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ニューアルバム『D-DAY』収録曲を徹底解説!Part.2
AMYGDALA
シネマティック・サウンドのようなメロディにも、叙事的な歌詞にもストーリーを感じる「AMYGDALA」。この曲を制作していた当時のBTSはパンデミックですべての活動が白紙になり、メンバー全員が言いようのない苦しみを抱えていました。
Agust Dは「何でもやってみよう」としていた中で扁桃体(AMYGDALA)という言葉を知ったそうです。扁桃体とは、マイナス感情と深い関係がある脳の神経細胞の集まり。人は恐怖や悲しみでトラウマを負うと、その記憶が呼び覚まされるたびに扁桃体が過剰に反応し、心と体を苦しめてしまいます。Agust Dは、「自分の見たくないものやゴミを押し込んだ家の倉庫から腐った臭いがしていて、その中へ入り整理する」というたとえを使い、ゴミ=トラウマと向き合いながらの楽曲制作になったことを明かしました。
「AMYGDALA」が持つメッセージ「僕を苦しめていたものの考え方や解釈は、僕自身が作り出していたものだった」が『D-DAY』を貫くテーマの一つということで、アルバムの核ともなっているこの曲。なめらかさと激情を交互に操る歌唱に、ボーカリストとしての才能が存分に現れています。
SDL
語りかけるような歌声と穏やかなビート。「SDL」の歌いだしで、Agust Dは声質が抜群に良いのだということを改めて感じます。ムード溢れるこのトラックは、元BIGHIT MUSICプロデューサーでシンガーソングライターのADORAによるあどけないコーラスも絶妙にマッチしています。
タイトル「SDL」は、1小節目に登場する「Somebody does love」の略のようです。恋愛や性愛に限定しない、愛という感情にまつわる複雑さを丁寧に歌い上げています。
사람 Pt.2(feat.아이유)
朗々とした歌声に聞き惚れる「사람 Pt.2(feat.아이유)」は、キャッチーなリズムが耳に良くなじむナンバー。チャートも見据えたコラボ曲で、自身の色合いも出しつつここまで完成度を高められる才能に震えます。IUとは「eight」以来二度目のタッグであり、彼女のハニーボイスに相反するAgust Dのエッジィな声のマッチングが深みを与える素晴らしい曲です。
タイトルは当初「サラ」とした上で、聞く人が「サラム(사람:人)」でも「サラン(사랑:愛)」でも判断すればいいと思っていただけあって、広い解釈の窓を持つこの楽曲。「多くの人に伝えたい話でもあり、自分自身へ語り掛けているようでもある」と明かしています。ちなみに、この曲のデモテープでIUのパートを歌うガイドボーカルを務めたのは、何とジョングク!彼とじっくりコラボしたバージョンも聴いてみたいです。
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