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Crazy Rays(発売:2018年5月30日)
『Crazy Rays』は、1度聞いたら忘れられない「中毒性のある楽曲」です。キャッチーなのにどこか複雑で、ポップなのにスタイリッシュでカッコいい。『Crazy Rays』は、そんな正反対の魅力を併せ持っています。
作詞を担当したのは、真心ブラザーズの桜井秀俊。作曲に携わったのは、Greg Bonnick・Hayden Chapman・Adrian Mckinnon・Takuya Haradaです。このチームは過去に、山下智久のソロ曲『Bird』の作曲も手掛けています。
「Crazy」は「狂気的な、熱狂的な、夢中の」、そして「Rays」は「光、光線、熱線」を意味します。avexのV6公式サイトでは「一瞬のキラキラした部分がずっと続けばいいのに……という大人になっていく過程で感じる、リアルな心情が切り取られた印象的な歌詞」と紹介されており、まさに大人とヤンチャな少年が融合したようなテイストに仕上がっています。また、桜井は「オトナになることがなんだか憂鬱な全ての青二才と、いまだ青いハートを隠し持つ全ての大人に捧げます。We’re still crazy for V6!!」とコメントを寄せています。
49枚目のシングル『Crazy Rays / KEEP GOING』は「特捜9 season1」の主題歌。「警視庁捜査一課9係」シリーズでは渡瀬恒彦が主演を務めてきましたが、惜しくも2017年に彼が他界したことを受け、本シリーズから井ノ原が主演を引き継ぎました。
KEEP GOING(発売:2018年5月30日)
『KEEP GOING』は、WOWOW「スペインサッカー 17-18シーズン 2nd half」のイメージソングです。とにかくカッコよく踊るV6が楽しめる、ダンサブルなこの楽曲。制作に携わったのは、☆Taku Takahashi(m-flo)とJazzin’parkの久保田真吾・栗原暁、Mitsunori Ikeda(Tachytelic Inc.)の4人です。
☆Taku Takahashiは既にご紹介した通り『SP”Break the wall” feat.V6 & ☆Taku Takahashi(m-flo)』でV6に楽曲提供をしています。近年では、Mitsunori Ikedaと共にドラマ音楽を担当するなど、幅広いジャンルで活躍しています。
Jazzin’parkの久保田と栗原は、これまで多くのアーティストにヒットソングを提供してきました。『Crazy Rays / KEEP GOING』のカップリングに収録されている『TL』を手掛けたのもJazzin’parkの2人です。また、久保田はV6の13thアルバム『The ONES』に収録された『Remember your love』の編曲も担当しています。
かつては体操選手張りのアクロバットを披露していたV6ですが、それも歳を重ねていく中で少しずつ封印してきました。しかし、反比例するようにダンスの難易度はどんどん上がっています。井ノ原曰く新曲を下ろす度、振付師に「エグいのちょうだい」と要求しているのだそう。V6の振付師としてお馴染みのYOSHIEは、『KEEP GOING』に特徴的なキャメルウォークを取り入れ、1度見たらクセになるダンスに仕上げました。
アーティストの振り付けで大事にしてる事は沢山ありますが、全体の歌詞の意味は重要ポイント。他にも試行錯誤しますが、かなりの感覚人なので、インスピレーションを信じます。V6さんの49枚目のシングルKEEP GOINGを振り付けさせて頂きました。大好きなキャメルウォークは見た目より難しかとです(^^)
— YOSHIE (@yoshiebbc) May 19, 2018
Right Now(発売:2019年1月16日)
『Right Now』は、清水翔太が書き下ろしたラブソング。好きな相手を自分のものだけにしたいという独占欲が浮き彫りにされています。この楽曲はコンペで選ばれたのではなく、V6のメンバーから直々に清水へ制作を依頼しました。清水は、2018年12月に配信された「翔太ラジオ 年末スペシャル!」にて、『Right Now』の制作秘話を語っています。
