近頃ぐんぐんと頭角を現し、アイドル界で旋風を巻き起こす風雲児とも言える事務所『WACK』。その『WACK』を牽引しているのが最近テレビなどにも露出の多い”楽器を持たないパンクバンド”BiSHです。
今年は年末の紅白歌合戦にも出演が決定し、アリーナライブを日本各地で行うなど今飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍している彼女たちですが、同じ『WACK』に所属するBiSというグループが彼女らの原点になっていることをご存知でしょうか。BiSは2度の解散を経てメンバーを変え、現在も活動しているWACKのアイドルグループです。
BiSHとBiSは同じグループだと思っていた…なんて方も多いと思います。
そこで今回はBiSHとBiSの違いを様々な角度から徹底解説!
名前が一文字違うだけですが、グループの成り立ちからパフォーマンスや音楽性まで全然違うアイドルなんですよ。
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目次
BiSH
プロデューサーが作った?BiSHの成り立ち
実はBiSHは1期BiSが解散した後、BiSのマネージャーであった渡辺淳之介氏が会社を独立し「BiSをもう一度はじめる」と宣言してBiSのサウンドプロデューサーであった松隈ケンタ氏と再び手を組んで始めたグループ。
BiSと全く同じプロデューサー、サウンドスタッフによって始められたので、音楽性・パフォーマンス共に最初はBiSの影響を色濃く受けていました。
同窓会とか僕は求めてないですし、
それだけとかいうひと
僕は来ないでほしいです。
ごめん自分勝手ですが、嫌味な人は嫌いなのでサービス業できません。
楽しみたいだけなんで。— 渡辺”ジュンジュン”淳之介 (@JxSxK) April 30, 2015
そのせいもありお披露目ライブには1期BiSのファンが多く押しかけたため、ライブ後にはプロデューサーの渡辺氏がこんなツイートを投稿していたことも。
渡辺氏の中でもBiSとはまた違うアイドルを作り上げていきたいという明確な意思があったようです。徐々にオリジナリティを確立していき、BiSHという新しいアイドル像が世の中に広く知れ渡るまでになります。
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BiSHの音楽性
- サウンドプロデューサーはBiSと同じ松隈ケンタ氏
- ロックを基調にしつつストリングスやピアノを用いた壮大な楽曲が特徴
- 初期はBiSの影響も受けたロック調の楽曲が多かった
- 過激な曲調や歌詞の曲も多い
「楽器を持たないパンクバンド」の肩書きで活動している彼女ら。楽曲もロックサウンドを基調としており、ロックファンも巻き込んで着々と人気を獲得してきました。
初期は元祖BiSにインスパイアされたパンクロック調のアイドルらしい曲が多く、BiSHにBiSの面影を感じるファンも多かったはずです。
デビュー曲『星が瞬く夜に』はBiSの『BiS』という曲から“行かなくちゃ”という歌詞が引用され、サビの振り付けも1期BiS最後の曲『FiNALDANCE』の要素を取り入れており、BiSの影響をかなり受けていることがわかります。『BiSをもう一度はじめる』というコンセプトで始まった彼女たちらしいデビュー曲です。
振り付けにBiSの『FiNALDANCE』の要素を取り入れているのはBiSの最後の曲とBiSHの最初の曲をつなげるイメージだったそうです。
その後、少しずつBiSHの代名詞とも言えるストリングスやピアノなどを使用した壮大なサウンドの楽曲が増えていきます。
BiSHを一躍有名にした名曲が『オーケストラ』です。
「オーケストラ新規」という言葉が生まれたくらいこの曲はBiSHのファン層を一気に広げました。ストリングスをメインに奏でられるメロディーは初期のBiSにはなかった壮大さや儚さを感じさせます。
BiSの延長線上にいるアイドルとして見られていた彼女たちが世間から一目置かれるようになったきっかけと言っても過言ではありません。
