NakamuraEmi – 「日本の女性」を歌い続ける遅咲き女性シンガーとは…?

NakamuraEmi – 「日本の女性」を歌い続ける遅咲き女性シンガーとは…?

7月21日に6th アルバム「Momi」をリリースした、シンガーソングライターのNakamuraEmiさん。

ヒップホップを軸に、ブルースやジャズ、ロック、フォークからの影響を感じさせるサウンドや、何気ない日常の心情を織り込んだ楽曲で人気です。

山崎まさよしさん、秦 基博さん、スキマスイッチなどシンガーソングライターが多数在籍するオフィスオーガスタから、2016年にアルバム「NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST」でメジャーデビューしました。

今年はより精力的に活動しており、アルバム「Momi」の他にも、4月から3か月連続のシングルリリースや7月7日に行われた配信ライブ「七夕はそこへ。2021」と、どれもが好評です。

神奈川県厚木市出身で現在も住んでいるNakamuraEmiさんは、以前は社会人として働きながら本名の中村絵美として活動していました。

今回は、心に突き刺さる歌を聴かせてくれるNakamuraEmiさんをご紹介します。

NakamuraEmiとは?

働きながらメジャーデビューを夢見ていた


https://www.office-augusta.com

2016年のデビューアルバム「NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST」は、NakamuraEmiさんが33歳でのリリースでした。

オフィスオーガスタでは、元ちとせさん以来14年ぶりの女性アーティストのデビューです。

比較的遅めのデビューですが、それは20代前半から働きながら音楽活動をしていた為。

元々はヒットチャートのトップ10の曲を聴いてカラオケで歌っていた普通の音楽好きだったNakamuraEmiさんは、短大生の頃に出席番号が近かった同級生と軽い気持ちで始めたガールズバンドでヴォーカルを担当したことで、アーティストに憧れ始めました。

MEMO

このバンドの文化祭でJUDY AND MARYのコピーをすることになり、キーが高すぎて上手く歌えなかったのでヴォーカルスクールに通い始めました。ヴォーカルスクールで『高い声が出るね』と褒められて、音楽で食べていけるかもしれないと思ったそうです。

短大卒業後は保育士の仕事をしながら趣味としてヴォーカルスクールに通う生活を1年程続けましたが、次第にやっぱり音楽をやりたいと思うようになり、保育士を辞めてアーティスト活動に専念しました。

ですが、この時は活動が軌道に乗らず周囲からの反対もあり、一時アーティストの道を諦めてしまいます。

その後、事務職だと思って間違えて応募した日産のエンジン開発会社でエンジニアとして働き始めました。

ただアーティスト活動への意欲は衰えないままで、あるとき抽選に当たった教会での柴田淳さんのライブを見たときに、『やっぱり音楽がやりたい』と強く思い、再び音楽活動を活発化。

当初は中村絵美名義で、『人を感動させたい』と弾き語りでバラードを歌い上げるスタイルで、2011年頃からNakamuraEmiに改名したものの、目標としていたメジャーデビューを果たせないまま30歳手前になってしまいました。

『好きな音楽は趣味にして、安定した会社員になって働きながら、結婚して家庭に入るのもいいのかもしれない』と考えるようになっていた矢先に結婚も考えていた彼に振られてしまい、その寂しさや虚しさを吹っ切るようにますますアーティスト活動に力を入れ始めました。

NakamuraEmiはカワムラヒロシとの音楽ユニット

NakamuraEmiさんの楽曲は、NakamuraEmiさん自身の心情を綴っている歌詞と、プロデューサー・コンポーザーでギタリストのカワムラヒロシさんの2人で制作しており、実質的にはユニットとも言えます。

ヒップホップを取り入れた楽曲を収録した2012年リリースの1st EP「NIPPONNO ONNAWO UTAU vol.1」で、カワムラヒロシさんのバンドalosotimu(元カワムラヒロシNew Trio)にサポートをしてもらったのが最初です。

NakamuraEmiさんの歌を引き立ててくれる音数の少ないギターとグルーヴや、的確なアドバイスをハッキリと伝えてくれることからお互い信頼するようになり、カワムラヒロシさんから『プロデュースをしたい』と申し出て、NakamuraEmiさんは『カワムラさん色に染まるのは嫌ですよ』と答えて、2nd EP「NIPPONNO ONNAWO UTAU vol.2」からプロデュースを依頼しました。

