【トロット】韓国の演歌? 若者にも人気の新ブームを徹底解説!

【トロット】韓国の演歌?  若者にも人気の新ブームを徹底解説!

韓国の音楽はK-POPだけではありません。ロックやバラード、ハウス曲など様々なジャンルの音楽が存在しています。その中でも今回は、最近韓国国内でブームとなっている「トロット」について紹介したいと思います。

なぜ今トロットなの?トロットって一体なに?どんな曲なの??これから皆さんが「?」と思っている部分について解説していきたいと思います。

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そもそも「トロット」ってなに?

トロット」という言葉は、西洋の社交ダンスで使われているスタイル「フォックストロット」からきているそうです。キツネが歩くように4分の4拍子に合わせて踊るようなリズムが印象的で、日本を経て韓国に入ってきたという説もあります。

MEMO

トロットは韓国人の「恨(ハン)」の感情が込められた大衆音楽で、哀愁が感じられる曲調と歌詞が特徴です。

1950年代は日本を感じさせる曲を歌うことが禁じられた時代もあったり、歌を歌う職業は学歴が低い者が選ぶ職業だというイメージがありました。しかし、その中でもトロットは大衆音楽として人々の間で親しまれてきました。

1960年代になると大学卒の歌手が現れ、変化が見られるようになりました。また、トロット自体も海外の影響を受けて発展を遂げていきました。ロックやバラード、R&Bなど海外の音楽をトロットに取り込んでいったのです。そこには挑戦を試みたトロット歌手の大胆さがあったと感じます。

「黄色いシャツの男」

1970年代以降になると、トロットは韓国国内だけではなく海外でもヒットするようになりました。日本でも日本語に訳されたトロットが大ヒットし、チョー・ヨンピル桂銀淑キム・ヨンジャなど日本で活躍する歌手も出現しました。韓国ドラマ「冬のソナタ」が流行った時代が「第一韓流ブーム」とされていますが、韓流ブームはここから始まっていたのかもしれません。

「釜山港へ帰れ」

1990年代以降は、韓国でアイドルブームが始まります。ソテジ・ワ・アイドゥルやソバンチャなど、歌って踊るアイドルが次々とデビューしていく中で、トロットの人気は下がり始めていきました。しかし、ラジオやカセットなどを通じて年配の人やドライバーたちに長く愛されていました。

再びトロット世間の注目が集まったのは、2000年代に入ってからです。K-POPアイドル全盛期だった2000年代になぜトロットが?と思うかもしれませんが、トロットがアイドル文化に進出していったのです。

2004年に発売されたチャン・ユンジョンの「オモナ」が、トロット曲としては12年振りの1位を獲得するという記録的大ヒットを巻き起こしました。「オモナ」は韓国語で驚いたときに使われる「あらまぁ!」という意味で、歌詞の面白さが世間の目を集めました。

「어머나(オモナ)」

さらにK-POPアイドルグループもトロット曲を発売し、話題となりました。SUPER JUNIORが派生ユニット「SUPER JUNIOR-T」を結成、トロット曲「ロクゴ」を発売しました。当時はアイドルグループがトロットへ進出することについてファンからも否定的な意見があったようですが「10代から親の世代まで共有できる音楽を作りたかった」とメンバーは説明しています。

「로꾸거!!!(ロクゴ)」

MEMO

「ロクゴ」は現在でもSUPER JUNIORのコンサートで披露されている人気曲で、ロクゴ以外にも「トントントン」などトロット曲を発表しています。

2008年にはBIG BANGのD-LITEがトロット曲「ナルバキスン」を発表。この曲はG-DRAGONが作詞作曲に参加しており、その後日本語版でも発売されました。BIG BANGの所属事務所YGエンターテインメントはヒップホップ歌手が所属する事務所として有名で、トロット曲の発表は事務所初となりました。

「ナルバキスン(Look at me, Gwisun)」

そして2009年にはガールズグループ出身のホン・ジニョンがトロット歌手に転身しています。ホン・ジニョンは観客を巻き込むようなステージを得意としており、アイドルならではのトロットを歌い上げています。

「GOOD BYE(잘가라)」

さらに2020年には1990年代にNRGとしてアイドル活動をしていたメンバーのチョン・ミョンフンもトロット歌手デビューしており、話題を呼びました。

「Myung Hoon is going(명훈이 간다)」

オーディション番組によってトロットブーム再来

そして、現在のトロットブームの火付け役となった番組「明日はミス・トロット」が2019年に始まりました。K-POPアイドルの登竜門である「サバイバルオーディション」が、トロットの世界でも開催されたのです。

この番組は女性のトロット歌手オーディションで、番組開始直後から徐々に視聴率を伸ばし続け、最終回の視聴率は18.1%とケーブル放送ながら地上波を押し除け同時間帯1位の視聴率を記録しました。

この番組で優勝すると賞金のほか、イベント出演権100回分と、楽曲提供が副賞になっており、実際に優勝したソン・ガインはバラエティー番組にも出演する機会が増え、商品の広告にも登場するなど一躍大スターとなりました。