着実に人気を積み上げてきたBiSH、地上波への出演が増えキレイめなサウンドの曲が増えていきこのまま正統派アイドルの方向へ舵を切るかと思われていましたが、そんな予想を大胆に裏切りリリースしたのが『NON TiE-UP』です。
絶対に地上波では放送できない下ネタ満載の激しいロックチューンを世に放ちファンの度肝を抜きました。このようにいい意味で予想を裏切ってくる彼女たちの『予想不可能』な魅力が多くの人を惹きつけるのでしょう。
ロックを基礎に置きつつミディアムバラードからシャウトが入った激しく重いサウンドの楽曲まで幅広いジャンルの曲をリリースしており、それらを歌いあげるほどの表現力と歌唱力が彼女たちの人気の理由の1つです。
BiSと近い要素は多いものの、壮大さを感じさせる楽曲とジャンルの幅広さがBiSとの違いと言えます。
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BiSHのライブパフォーマンス
- 高い表現力と芸術性のある振り付けが持ち味
- ストーリー性がある振りやファンと一緒に踊れる曲も
- アイドルの枠に留まらず幅広いパフォーマンスを見せる
BiSHの振り付けはメンバーのアイナ・ジ・エンドが行っています。
歌詞に則しつつ、メンバーの動きの癖やファンが一緒に踊りやすいか等を考慮して振りをつけているそうで、ステージに立つ彼女だからこそできる振り付けと言えます。曲の世界観を再現した芸術的な振り付けとそれを体現できるメンバーの表現力こそがBiSHの大きな武器です。
『Life is beautiful』は特に物語性があり、楽曲のストーリーに合った振り付けがされています。
曲のテーマが「人生は共有できるけど、死は共有できない、それでも人生は美しい」というものでしたが、アイナは「そんなの悲しい、振り付けの世界観だけは死を共有したい」と思ったそう。
そこで人生を共にした夫婦を主人公にし、先に亡くなったおばあちゃんがおじいちゃんを天国から迎えに来るという振りにしたそうです。
人生を共にした夫婦をアユニ・Dとリンリンが演じており、その高い表現力ゆえ2人の物語が想像でき涙を誘われるパフォーマンスになっています。このような細かいこだわりの詰まったパフォーマンスが見る者を惹きつけるのです。
『FREEZE DRY THE PASTS』はもはやアイドルの枠に収まらないアーティストの域にあるパフォーマンスでファンをざわつかせました。メンバーの狂気をも感じるパフォーマンスは圧巻です。
初期はBiSを意識した激しいパフォーマンスも見受けられましたが、徐々にこのような芸術性が高く見惚れてしまう彼女たちらしいパフォーマンスが増えてきました。
『beautifulさ』はファンと一緒に踊れるライブの定番アンセムです。
作詞したリンリンが何を話しかけても中指を立ててきたというエピソードから付けられたそうで、ずっと指を立てている振りは誰でもすぐに踊ることができライブではとても盛り上がります。このようにファンも一緒に踊れる曲も多数あり、見てよし参加してよしのBiSHのライブパフォーマンスには定評があります。
アイドルらしい可愛いパフォーマンスからアーティスト然とした芸術性の高いパフォーマンスまで幅広いレパートリーを持ち、ジャンルに捕らわれず1つのライブで様々な顔を見せてくれるのがBiSHの強みだと思います。
アイナを中心に振り付けることにより統一感が失われずステージに立つ彼女ならではの細かい工夫やこだわりが詰まった振りになっているのでBiSHのステージはより魅力的に映るのです。
まさにBiSHはアイドルの枠に留まらない、アイドルとアーティストの間の立ち位置を確立した存在です。
ついに念願の紅白歌合戦への出演も決まり、今後のさらなる活躍が期待されますね。
BiS
アイドルが作ったアイドル?BiSの歴史
BiSを語る上では、グループの変遷を見ていくことが欠かせません。実は今活動しているBiSは通称3期BiSと呼ばれ、同じグループ名で何度もグループが組み直されているんです。
