2021年も残すところあと少し。今年はボカロ界隈がとても盛り上がった一年でした。
ここで少し今年の出来事を振り返ってみましょう。
2021年にあった大きな出来事といえば、CeVIO AI 音楽的同位体 可不(KAFU)の登場です。
可不とは、バーチャルシンガー花譜の歌声をもとにした音声合成ソフトウェア。
CeVIO AIというソフトを使用するため、厳密にはボーカロイドではありませんが、広義のボカロと言っていいでしょう。
7月に発売されて以降、可不の今までにないかわいらしい歌声に多くの人が魅了され、数多くの楽曲が生み出されました。
また、9月に1周年を迎えた音楽リズムゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」(通称:プロセカ)の影響も見過ごせません。
有名ボカロPによる楽曲提供も行われ、次々とヒット曲を連発。もともとボカロを聴いていなかった層にもボカロ曲が届くきっかけとなっています。
さらに、「The VOCALOID Collection」(通称:ボカコレ)も春と秋に開催され、今年のボカロ界の盛り上がりの一端を担いました。
さて、そんな2021年のボカロ界隈では、果たしてどんな名曲たちが生まれたのでしょうか?
今回は、数ある名曲の中から、これだけは聴いておきたい10曲をご紹介します!
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目次
2021年ボカロ名曲10選
ヴァンパイア feat. 初音ミク/ DECO*27
DECO*27による「ヴァンパイア feat. 初音ミク」は、2021年のボカロを代表する一曲。YouTubeで3500万回、ニコニコ動画で280万回もの再生数を誇っている大人気の楽曲です。
多くの歌ってみた動画も出され、ボカロシーンに活気を生み出した一曲となっています。
3月9日、ミクの日に投稿されたこの曲は、小悪魔なミクのかわいさがギュッと詰まったラブソング。
好きな人の血を吸おうとするヴァンパイアの女の子が描かれています。
出だしの「あたしヴァンパイア」というキラーフレーズでハートを掴まれたら、もう逃れられません。ヴァンパイアの危険な魅力にハマってしまうこと間違いなしです。
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キュートなカノジョ / syudou
ここからは、期待のニューフェイス、可不の楽曲を2曲紹介していきます。
まずは、syudouによる可不の公式デモ曲「キュートなカノジョ」。
浮気がテーマのこの曲で、今まで初音ミクしか使ってこなかったsyudouが可不を使ったことで、「可不に浮気した」と話題になりました。
可不のキュートな声から紡がれるのは、狂気を孕んだ愛。不穏な雰囲気のこの曲は、歌詞、MV、可不の歌声のどれを取っても考察したくなる要素ばかりで、コメント欄は多くの考察で溢れています。
そして、そんな「キュートなカノジョ」の続編に当たる曲が「カレシのジュード」。
こちらも併せて聴くと、新たな面が見えてきて考察が捗るので、ぜひセットで聴いてみてください。
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フォニイ / ツミキ
続いて、こちらも可不の公式デモソングである「フォニィ」。ツミキによる楽曲です。
可不の、少し舌足らずで幼いような声に虜になる人が続出。かわいいだけでなく、どこか諦めや絶望を含んだアンニュイさもある可不の声は、この曲にぴったりです。
この曲のタイトルでもある「フォニィ」は、英語で「偽物」という意味。
全てが嘘でできているこの世界では、自分が何者なのかも分からなくなってしまう。そんな絶望を、軽快なリズムと可不の歌声で表現したこの曲は、可不の魅力を存分に引出した名曲だといえるでしょう。
エンヴィーベイビー / kanaria
「エンヴィーベイビー」は、今勢いに乗っている期待のボカロP、kanariaの4作目。
去年大ヒットした「KING」同様、2分ちょっとという短い時間で、耳に残って離れなくなってしまう、中毒性の高い曲です。
日本語詞でありながらも「GUMI English」を使用しているこの曲。「GUMI English」ならではの独特な発音や時々織り交ぜられる英語のリズム感が、クセになってしまいます。
また、kanaria自身による、「エンヴィーベイビー」×「KING」のマッシュアップも人気。
「KING」が好きな人なら必聴の一曲となっています。
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神っぽいな / ピノキオピー
ピノキオピーによるこの曲は、中毒性抜群のメロディ―と歌詞が特徴。
「神︎︎ ⤴︎︎っぽいな」と音の跳躍から始まるサビは、一度聴いたら忘れられません。
いわゆる「ボカロっぽい」、耳に残る流行りの曲調であるこの曲に込められているのは、なんでも「○○っぽい」と表現する薄っぺらい感性の聴き手に対する強烈な皮肉です。
心地よいリズムに乗せて、それっぽくてかっこいい言葉を並べ立てた曲を「神」と崇める視聴者。
それを揶揄して「○○っぽい」ものを詰め込んだこの曲が、YouTubeで800万再生を超える人気曲になるとは、また皮肉なものです。
