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真夏のダイナソー
今度はガラリと雰囲気が変わって、爽やかな夏空の似合う「真夏のダイナソー」。
楽曲から思い浮かぶ情景の通り、日食なつこが夏のツアーでの移動中に見た雲のイメージが恐竜として描かれています。
「空が足りない」という一言から、生きた恐竜のように高くそびえる雲がありありとイメージできるのではないでしょうか。
この曲ではヨルシカのn-bunaがアレンジに参加しています。
実はn-bunaがボカロPだった頃から好きだったという日食なつこ。
n-bunaに対しては、風景を音楽に昇華することが巧みだと絶賛し、信頼を寄せています。
その信頼のとおり、「真夏のダイナソー」は歌詞もさることながら、メロディやアレンジからも夏の眩しい空と巨大な雲のコントラストを思い描くことができる、爽やかでダイナミックな作品に仕上がりました。
SNSでも「真夏のダイナソー」にちなんだ雲の写真を日食なつこ本人やファンが数多く投稿しているなど、夏の定番曲に育っていきそうです。
他のミュージシャンとの相乗効果によって、日食なつこの楽曲の魅力もより一層の広がりを見せています。
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meridian
続いては2022年3月にリリースされた4枚目のフルアルバム『ミメーシス』から「meridian」。
タイトルになっているmeridianという単語は、ここでは太陽が最も高く昇る瞬間のことを指しています。
18歳の時に作られた楽曲ですが、そうは思えないほど研ぎ澄まされた歌詞とメロディに驚かされます。
ピアノ、ギター、歌という構成のミニマルな印象のバラードでありつつ、光を望まない者、隠れ場所を失った者の嘆きや虚しさを突きつけられるような歌詞。
けれども、むしろこの曲を聴いて気持ちが軽くなったり、楽になったりするという人も少なくないかもしれません。
10年以上の時を経てリリースされ、今なお誰かの胸を打つ作品ではないでしょうか。
√-1
最後にご紹介するのは、同じくアルバム『ミメーシス』より「√-1」。
√-1は、虚数と言われる存在しない数です。
それを曲名に据えて、日食なつこは「いまだに片付かない感情をその速度のまま疾らせるために」この曲を書いたと言います。
答えがわからなくともそれを追い続けるというのは生きることそのものにもつながります。
跳ねるピアノと力強い歌声に、若さや青さ、青春期ならではの熱も感じられる楽曲。
ライブでもトリを飾る1曲として演奏されるなど、既に大役を担っています。
ちなみに日食なつこは、『ミメーシス』を制作する時、好きな作品にインスパイアされて二次創作的に楽曲を作ったと語っており、この「√-1」にも元になっている作品があるようです。
それが何なのか想像するのも一つの楽しみかもしれません。
しかし、もちろん元ネタを知らなくとも、自分の人生、あるいは聴き手の好きな物語に重ねて聴くこともできるでしょう。
ストーリー性を持ちながらも完全に閉じられてはいない日食なつこの楽曲は、だからこそ多くの人を魅了するものとなっています。
おわりに
今回は、日食なつこの来歴、そしておすすめの楽曲をご紹介してきました。
ミュージシャンとしてのキャリアも既に13年に達し、楽曲制作もコンスタントに行ってきた日食なつこには、まだまだ今回ご紹介しきれなかった名曲、名盤が数多くあります。
ぜひ日食なつこの楽曲をもっと掘り下げて、ピアノや歌声、歌詞の鮮烈さや力強さを直に感じてみてくださいね。