福岡繁華街にて
集客がヤヴァいのでチラシ配りなう。 pic.twitter.com/usJKlhYJUw— BiS−新生アイドル研究会-オフィシャル (@BiSidol) December 4, 2013
1期BiSはソロアーティストだったプー・ルイのアイドルをやりたいという発言を発端に公開オーディションを行い結成され、過激なパフォーマンスやプロモーションで人気を博していましたが、2014年7月横浜アリーナでの解散ライブをもって解散しました。
BiSTIFしゅ。
thanks!!次は、8/11(土)ヴィレッジヴァンガード渋谷本店 B2F
BiS1st→20:00〜
BiS2nd→16:00〜
よろ( ◠‿◠ ) pic.twitter.com/XOaUn5734Y— BiS−新生アイドル研究会-オフィシャル (@BiSidol) August 4, 2018
1期BiSの解散から2年後、プー・ルイとプロデューサー渡辺氏、松隈氏により新メンバーを募集しBiSを再結成。BiS1st、BiS2ndの2部制「BiS.LEAGUE」を導入し、様々な話題を呼びましたが再結成から3年後の2019年に解散、それに伴い再結成オーディションの開催が発表されました。
2nd SG『TOUCH ME / LOVE』発売記念リリースイベントしゅ。
お越しいただいた皆さま
ありがとうございました!!次は6/12(土)
"ENDLESS SUMMER BiS TOUR" @愛媛公演 です!!夏の全国ツアーもよろ。#BiSに触れろ#BiS終わりなき夏 pic.twitter.com/AD6tD96PXk
— BiS−新生アイドル研究会-オフィシャル (@BiSidol) June 3, 2021
そしてそのオーディションで選ばれたのが現在の3期BiSのメンバーです。
同じBiSという名前を冠してロックサウンドの曲を歌いつつも、1期、2期、3期のBiSは異なる色を持つグループだと言っても過言ではありません。
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BiSの音楽性
- ロックサウンドはずっと貫かれている
- 初期BiS⇒明るくアイドル性を感じさせる楽曲
- 2期BiS⇒エモーショナルな楽曲からゴリゴリのかっこいいロックサウンドまで
- 3期BiS⇒より明るくパンクロックの色が強い
初期のBiSは従来のアイドルのイメージを覆すロックなサウンドが基礎にありつつも、2期3期のBiSと比べるとまだアイドル色の強い楽曲が多く、パフォーマンスで過激さを演出している印象でした。
『BiS』は今のWACKのどのグループでも踏襲されている『行かなくちゃ』という歌詞が生まれたWACKのすべての楽曲の根底にあるような曲だと思います。BiSHや2期3期BiSと比べてロックの色は薄くアイドルらしさを感じる1曲です。
徐々にエモーショナルな曲やロックサウンドが前面に出た曲が増え、今もWACKのオーディションなどで歌い継がれる『primal.』や『nerve』といった人気曲を生み出しました。
2期BiSは1期のメンバーであるプー・ルイが始めたこともあり、最初は1期の音楽性を引き継いだ楽曲が多かったように思います。
中でもプー・ルイが2期BiSを始める際に発表した『BiSBiS』は『BiS』の行かなくちゃという歌詞を踏襲されており、BiSをやり直すというプー・ルイの意思が歌詞に表われている楽曲です。
メロディーも1期のBiSを彷彿とさせる疾走感やエモーショナルさを感じさせます。2期BiSは解散するまでかなりメンバーが入れ替わりますが、最後の9人のメンバーで再録もされている大切な1曲です。
プー・ルイが抜けたBiSはメジャーデビューをし、よりゴリゴリのロックサウンドの曲が多くなりました。その後メンバーが代わる代わるする中で様々な要素を含んだ楽曲を発表していきますが、最後のシングルとなった『Are you ready?』は2期BiSの混沌とした時代を象徴した楽曲です。こんなにいろいろな要素の詰まった曲を聞いたことがありません。