楽曲提供やタイアップとなると、通常は依頼者から条件を提示されることが多く、細かいものは楽曲の軸となるBPMまで指定されるそう。しかし、清水は自分のオリジナル曲を他者の条件に合わせて変更することが出来ず、それを伝えると依頼を断られることもしばしばあったそうです。
ところが、V6サイドからは「メンバーも信用しているので好きにやってください」と言われ驚いた清水。実際に完成した作品を提出した後も「翔太さんがこれでいいならこれでいきましょう」と、オリジナルのまま採用されたのです。清水は、V6のメンバーやスタッフが自身の都合を優先してくれたこと、そして作品に対するリスペクトを感じられたがとても嬉しかったと語っています。
2020年11月1日に配信されたV6のLIVE「V6 For the 25th anniversary」では、『Right Now』がオープニング曲として披露されました。”無観客”だからこそ出来た斬新な演出は、ファンにも大好評のライブでした。
All For You(発売:2019年6月5日)
『All For You』は、V6としては初となる全編英語詞のチルウェーブ。穏やかな雰囲気の中に、深く落とし込まれるような妖艶さが魅力です。
冒頭で浮かび上がるのは、一夜を共にした男女が共に迎える朝のシーン。まどろむ主人公の目に映るのは、愛しい人の微笑みです。彼女の瞳は欲望に濡れ、主人公を甘く誘うのでした。
『All For You』は、カップルの日常を艶やかに切り取った楽曲に見えますが、実はやるせない三角関係が描かれています。
どうやら彼女は恋人に振られてしまい、傷心している様子。元々彼女を愛していた主人公は、少しでもその痛みを和らげようと彼女の欲するもの全てに応えようとします。2人の関係は、今だけの一時的な慰めなのかもしれません。主人公は全てを理解した上で「僕は決して君を失うことも離れることもないよ」と繰り返し、持てる愛情を惜しみなく彼女に注ぎ込むのでした。
楽曲提供をしたのは、海外でも根強い人気を誇る覆面アーティストのAmPm(アムパム)です。彼らは『All For You』について「これまで手がけた私たちの制作の中でも苦戦した楽曲」と話しています。しかし、試行錯誤を繰り返した結果、AmPmをはじめとしたChocoholic、Jason Arner Housman、Bane Scottら共作チームの持ち味が見事に反映され、『All For You』におけるリビドーとリラクゼーションの融合に成功しました。
『All For You』は「セブンネットショッピング」のCMソング。同CMには、リーダーの坂本昌行が出演しています。また、2021年10月26日に発売予定のV6最後のベストアルバム『Very6 BEST』では、AmPmが『Can do! Can go!-V626 ver.』のアレンジを担当することが発表されました。
PINEAPPLE(発売:2020年9月23日)
V6の52枚目のシングル『PINEAPPLE』は、大人の格好良さを追及してきたV6の集大成ともいえる楽曲です。音楽番組で披露された際には、イスを使ったパフォーマンスが格好良すぎると話題になりました。
作詞を担当したのは、土岐麻子(ときあさこ)。彼女は、90年代後半から”ポスト渋谷系”として名を馳せた伝説的バンド「Cymbals」のボーカルを務めていました。このバンドは、惜しまれつつも2004年に解散しましたが、シティ・ポップを極めた彼らの楽曲は今なお風化することがありません。
土岐がこの楽曲のテーマに取り上げたのは、遠距離恋愛です。距離が離れれば離れるほど深まる愛情を、熟成した「PINEAPPLE」に掛けてリアルに描き出しました。歌詞の中に、ひときわ存在感を放つ「メロウイエロー」という言葉が登場します。Mellowには「熟した・甘美な」という意味に加え、やや緑がかった爽やかな黄色のことも指します。その優しい色合いから、メロウイエローは幸せの象徴とも言われています。この楽曲の主人公にとって、遠く離れた恋人こそ”甘美と幸福”そのものなのでしょう。