MVのイラストも、神に仕える清らかな存在であるはずのシスターが、タバコや舌ピアスなどのアイテムを身に付けています。普段のピノキオピーのMVとは雰囲気が違いますが、あえて「ボカロのMVっぽい」イラストを描いているのでしょう。まさに「○○っぽい」ものでできているMVだといえます。
限りなく灰色へ / すりぃ
ここからは、「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」に提供された楽曲を4曲ご紹介します。
まずは、すりぃ作の「限りなく灰色へ」。
プロセカのユニット・25時、ナイトコードで。のために書き下ろされた楽曲です。
すりぃというと、軽快なバンドサウンドを主体とした賑やかな曲をイメージする人が多いでしょう。
しかし、本作の魅力は主人公の心の苦しさや葛藤が詰まったような、繊細ながらも力強いサウンド。そんな音に乗せて、才能がないことに苦しむ心の叫びを吐き出していく歌詞は、深く心に刺さります。
この曲は、プロセカのキャラクターが、才能がないと言われる中でもがき続ける姿とリンクしているのもポイント。ストーリーと併せて聴くとさらに感動が味わえる一曲となっています。
ぜひ、プロセカのイベントストーリーも読んでみてくださいね。
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トンデモワンダーズ / sasakure.UK
次に紹介するのは、sasakure.UKによる「トンデモワンダーズ」。
プロセカに登場するショーユニット・ワンダーランズ×ショウタイムへの提供曲です。
曲全体にいろいろな電子音が散りばめられていて、ワクワクがぎゅっと詰め込まれたようなポップな曲調は、聴いているとこちらも楽しくなってきます。
また、言葉遊びが楽しい歌詞も注目ポイント。終始ハイテンションではちゃめちゃな歌詞ですが、その裏には強いメッセージ性が感じられます。
そんな本作は、TikTokの踊ってみたでも流行しました。ワクワクの詰まったおもちゃ箱のようなこの曲は、つい踊りたくなってしまうのも頷けます。
ロウワー / ぬゆり
続いては、ぬゆり作の「ロウワー」。
プロセカのユニット・25時、ナイトコードで。のために提供された楽曲です。
エレクトロスウィングのリズムとflowerの声がマッチして、独特のかっこよさを生み出しているこの曲。
サビの「僕らが離れるなら 僕らが迷うなら その度に何回も繋がれる様に」という言葉とflowerの声から感じられる切実な思いには、胸がぎゅっとしてしまいます。
また、MVでは、二人で踊る魔女とメイドが印象的で、コメントで様々な考察がなされている一方で、プロセカの視点から聴くと、また違ったストーリーが見えてくるのも、この曲の魅力のひとつ。
多くの人を虜にしているのも納得です。
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シネマ / Ayase
YOASOBIの作曲担当としても活躍中の、Ayaseによるボカロ曲。
プロセカのストリート系ユニット・Vivid BAD SQUADのために書き下ろされました。
Ayaseらしいオシャレな響きや旋律が印象的な本作。
上手くいかない現実の中で、「いつになれば僕は主役になれるんだろうな」と悩む前半から、ああでもないこうでもないともがき、ラストの「最底辺から駆け上がった映画のようなストーリー」へと向かっていく姿は、胸に来るものがあります。
YOASOBIでは、小説をもとに歌詞を書いているというAyase。
この曲も、もとになるストーリーがあるという点では通ずるものがあります。プロセカのストーリーを読むとさらに楽しめるので、気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。
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パメラ / バルーン
最後にご紹介するのは、バルーン作の「パメラ」。
ボカコレ2021秋TOP100ランキングで1位を獲得した、ボカコレを代表する人気曲です。
須田景凪としても活躍しているバルーン。バルーンとしてボカロの新曲を発表するのは久しぶりだったため、ファンからは喜びの声が上がりました。
この楽曲は、軽快なリズムと、flowerならではの憂いを帯びた曲調が特徴。この曲で描かれている孤独の悲壮感が引き立てられます。
また、アボガド6によるMVも注目ポイント。特徴的な字幕や、少年が鮮やかな花に飲み込まれていく様子は、つい見入ってしまいます。
音楽面でも映像面でも、ボカコレのランキング一位にふさわしい名曲だといえるでしょう。
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まとめ
以上、2021年ボカロの名曲たちの紹介でした!
みなさんのお気に入りの曲は入っていましたか?
どれも心を掴む名曲ばかりなので、知らない曲はチェックしてみると、世界が広がるはず。
この機会に、今年一年を振り返ってみてはいかがでしょうか。
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