オフィスオーガスタからベストアルバムでデビュー

NakamuraEmiさんによると、以前は『みんなを感動させたい』と言えるくらいに自分を綺麗に見せるためだけに音楽をやっていたそうですが、28、29歳のときに自分が言いたいことを言うヒップホップやフリースタイルで音楽を楽しむレゲエと出会ったことで、自分の為に歌うようになりました。

MEMO

プロフィールには出身地で在住している厚木(神奈川県・厚木市)を載せるようにしています。厚木のライブでレゲエと出会い、職場もほとんどが厚木です。

彼に振られた4~5か月後にオフィスオーガスタからメジャーデビューの話がきた際には、『ひとりでやっていくので大丈夫です』と断っていたNakamuraEmiさんでしたが、現在のマネージャーから勧められた同事務所に所属している竹原ピストルさんのライブを観てずっと号泣して『こんなにも凄い人がいるなら大丈夫』と、メジャーデビューを決めました。

MEMO

メジャーに足を踏み出せずにいたNakamuraEmiさんは職場で相談したところ、『その年齢で挑戦できるのは恵まれている。俺はバービーボーイズのファンだから、杏子さんがいるオフィスオーガスタなら安心だ』と、その人から言われたことも後押しになりました。

2016年1月のデビューアルバム「NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST」は、いくつものコンプレックスを抱え気が弱いと自称するNakamuraEmiさんが、「日本人の細やかな気持ちを持った、芯の強い女性」を目指して『いつかこういう女の人になりたい』と制作。

デビューアルバムにしてベストの名を冠した「NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST」は、インディーズでリリースされたNIPPONNO ONNAWO UTAU vol.1からvol.3までの総集編という位置づけです。

インディーズからの代表曲「YAMABIKO」をはじめ、NakamuraEmiはこういう歌を歌っていますと自信を持って言える曲を全て収録しようと「BEST盤」と銘打ったアルバムにしました。

メジャーデビュー後も「NIPPONNO ONNAWO UTAU シリーズ」を次々と発表しています。

パワフルなものから情景が浮かぶものなど幅広い楽曲と表現力で、アニメ「笑ゥせぇるすまんNEW」「メガロボクス」「ラディアン」やドラマ「ミストレス〜女たちの秘密〜」などのテーマソングにも起用。

NIPPONNO ONNAWO UTAUリリースツアーや、横浜赤レンガ倉庫にあるMotion Blue YOKOHAMAでの七夕ライブ(2021年はオンラインライブ)も開催しています。

歌とヒップホップのフロウを自在に行き来するオリジナルなヴォーカルスタイルが高い評価を得ています。

MEMO

以前オフィスオーガスタにいたアーティストが経営している、下北沢の居酒屋「おむかい」が打ち上げにも使っているたまり場のようなお店です。NakamuraEmiさんがオススメするメニューは、おむかい特製おかずサラダ、ブリと大根のテリヤキソテー、タンドリチキンステーキ、果物のフレッシュサワー、自家製ほうじ茶の生チョコなどです。

NakamuraEmiの経歴

シンガーソングライター中村絵美として、2007年に活動を開始。

ヒップホップ、レゲエ、ジャズなどの影響を受け始めた2011年にNakamuraEmi名義に変更しました。

カワムラヒロシさんのインストバンドalosotimuをサポートに迎えた、1st EP「NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.1」を2012年にリリース。

MEMO

CDジャケットは厚木にあるデザイン事務所「OHESO GARAGE」が手掛けています。

翌年に発表された、短編映画「usual colors」の書き下ろしテーマソング「HoHoHo」などを収録した「NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.2」より、カワムラヒロシさんがプロデュースを担当しています。

Augusta Camp 2014にオープニングアクトとして出演。

2015年7月7日にMotion Blue yokohamaでワンマンライブを自主開催し、以来ほぼ毎年七夕に同会場でワンマンライブを開催しています。

2016年1月、インディーズ時代の楽曲を再レコーディングしたベストアルバム「NIPPINNO ONNAWO UTAU BEST」でメジャーデビュー。

東名阪でのワンマンや、全国9か所のカフェをまわるツアーも開始しました。

2017年には、アニメ「笑ゥせぇるすまんNEW」のオープニングテーマ、鳥居みゆきさん主演の短編映画「ユキの異常な体質 / または僕はどれほどお金がほしいか」NHKの「T44 T54 ~パラアスリート×アーティスト【陸上編】~」など、多くの番組やCMに楽曲が使用され始めます。

