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最後に
『D-DAY』全10曲を通して感じるのは、「過去は取り返しがつかないから、過ぎた時間への許しが必要で、それがこのアルバムだった」という述懐に表れているような、人間存在へのAgust Dの尊重と愛情です。
「AMYGDALA」や「사람 Pt.2(feat.아이유)」「Snooze」が特に分かりやすいですが、たとえば「해금」で表現されている怒りもまた、愛情の一つの形であると思います。同じネガティブな感情でも、憎悪は人間を邪悪な方向へ変質させかねませんが、怒りは状況をより良くするための正当な闘いの手段でもあるのです。
そして人間関係において、怒りはコストパフォーマンスの悪い行為でもあります。激しい感情が相手に伝わるかどうか分からないため、徒労に終わるかもしれないからです。にもかかわらず怒るということは、その人を愛していることに他ならないのではないでしょうか。だからこそ、怒りに満ちた曲にもAgust Dの深い愛情を感じるのでした。