YOASOBI【人気曲解説】“夜に駆ける”で大ブレイク！ 珠玉の名曲6選を徹底解説

「夜に駆ける」の爆発的ヒット以降、数多くの名曲を世に放ち続けている音楽ユニット・YOASOBI。

小説を元にして音楽を生み出す制作スタイルは、音楽ファン・小説ファンの双方から絶大な支持を集めています。

この記事では、YOASOBIの楽曲で特に人気の高い6曲を紹介し、彼らの音楽の魅力に改めて迫ります。

YOASOBIのプロフィール

YOASOBIは、コンポーザー・Ayaseとボーカル・ikuraからなる2人組ユニット。「小説を音楽にするユニット」をコンセプトに、映像と音楽両方で物語の世界を表現しています。

2019年11月にリリースされた1stシングル「夜に駆ける」は、Billboard Japan総合ソングチャート“HOT 100”で2020年年間1位を獲得。2021年12月にはストリーミング累計8億回再生という圧倒的な数字を叩き出し、今なお記録を伸ばし続けています。

その後も「あの夢をなぞって」「ハルジオン」など、原作小説の世界を独自のセンスで音楽へ昇華させ、次々と楽曲を発表。また、アニメとのタイアップ曲やNHKの番組テーマソングへも精力的に取り組み、そのたび大きな注目を集めました。YOASOBIが日本の音楽シーンでいかに存在感を放っているかが分かります。

2022年2月には、島本理生・辻村深月・宮部みゆき・森絵都(もりえと)ら4人の直木賞作家が原作小説を書き下ろし、YOASOBIが順番に楽曲を発表するプロジェクト「はじめての」を始動。文学・音楽界双方に大きな影響を与えました。

▼あわせて読みたい！

YOASOBIの魅力が凝縮された人気曲6選

2021年1月にリリースされた1st EP「THE BOOK」が「読むCD」と評されているように、小説の世界を旅している気分になれる音楽が魅力のYOASOBI。彼らの楽曲はどれも甲乙つけがたい魅力にあふれていますが、今回はその中から厳選した6曲を紹介します。

ぜひ音楽だけでなく、MVの映像と一緒に楽しんでみてください。

夜に駆ける

2019年11月にリリースされたYOASOBIの1stシングル。発表後、各SNSやTikTokを介して爆発的に人気が高まっていき、YouTubeでの再生回数は2億回を突破しました。(2022年8月時点)

「夜に駆ける」は、星野舞夜(ほしのまよ)の小説「タナトスの誘惑」をもとに作られた楽曲。原作はインターネットの小説投稿サイト「monogatary.com」で読むことができます。楽曲は知っているがまだ原作を読んだことがないという人は、ぜひ一度物語の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。

原作小説のタイトルに含まれている「タナトス」とは、死神・死への衝動を意味するワード。死神に魅入られてしまった女性と、彼女を何とか引きとめようとする男性の姿が描かれています。

「夜に駆ける」のMVに注目してみると、画面の左上には「第1章」の文字、右上には曲が進むにつれて増えていく数字があることに気が付くのではないでしょうか。実際に小説の適当なページを開いてみると分かるのですが、ページ上部(あるいは下部)の余白部分には、「第○章」などの文字やページ数が必ずといっていいほど印字されています。

MVでも同じ手法を取り入れることにより、視聴者は目と耳の両方で物語を味わうことができるのです。

楽曲は非常にスピーディーで、サウンド・ボーカル共に音の動きが多く難易度高め。しかし、Ayaseによる洗練されたアレンジとikuraの高い歌唱力により、全くテクニック的なものを感じさせないのが見事です。

王道なコード進行を取り入れつつ、楽器の編成を極限まで少なくしたりベースにトリッキーな動きをさせたりと、独自のアレンジを加えることでリスナーを飽きさせない工夫がなされています。

YOASOBIの音楽を語るうえで、今後も決して語ることのできない名曲です。

▼あわせて読みたい！

あの夢をなぞって

いしき蒼太の小説「夢の雫と星の花」を元につくられた楽曲。2020年1月にリリース・MV公開が行われ、翌年の2月14日には原作小説がコミカライズされたことでも大きな話題を呼びました。

「夢の雫と星の花」は、予知能力をもつ少女・双見楓が、幼馴染の一宮亮に「花火大会で告白される」という予知夢を見るシーンで始まります。亮に想いを寄せているが素直になれず、更には予知夢を見たせいで余計に意識してしまい、素っ気ない態度をとってしまう楓。

ファンタジー要素とラブストーリーの王道シチュエーションが絡み合い、一度読み始めたら止まらなくなる面白味が生まれています。

そんな原作小説をもとに制作された「あの夢をなぞって」は、ピアノ・ギター・ベースなどのバンドサウンドを基調とした爽やかなナンバー。好きな相手を目の前にして素直になれないドキドキ感や、夜空に花火がパッと咲いた時の輝きが、軽やかなピアノや細かく揺れ動くビートで表現されています。

またikuraのボーカルは、戸惑いや期待に満ちたA～Bメロから、一気に想いを爆発させるサビへの盛り上げ方が秀逸。「この想いが報われてほしい」と願う登場人物の心情が伝わってくるようです。

さらに、小説の設定やストーリーを踏まえつつ、世界観をより押し広げる歌詞も注目ポイントです。クライマックス前の「君とここでほらあの夢をなぞる」というワンフレーズには、予知夢で見た景色が実現されてほしいと期待する心や、先の未来へ想いを馳せる様子がぎゅっとつめ込まれています。

シンプルな言葉の一つひとつがまっすぐ胸を打つ、青春ラブストーリー好きにはたまらない1曲です。