2021年7月7日。
この日、新たな人工歌唱ソフトが誕生しました。
その名も「音楽的同位体 可不(KAFU)」、通称「可不(KAFU)」。
大人気バーチャルシンガー・花譜(かふ)の声をもとに制作された、音声合成ソフトです。
花譜の歌声が忠実に再現されている事や、発売前から多くのデモソングが公開された事から話題を呼び、発売直後から多くのボカロP達に使用される大人気人工歌唱ソフトになりました。
この記事では、そんな最新の人工歌唱ソフト 可不(KAFU)のオリジナル楽曲達を紹介!
可不(KAFU)を知るならば、絶対に聴いておくべきオススメソングについて語ります!
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目次
可不(KAFU)とは
オススメ楽曲をご紹介する前に、可不(KAFU)がどんなソフトであるのかについて解説したいと思います。
可不(KAFU)は、バーチャルシンガーの花譜の「音楽的同位体」として制作された人工歌唱ソフトです。
YouTubeチャンネルの登録者数が56万人、そして動画総再生回数が1億回超えを誇る、大人気バーチャルシンガー・花譜のボイスを忠実に再現したソフトとして、発売されました。
皆さん、お手元に可不ちゃん届いてますでしょうか〜?
可不の声でたくさんの曲作ってください!#可不はじめました
のハッシュタグをつけて感想もツイートしていただけると嬉しいです!(可不運営スタッフ)#AI可不 #AI_KAFU #CeVIOAI #KAMITSUBAKI_STUDIO #可不はじめました pic.twitter.com/vWCCc06PKx— 音楽的同位体「可不(KAFU)」 (@kaf_you) July 7, 2021
正式名称は「音楽的同位体 可不(KAFU)」。
「可不(KAFU)」という呼称は、この正式名称の通称として使用されている名前となっています。
ボカロPが使用しているという事や、ボカロ同様にキャラクターとしての外見を与えられているソフトである事から、世間の人々には「ボカロ」の1つとして認知されがちですが、厳密には「ボカロではない」事が判明しています。
ボカロであるかそうでないかを決定するのは、ヤマハの開発した音声合成技術「VOCALOID」が、エンジンとしてそのソフトに使用されているか否かの点にあります。
可不(KAFU)のエンジンとなっている技術は、名古屋の複数の企業からなる会社「CeVIO」が開発した「CeVIO AI」である為、厳密には「ボカロには当てはまらない」ソフトに区分されます。
「CeVIO AI」はAI技術を用いて制作された音声合成ソフトです。
最新のAI技術を用いた事で、声質や癖、歌い方の精度を高め、より人間らしい歌声を再現する事が可能となりました。
この技術により、可不(KAFU)は、花譜の声を忠実に再現した歌声を持つ音声合成ソフトとして誕生。
花譜の歌声を持つ音声合成ソフトとして、多くのボカロP、ボカロファンの注目を集める事となりました。
可不(KAFU)のオススメ楽曲
キュートなカノジョ / syudou
可不(KAFU)を代表する人気曲として、必ず名前を挙げられるのが、この楽曲。
ボカロP syudou(しゅどう)制作の「キュートなカノジョ」です。
本作は、可不(KAFU)のデモソングとして、今年初め頃に各動画サイトで公開された楽曲でもあります。
2021年7月7日に発売された「音楽的同位体 可不(KAFU)」に同梱された、可不(KAFU)のオリジナル楽曲を収録したアルバム「KAF+YOU KAFU COMPILATION ALBUM」の最後に収められています。
syudou曰く、本作は「浮気曲」とのこと。
「キュートなカノジョ」のサイコな恋心を歌ったダークなラブソングとなっており、深い物語性を感じられる歌詞に考察意欲がそそられる1曲として、多くのボカロファンの心を掴んでいます。
可愛らしい可不(KAFU)の歌声も、本作の世界観を深めている要因の1つでしょう。
可愛いトーンの歌声でありながら、歌い方そのものは機械らしい無機質で冷たいものとなっており、このアンバラス具合が、本作の不気味さを増長させているといってもよいでしょう。
なお、本作の続編の楽曲として、初音ミク歌唱の楽曲「カレシノジュード」の公開も、各動画サイトにて行われています。