作曲したP3AKとイギリス出身の音楽プロデューサーAndy Loveは、山下智久の『AI』やKing & Princeの『Lover’s delight』等を共作しています。冒頭の森田のソロでは無機質なビートで歌を浮き彫りにし、スマホなどの画面を通すことでしか会えない恋人との距離感や主人公の孤独感を表現しています。楽曲が進むにつれてコード進行が厚みを増し、ボルテージも上がっていきます。理性的な男性が熱く真情を吐露するギャップが『PINEAPPLE』の凝縮されたエネルギーに繋がっています。
MAGIC CARPET RIDE(発売:2021年6月2日)
V6最後のシングルとなった『僕らはまだ / MAGIC CARPET RIDE』。図らずも今のV6の状況をリアルに描き出した『僕らはまだ』と、全く異なるテイストを取り入れた『MAGIC CARPET RIDE』が両A面を飾りました。
『MAGIC CARPET RIDE』の作詞は、前作の『PINEAPPLE』に引き続き土岐麻子が手掛けました。この楽曲は、V6が青春時代を過ごし、デビューも果たした90年代にフォーカスをあてています。まるで過去と現在のV6が共演しているような不思議な高揚感が味わえるのもこの楽曲の魅力です。
作曲にあたったのは、ハウスミュージックを得意とするnote nativeの田尻知之と、Languageというバンドでベースやコンピューターミュージックを担当する本澤尚之です。彼らは、80年代R&Bにエレクトロの要素をたっぷり盛り込み懐かしさと新しさが交錯するグルーヴィーな楽曲に仕上げました。
サビパートではあえてリードボーカルをなくし、シンプルなダンスビートにアクセントとしてコーラスをのせるという斬新な構成をとっています。『MAGIC CARPET RIDE』では、V6が楽曲を通して自分達をどう見せるかという次元を”とうに飛び越えている”ことが分かります。それどころか、自分達の声が楽曲にどんな化学反応をもたらすのか、メンバー自身も心底楽しんでいるように感じられるのです。彼らがアイドルの域を超え、アーティストとして愛される理由もそんな職人気質な面に起因するのではないでしょうか。
最後に
いかがでしたか?今まであまりV6を聞いたことが無かった方にとっては、想像以上に多彩な音楽ジャンルが飛び交っていたのではないでしょうか。何よりも楽曲の変遷を通して、V6の挑戦し続ける姿勢を感じ取ることが出来たと思います。この記事でご紹介した楽曲は、初めてV6を聴くという方でも探しやすいよう、表題曲のみで構成しています。さらに興味を持った方は、ぜひ「V6の攻めたカップリング曲」もあわせてご覧ください。
10月26日には、V6最後のベストアルバム『Very6 BEST』がリリースされます。シングル曲を中心に王道のアイドルソングから今回ご紹介したような攻めきった楽曲まで収録。この一枚があればV6を十分楽しめるベストとなっています。興味のある方はぜひチェックしてみてください。
デビュー26周年を迎える2021年11月1日には、幕張メッセから「LIVE TOUR V6 groove」がライブ配信される予定です。こちらはファンクラブ会員ではない方もチケットの購入が可能です。ラストステージに向けてどんなセットリストを組んでくるのか楽しみですね。
Amazon Prime Videoでは10月22日から会員向けにV6のコンサート映像の配信を開始。2020年に行われたライブ「For the 25th anniversary」を含む8作品が公開されています。また、ジャニーズのリアルに迫るドキュメンタリー番組「Ride On Time」の3rdシーズンも配信中。V6をとりあげたエピソード18-21では、25周年記念ライブの裏側に密着しているので、この機会にぜひチェックしてみてください。
さまざまなコンテンツを楽しみながら、クライマックスに向けて盛り上がるV6を一緒に応援しましょう!
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