同年に2nd アルバム「NIPPINNO ONNAWO UTAU Vol.4」もリリース。

翌2018年3月には3rd アルバム「NIPPONNO ONNAWO URAU Vol.5」をリリースし、Volkswagenとのコラボ曲「相棒」も発表。

2019年にも4th アルバム「NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6」とライブ盤「NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6 RELEASE TOUR LIVE!」、2020年2月にはデビューアルバム以来のベスト盤「NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2」と、アルバムリリースが続きました。

前年のアニメ「メガロボクス」と2019年の「ラディアン」のテーマソングも担当。

2021年になると、4月から3か月連続でシングル「私の仕事」「投げキッス」「drop by drop」と、ドラマParavi「にぶんのいち夫婦」のエンディングテーマ「1の次は」をデジタルリリースし、6th アルバム「Momi」と9月からは全国25公演を巡るアルバムツアーを開催します。

9月4日には、あいみょんさん、WANIMAなどが出演する音楽フェス「JOIN ALIVE 2021」への出演が決定しています。

NakamuraEmiオススメ曲

ヒップホップの影響もあり、楽曲制作は必ず作詞から始めます。

そしてギターでコードを並べメロディを付けて、カワムラヒロシさんに渡してデモテープを作り、バンドとスタジオに入り作り完成度を高めます。

NakamuraEmiさんの頭の中にあるイメージをさらにスケールアップしてくれるのが、プロデューサーのカワムラヒロシさんです。

かかってこいよ

ボクシング漫画「あしたのジョー」が原案のアニメ「メガロボクス」のエンディングテーマと、ゴルフに選手が賞金100万円をかけて戦う「ゴルフサバイバル」のオープニングテーマに使用されました。

アニメの脚本を読んだNakamuraEmiさんは、例えSNSでディスられたとしても振り回されてしまわないように強くいようと、『敵は自分自身』と思いながら制作。

「かかってこいよ」「立ち上がるんだ」と自身を鼓舞する歌ですが、NakamuraEmiさん自身は闘争心が無いタイプで根がネガティブの怖がりだそうです。

YAMABIKO

ベストアルバムにして1stアルバムの「NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST」で、最も印象的なのが「YAMABIKO」。

ミュージックステーションのYouTubeチャンネルの次世代アーティストにスポットライトを当てる企画「Spotlight」に、この曲のパフォーマンスとNakamuraEmiさんの紹介映像が公開されています。

アコギとMPCのシンプルな編成が、NakamuraEmiさんの表現力をより際立たせています。

私の仕事


だからさ やっぱり歌うよ
美しい言葉に 抱かれて
ちゃんと 息を吸って
私のためとは言いづらい

私の仕事は 私を強くする
私の仕事は 私を人にする
あなたにもらったこの声で
憧れを詰め込んで
憧れを

自分のためとは言いづらい仕事が人との繋がりであり自分を強くしてくれると、社会人も経験しているNakamuraEmiさんならではの仕事観が反映された、仕事の光と影を歌っている曲です。

幻影的な影絵のMVは合成ではなく、実際に光を反射させて制作しています。

ちっとも知らなかった

差別や排斥などのシリアスでヘヴィなテーマを持ったフランスアニメ「ラディアン」のエンディングテーマです。

アニメ制作陣の『静かに、でも、ひしひしと伝わるものを』というオーダーを受けて、NakamuraEmiさん達は壮大なストリングスが印象的なバラードに仕上げました。

投げキッス

コロナ禍によって、それまで当たり前だった学生生活を送れなくなっている学生、医療従事者や閉店に追い込まれてしまったお店などに、千羽鶴を折る様な気持ちで制作した「投げキッス」。

照明とカメラワークだけのMVがメッセージを力強く伝えてくれます。

最後に

パワフルで伸びのあるクリアなハイトーンボイスや表現力にますます磨きがかかり、ヒップホップから受け継いだ言葉の強度も増しているNakamuraEmiさん。

今年に入りより精力的に活動しているので、今後に期待大です!

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