「キュートなカノジョ」に登場する「カレシ」視点で制作されたこちらの楽曲。
本作だけでは知る事のできない物語展開を目にできる為、ぜひ本作と共に聴いてほしい1曲となっています。
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フォニィ / ツミキ
ボカロP ツミキによる可不(KAFU)ソング。
「キュートなカノジョ」同様、可不(KAFU)を代表する楽曲として名が挙げられる事が多く、さらには2021年上半期を代表するボカロ曲としても数えられる事が多い名曲となっています。
スタイリッシュな楽曲を作る事に定評があるボカロP ツミキ。
本作においてもその作風は健在。
オシャレなピアノの旋律が奏でられたかと思えば、ドラムンベースのような重低音が激しく鳴り響くフレーズやテクノミュージックを思わせる一面を見せてきたりと、様々な音楽ジャンルを織り交ぜた、疾走感あふれるスタイリッシュな1曲に仕上げられています。
そんなスタイリッシュな旋律に乗せて、歌声を響かせる可不(KAFU)。
リズミカルな韻が踏まれた歌詞を歌いこなす様は、本当に機械のものなのかと疑いたくなる程の、流暢な発音の歌声となっています。
この見事な歌声に、多くのボカロファンが驚愕。
ツミキが見せる高い音楽性そのものが評価されると共に、「機械とはなんだったのか」「人が歌っているようだ」などなど、「声」に対する高い評価も受ける1曲となりました。
ボカロファンに、可不(KAFU)の人工歌唱ソフトとしての凄さを伝えた名作だといえるでしょう。
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生きる / 水野あつ
可不(KAFU)の名バラードソングとして人気を集めている1曲「生きる」。
ボカロP 水野あつが制作したピアノ弾き語り風の楽曲となっています。
曲名でもある「生きる」を題材に作られた本作。
「生きる」事に対する葛藤をストレートな言葉で綴った歌詞には、涙なしでは聴けない高い共感性が備わっています。
ピアノを主体としたシンプルで美しい旋律も、聴く者の涙を誘う1つの理由でしょう。
また、本作の最大の特徴として、可不(KAFU)の「リアルな息遣い」が感じられる、というものがあります。
本作の可不(KAFU)の歌声には、いたるところに、息を吸う、吐くといった「呼吸音」が取り入れられているのです。
そのリアルな呼吸音は、まるで本当に可不(KAFU)が呼吸をしながら歌っているかのよう。
より人間らしい、感情を込めた歌い方をしている印象を抱く歌声に仕上がっており、本作の歌詞が持つ共感性を高めている一因だといえるでしょう。
可不(KAFU)の見事な息遣いが生み出す、感情的な歌い方に魅せられるバラードソングです。
私のドッペルゲンガー / DIVELA
ボカロP DIVELA(ディヴェラ)による可不(KAFU)ソング。
DIVELA曰く、本作は「可不の歌」とのこと。
可不(KAFU)に歌わせている歌なのですから、これが「可不の歌」であるのは当然の事でしょう。
ですが、本作の曲名、そして歌詞の意味を深く見ていくと、そこに込められた本当の意味に気づく事となります。
本作の曲名は「私のドッペルゲンガー」。
ここで使用されている「ドッペルゲンガー」とは、ドイツ語で、自分とそっくりの姿をした幻を見る事を意味する言葉です。
歌い出しのフレーズにも「どうやら同じ世界に歌が嫌いな自分がいる」と、ドッペルゲンガーを指し示すような言葉が綴られており、本作の題材が「ドッペルゲンガー」である事が察せられます。
「歌を歌うのが嫌いな自分(ドッペルゲンガー)」に対しての思いが綴られている歌詞。
その内容は、まるで花譜の「音楽同位体」である可不(KAFU)が、花譜に対する思いを歌っているようにも取れなくもありません。
なぜなら可不(KAFU)にとって、自分のモデルにあたる花譜は、正しくドッペルゲンガーと呼ぶべき存在のはずだからです。
逆に言えば、花譜から見れば可不(KAFU)も、自分と似た声容姿をもつ、ドッペルゲンガーと呼べるような存在だといえなくもありません。
そのように捉えてみると、「可不の歌」というDIVELAの言葉が、「花譜というドッペルゲンガーに対する思いを歌った可不(KAFU)の歌」という深い意味を持った言葉に見えてはきませんか。
