YOASOBI【人気曲解説】“夜に駆ける”で大ブレイク! 珠玉の名曲6選を徹底解説

YOASOBI【人気曲解説】“夜に駆ける”で大ブレイク! 珠玉の名曲6選を徹底解説

ハルジオン

2020年5月にリリースされた3作目のシングル。橋爪駿輝(はしづめしゅんき)の小説「それでも、ハッピーエンド」を元に、エナジードリンクZONe Ver.1.0.0とのタイアップ曲として書き下ろされました。

「夜に駆ける」「群青」「怪物」と並び、Billboard JAPANのストリーミング・ソング・チャートで累計再生回数3億回を突破した人気曲です。

ハルジオンは3月~6月にかけ見頃を迎える花で、花言葉は「追想の愛」。原作小説では、自分の元から去ってしまった愛しい人や、相手と過ごした時間に未練を抱きながら、懸命に前へ進もうとする姿が描かれています。

楽曲のMVに注目してみると、インターネットでのやりとりが主流になった「現代の恋愛」らしい要素が沢山つまっているのが分かります。

特に印象的なのが、PCのウインドウを思わせる枠の中に、かつて好きだった恋人との楽しい思い出が映されていくシーン。右上の×(閉じるボタン)を押して画面から消すこともできるのに、つい開いては過去の記憶に浸ってしまう切なさが伝わってきます。

なかなか断ち切ることのできない未練に苦しみながら過ごしていた主人公ですが、やがて前を向き未来へと歩き出す決意を固めます。


あの日のあなたの言葉と

美しい時間(とき)と

二人で過ごしたあの景色が

忘れてた想いと

失くしたはずの未来を繋いでいく

終わってしまった恋を「あんなもの……」と否定するのではなく「美しい時間」と表現するところにAyaseのワードセンスを感じます。

切なさや苦しさだけでなく、前に進むためのエールがつまっている楽曲です。

群青

2020年9月にリリースされたYOASOBI5作目のシングル。同年12月にはYouTubeでMVが公開され、再生回数は1億回を突破しました。(2022年8月時点)

ブルボン「アルフォートミニチョコレート」のCMソングに起用された曲でもあるので、TVで耳にした覚えがある人も多いのではないでしょうか。

「群青」は、漫画家・山口つばさによる人気作品「ブルーピリオド」にインスパイアされて生まれた楽曲。美術に青春を捧げる高校生・矢口八虎(やぐちやとら)が美大合格を目指して奮闘する物語は、多くのファンの胸を打ちました。

歌詞の中にも、「ブルーピリオド」の世界を思わせるワードが登場します。


感じたままに描く

自分で選んだその色で

眠い空気纏う朝に

訪れた青い世界
(1番サビ)

「自分で選んだその色」を信じ、主人公・八虎はキャンバスに自分しか描けない世界を生み出していきます。

私達もまた、仕事や学校・人間関係などさまざまな場面において、時に大きな決断を迫られます。自分の選択がその後どんな結果をもたらすかは誰にも分からないから、キャンバスへ色を落としていく時のように自分を信じて行動するしかありません。

1番サビの歌詞には、失敗してしまうかもしれないという不安を抱えながら、それでも思い切って新しい世界へ飛び込もうとする姿の眩しさが感じられます。


何枚でも ほら何枚でも

自信がないから描いてきたんだよ

何回でも ほら何回でも

積み上げてきたことが武器になる
(2番サビ後のフレーズ)

「何枚でも」「自信がないから描いてきた」というワードは、八虎が苦しみもがきながら必死にキャンバスへ向かう姿をイメージさせます。

どんな分野でも、足を踏み入れたばかりの頃は知識などほとんど無いに等しく、間違いばかりです。上手くいかず、自信のなさを感じるからこそ人はがむしゃらに努力するのでしょう。

そうして積み上げていった経験は、自分の中で揺るぎない武器になります。周りと比べて「自分はまだダメだ……」と落ち込んでしまいそうな時、心を震わせてくれるフレーズです。

怪物

TVアニメ「BEASTARS」の第2期オープニングテーマとして書き下ろされた楽曲。2021年1月に配信リリースされ、3月にはYOASOBI初のCDシングル「怪物/優しい彗星」に収録されました。

各サブスク・動画投稿サイトで圧倒的な再生回数を叩き出しており、YouTubeでは2022年8月時点で2億回以上再生されています。

板垣巴留(いたがきぱる)が原作を手がける「BEASTARS」は、擬人化された草食獣と肉食獣が共に学園生活を送るという特殊なストーリー設定が特徴。種族の違いから生まれる対立や抗えない本能、恋愛感情などがリアルに描かれています。

原作・アニメの世界観になぞらえて書き下ろされた「怪物」は、主人公であるハイイロオオカミのレゴシが抱える葛藤や、強くありたいと願う心が歌われています。注目すべきは、歌詞だけでなくコード進行でもストーリーが意識されている点です。

A~Bメロではマイナー(短調)キーを使い、種族間の争いや学園に蔓延する危うげな雰囲気を表現。サビでは一転してメジャー(長調)キーを使うことで、己の弱さに立ち向かいながら、学園内の問題を解決しようと奮闘するレゴシの姿を連想させます。

また、ikuraのボーカルも「BEASTARS」という作品に含まれている光と陰を絶妙に表現しています。柔らかくまっすぐに伸びていく声質でありながら、楽曲のダークな部分にもマッチしており違和感がありません。複雑に移り変わるメロディを歌いこなす歌唱力に脱帽です。

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優しい彗星

TVアニメ「BEASTARS」の第2期エンディングテーマ。オープニングテーマ「怪物」と同じく2021年1月に配信リリースされ、3月に公開されたMVはYouTubeでの再生回数が3億回を突破しました。

「怪物」では物語全体の空気感や、主人公・レゴシの抱える葛藤などがメインに描かれていました。対する「優しい彗星」では、裏市で活動する暴力組織の組員・イブキ(ライオン)と、チェリートン学園演劇部の花形役者・ルイ(アカシカ)にスポットが当てられています。

自分にも他者にも優しく、学園内では常に気丈な振る舞いを見せているルイですが、過酷な幼少期を過ごしたことで植え付けられたトラウマを密かに抱えています。また、イブキもルイと似た境遇の持ち主であり、種族の違いこそあれどルイに対し尊敬の念を抱くようになりました。

互いの存在がいつしか強い支えとなり絆を育んでいく2人ですが、最後に待っていたのはイブキの死という悲しい別れ。決して逃れられない運命の残酷さや、それでも揺らぐことのない2人の想いの強さに涙した原作ファンも多いのではないでしょうか。

そんな2人の関係性をもとにつくられた「優しい彗星」は、優しく心に染み入るバラードナンバー。YOASOBIの楽曲で頻繁に登場するピアノの音色が、歌詞の美しさやikuraのボーカルを際立たせています。

歌詞・サウンド共に淡々と語るような温度を保つことで、イブキとルイが共に過ごした時間の優しさや尊さを感じさせてくれる名曲です。

最後に

YOASOBIの楽曲はいずれもストーリー性が豊かで、聴くたびに新たな発見があります。

楽曲リリースはもちろん、ライブイベントへも精力的に出演しているので、彼らの音楽を更に深く味わいたいと感じた人はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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