、さらにアルバムCDの情報まで詳しく解説しました。

ペトロールズは多くのミュージシャンや音楽ファンから支持されるも、メジャーでありながら収益を重視しない活動で「あくまでも自然体で自分たちのやりたい音楽をやる。」という独自のスタンスにより、際立った存在感を放っているバンドです。

これからペトロールズを聴きたい人には、まずはギタリスト、ボーカリスト、ソングライターとしての長岡亮介の魅力が凝縮された名曲「雨」をおすすめします。

そして一度ライブに足を運び、生で彼らの圧倒的な演奏を体感してみてはいかがでしょうか?

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