また楽曲内には、「歌を歌う」という役割を、ドッペルゲンガーと取り合っているような歌詞も多く綴られています。
それが一体どういった意味が込められた歌詞なのか、考察する人は後を絶ちません。
可不(KAFU)の存在意義について考えさせられる、深い1曲です。
ノスタルジック・ブルー/ Aqu3ra
ボカロP Aqu3ra(あくえら)による、爽やかな可不(KAFU)ソング。
可不(KAFU)=花譜という印象が強いからなのか、動画投稿サイトで公開されている可不(KAFU)ソングは、比較的花譜のオリジナル楽曲の雰囲気に近しい、仄暗く、繊細な題材を扱った楽曲が多い傾向にあります。
本作は、そんな傾向のある可不(KAFU)ソングの中では珍しい、爽やかな作風の楽曲となっています。
制作者であるボカロPのAqu3raは、本作のような爽やかな楽曲や透明度の高い澄んだ空気を持つ楽曲を作る事に定評があるボカロPです。
その為、楽曲が公開されたばかりの頃は、それまで公開されていた可不(KAFU)ソングの傾向からして、本当にAqu3raの作風と可不(KAFU)が合うのか、不安がる人々もいたぐらいでした。
ですが、そんなものは杞憂だとばかりに、Aqu3raの爽やかな曲調に可不(KAFU)の歌声は見事にマッチ!
逆に、Aqu3ra特有の爽やかで澄んだ空気を持つ楽曲を、可不(KAFU)の可愛く柔らかな歌声が完璧に歌い上げた事で、「爽やかな楽曲も、可不(KAFU)は歌う事ができるのだ」という、新たな認識を人々に与える事となりました。
Aqu3raらしさが活きる楽曲であると同時に、可不(KAFU)の新たな可能性も見せてくれた楽曲です。
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朝日 / 花譜 feat.可不(KAFU)
花譜と可不(KAFU)による、オリジナルデュエットソング。
「音楽的同位体 可不(KAFU)」が発売された、2021年7月7日に公開された作品です。
作詞作曲を担当したのは、カンザキイオリ。ボカロPやソロアーティストとしても活躍する傍ら、多くの花譜のオリジナル楽曲を作りあげてきた作曲家です。
編曲を行った大沼パセリも、花譜に楽曲提供をした事があるボカロPです。
本作は、そんな花譜の楽曲に携わってきたボカロP達による、珠玉の「花譜 feat.可不(KAFU)」ソングなのです。
また、花譜と可不(KAFU)、2人の歌声を共に聴ける事から、その歌声がどれだけそっくりなものであるかを、じっくりと感じられる1作でもあります。
単体で聴いても花譜そっくりだと感じられる可不(KAFU)の歌声に、花譜本人の歌声が合わさる事で、完成度の高さがよりわかりやすく伝わってきます。現代技術の凄さに感服せざるを得ません。
公開されたMVでも、リアルの世界を歩く花譜と、バーチャルの世界で生きる可不(KAFU)の視点を交互に織り交ぜた、バーチャル技術が発展した現代だからこそ可能な演出が行われており、目と耳、その両方で驚かされる作品となっています。
なおこのMVは、違う世界を生きる2人が、最後の最後に互いの世界を通して出会い、朝がやってきた現実世界で向き合う、というシーンで終わっています。
まるで、これからやってくる2人の未来が明るいものである事を示唆しているようにも見える、非常に感動的な風景です。
正に、可不(KAFU)の発売日に公開されるに相応しい1作だといえるでしょう。
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可不(KAFU)・まとめ
以上、可不(KAFU)の大人気楽曲達の紹介でした。
可不(KAFU)の発売から約3ヵ月が経過した、2021年10月現在。
動画投稿サイトでは依然、可不(KAFU)を使用したオリジナル楽曲の公開が次々と行われています。
また、可不(KAFU)公式によるイラスト・楽曲コンテストの開催、グッズ販売といった様々な活動も展開されています。
今、ボカロ界で一番の盛り上がりを見せているソフトだといっても過言ではないでしょう。
このままの人気でいけば、来年以降も話題のソフトとして人々から注目を浴び続ける事は、間違いなしです!
これから、どのような人気作を生み出す人工歌唱ソフトとなっていくのか。
今後の活躍に期待大です!
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