また、2019年KBS歌謡祭に出席したソン・ガインは、出演するアイドルグループの名前を歌詞に取り込んだ歌を披露するという面白い試みをしています。

「축제이어라(お祭りだ)」

優勝者だけではなくオーディションを戦った無名の歌手にもスポットライトがあたり、全国各地で「ミス・トロット」のコンサートを行うなど大活躍をみせています。

男性版「ミスタートロット」の放映開始

2020年になると「明日はミス・トロット」の後続番組「明日はミスター・トロット」が放映されました。

この番組は「ミス・トロット」の男性版で、初めて子供の参加が認められました。「ミスター・トロット」は「ミス・トロット」の視聴率を大幅に更新し、なんと30%を超える視聴率を叩き出したのです。

また「ミスター・トロット」で最終選考に残ったメンバーは、広告のモデルに抜擢されたり「トロットマンF4」と呼ばれリアリティ番組の製作もされました。まさにアイドル級の扱いです。

さらに「ミスター・トロット」では子供部門が新設されたことから子供のトロット歌手も次々と注目されるようになりました。イベントへも引っ張りだこで、K-POPアイドルのようにペンライトを持ちながら応援するお母さん世代のファンが駆けつけ、新たなファン層を獲得しました。

特に「ミスター・トロット」で上位にランクインしたメンバーは「トップ7」と称され、メンバーの一員であるチョン・ドンウォンは、13歳という若さでトロット番組に出演しており、高い歌唱力を披露しています。

「Love Twist」

芸能界からも続々とトロット歌手が誕生

トロット歌手のオーディション番組が好評なことを受けて、地上波のテレビ局も次々とトロットを主役にした番組を制作しましたが、「ミス・トロット」「ミスター・トロット」のような爆発的大ヒットとはなりませんでした。

2つの番組は、トロット歌手の売れない時代や生い立ち、一般人が選考に勝ち残り輝いていく様子がうまく描かれていました。トロット歌手を迎えて放送するだけでは高視聴率は勝ち取れません。そこで新たなトロット歌手が誕生しました。

韓国の国民的MCと言われているユ・ジェソクが自身がMCを務めるバラエティ番組でトロット歌手デビューを発表したのです。ユ・ジェソクは、ホン・ジニョンなど様々な有名歌手からアドバイスを受け、さらに楽曲提供を受けてトロット歌手デビューをしました。

「합정역 5번 출구(合井駅5番出口)」

さらに、アルバムの発売とそれを記念するコンサートまで開催しました。さすが韓国を代表する人物だけあって、彼を指導してきたトロット歌手が総出でコンサートを盛り上げたのです。トロット歌手デビューを発表した番組を見ていたファンは若者も多かったため、このコンサートには老若男女問わず様々なファンが駆けつけました。

ついにK-POPアイドルからもトロットグループが誕生

オーディション番組や芸人の参加で賑わいをみせているトロットですが、K-POPアイドルからもトロットへの参戦が始まりました。2020年に「最愛エンターテインメント」というトロットグループをプロデュースする番組が放送され、現役K-POPアイドルと現役トロット歌手がグループを結成。華々しいデビューを飾りました。

「最愛エンターテインメント」では、トロット歌手のチャン・ユンギョン、お笑い芸人のキム・シニョン、SUPER JUNIORのイトゥクがオーディションを行い、歌って踊れるトロットアイドルグループをプロデュースしました。

厳正なオーディションによって、トロット歌手のパク・ヒョンソク、K-POPアイドルとして大活躍しているPENTAGONのフイASTROのMJが選ばれました。また「明日はミスター・トロット」に出演したチョ・ヒョクジンオク・ジヌクもメンバーに選ばれ「タソッジャン(SUPER FIVE)」というグループが誕生したのです。

「タソッジャン」のデビュー曲となった「視線固定」は、トロットの曲調を持ちながらラップやアイドルならではのダンスもあり、まさにトロットとK-POPの融合を感じさせる曲調です。

「시선고정(視線固定)」

彼らはアイドルが出演する音楽番組やバラエティ番組に出演し、若い世代を中心として人気になりました。新型コロナウィルスの影響で観覧者がいない会場には、タソッジャンをプロデュースしたチャン・ユンギョン、キム・シニョン、イトゥクらが駆けつけ、声援を送る姿も見られました。

MEMO

いつもはファンに応援される側であるSUPER JUNIORのイトゥクは「初めてアイドルのファンとして応援した」と感想を述べ、笑いをとっていました。

タソッジャンは番組の終了と同時に活動もなくなってしまったため「これで終わりなのはもったいない」「活動を続けてほしい」といった声があがりました。

まとめ

「トロット=演歌=年寄りが聞く音楽」という公式は昔の話で、トロットは時代の変化とともに様々な姿に形を変えてきました。その全てがトロットの面白さでもあり、奥深い音楽なんだということが感じられたのではないでしょうか。

トロット曲の中には、面白い歌詞や元気になれる音楽もあり、カラオケで盛り上がれる要素も含んでいます。そしてK-POPアイドルが出演するバラエティ番組でも様々なトロット曲が使われることもあり、日本のファンにも耳馴染みがある曲になってきました。

これをきっかけに、トロットの世界も覗いてみてください。いつかバラエティ番組で推しがトロットを歌う機会が来るかもしれません。

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