2期BiSが始まる頃にはすでにBiSHがデビューしており、BiSHといかに差別を図って売れていくか試行錯誤し苦しみながら突き進んでいく姿に惹かれていたファンも多かったはずです。
3期BiSは今までのBiSの音楽性を受け継ぎつつも明らかに一線を画した楽曲が多く、明るさを帯びた1990年代のパンクロックを想起させるメロディーが特徴です。
デビュー曲となった『どうやらゾンビのおでまし』は今までのBiSの歴史を感じさせる歌詞に初期BiSを思わせるキラキラしたパンクサウンドが用いられたアイドルらしさのあるロックソングでした。
1stアルバムに収録されている『STUPiD』や2ndアルバムに収録されている『BASKET BOX』は今までのBiSにはない明るさがあり、楽器隊のかっこよさが存分に堪能できるパンクロックサウンドの曲で、彼女たちの元気さや無邪気さがよく表れています。まさに3期BiSにしか歌えない楽曲です。
活動をはじめてまだ2年しか経っていませんが、徐々に今までのBiSとの違いや、BiSHとは違う良さを感じさせるようになってきました。
歌唱力は今までのBiSで1番高く、BiSHにも負けない実力を持っている彼女たち。今のBiSの良さは明るさや無邪気さ、見ているだけで元気になれるという点と、歌唱力の高さではないでしょうか。
BiSのライブパフォーマンス
初期からBiSも自分たちで振り付けを行ってきました。初期のBiSは自給自足をモットーとし、ライブのブッキングまで自分たちで行っていたそうです。その精神は今のWACKのアイドル達にも引き継がれています。
1期BiSの特徴はとにかく激しく、お客さんを巻き込んだパフォーマンスが持ち味でした。
こちらはノイズバンド非常階段とコラボした際のライブ映像ですが、とにかくなんでもありの客席を巻き込んだ演出は驚き以外の何物でもありません。この過激さが1期BiSらしさといえるでしょう。
2期BiSもメンバーの変化やリーグ制など様々な困難の中でも自分たちで振り付けを考えてパフォーマンスをしていました。
リーグ制の際は同じ楽曲にBiS1stとBiS2ndでそれぞれ違う振りを付けていた彼女たち。1期BiSと比べるとその過激さはありませんが、ライブ映像からも伝わる一生懸命さと儚さが2期BiSの魅力だったのかもしれません。
3期BiSにはダンス経験者がいなく、メンバーで協力して振りを考えているようです。
BiSHとの大きな違いは初見で一緒に踊れる振り付けが多いということ。
『LOVELY LOVELY』という曲のサビのにゃんにゃんダンスと呼ばれる振りはファンの間でも人気です。『LOVELY LOVELY』と同じく3期BiSの曲はどれも真似しやすい大きくわんぱくな振りになっています。これはプロデューサー渡辺氏の意向でもあるそうで、ずっとスクワットをしている曲があったり間奏中に組体操を組み込んだりなど1期2期のかっこいいBiSとも一線を画した元気なパフォーマンスが持ち味です。
結局BiSHとBiSの違いとは?
ここまでBiSHとBiSについて解説してきましたが、成り立ちから方向性まで全く違うグループだとわかりましたでしょうか。
- ・渡辺氏が事務所を立ち上げ作ったグループ
- ・ストリングスなどを多用し壮大さのある幅広い音楽性
- ・高い表現力・歌唱力で様々な顔を見せるパフォーマンスが魅力
- ・プー・ルイが始めたグループが形を変えて続いている
- ・楽曲の雰囲気やパフォーマンスはどんどん変化してきた
- ・1期からパンクロックを基礎にした音楽性は継承
- ・現BiSは高い歌唱力と元気なパフォーマンスが持ち味
BiSHとBiSはプロデューサー事務所、ロックをベースにしている音楽性などは共通しているけれど、成り立ちや方向性は全く違うグループなんだね!
今や全く違う魅力と実力のあるグループだからどちらも今後の活躍がたのしみだね
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