2022年3月9日にシングル「FLOW」を発表したPerfumeは、初夏には新作アルバムのリリースが決定しています。
Perfumeと言えば、あ~ちゃん、かしゆかさん、のっちさんのシンクロしたダンス、中田ヤスタカさんによるテクノサウンド、最先端の映像技術を駆使したステージパフォーマンス、そして先鋭的なMVをイメージする人も多いと思います。
そこで今回は、世界からも絶賛されているPerfumeのMVの中から、おすすめ10選をご紹介します。
目次
斬新で先鋭的な映像を生み出し続けるチームPerfume
チームPerfumeは、Perfumeの3人の他にも、Perfumeの3人が広島アクスターズスクールに通っていた小学校5年生からのダンスの先生で、演出振付家のMIKIKOさんが手掛ける独創的なダンスと、アート、デザイン、エンジニア、建築、映像、音楽などのクリエイターやプロデューサーらが多数在籍しているクリエイティブ集団Rhizomatiks(ライゾマティクス)の映像演出から構成されています。
MIKIKO
Perfumeの3人がシンクロしている特徴的なダンスを振り付けているのは、演出振付家MIKIKOさんです。
今では、BABYMETAL、椎名林檎さん、DAOKOさん、サカナクションなどの振付もしているMIKIKOさんとPerfumeの出会いは、MIKIKOさんが20歳前後でPerfumeの3人が小学5年生だった頃です。
MIKIKOさんは、アクターズスクール広島の第一期生だったPerfumeの3人の講師でした。
Perfumeの振付で一躍注目を集めると、ダンスカンパニーのELEVENPLAYを設立し、リオデジャネイロオリンピックの五輪閉会式での五輪旗引き継ぎ式の総合演出と振付を手掛けた他にも、AMD Award ’16の審査員特別賞、VOGUE JAPAN Women of the year 2017など受賞歴も多数。
星野源さんと新垣結衣さんを結び付けたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の、恋ダンスも担当しました。
多くの人気アーティストの振付もしているMIKIKOさんは、『Perfumeがいなかったら、私がやりたい振付を世の中に発することはできなかった。』とPerfumeへの想いを語っています。
約2年間のアメリカ留学を経験したことで、体型や、生まれ育った環境、文化のバックボーンなどの差を認識し、海外発祥のダンスを取り入れる際には、日本人らしい動きや内面を表現することを意識しているそうです。
Perfume3人のシンクロした華麗なダンスを実現する為には、
- 本番直前まで踊っているスクショを基に修正指示をこと細かく伝える
- 体全体を楽器であるかのように曲とのシンクロを意識する
- Perfume用の特注ヒールを履いてダンスと体の線を美しく見せる
この3つに特に気を付けています。
Rhizomatiks
アート、デザイン、エンジニア、建築、映像、音楽など各分野のクリエイターやプロデューサーなどが多数在籍しているクリエイティブ集団Rhizomatiksは、2010年からPerfumeのステージ演出に関わっています。
Rhizomatiksは、2006年にアーティスト・クリエイター・エンジニアの真鍋大度さんを中心に、東京理科大学の元同級生の齋藤精一さんと千葉秀憲さんで立ち上げました。
設立時から、IAMAS(岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)の元同級生堀井哲史さんや、東京芸術大学で講師をすることになった真鍋大度さんの前の講師でIAMAS卒業生でもある、石橋素さんも参加しました。
メディアアートや、広告、エンターテインメント、建築・都市開発など様々な領域で、最先端のテクノロジーを用いてリアルとバーチャルを横断し、研究開発と表現の追求を行っています。
RhizomatiksがPerfumeのステージ演出をするようになったきっかけは、Perfumeの活動当初からMVを多数手掛けている関和亮さんにプレゼンし続けていながらも中々受け入れてもらえなかったところ、2010年にMIKIKOさんから声を掛けられたことから。
Rhizomatiksの代表的な表現方法は、建物などの物体や空間に映像を投影するプロジェクションマッピング。
Perfumeのステージ演出でも、Perfumeの3人とプロジェクションマッピングが溶け合っているかのような、前衛的な映像表現で注目を集めています。
またPerfumeの世界進出プロジェクトとしてPerfume “Global Site Project”(Perfume Global Lab)も制作。
このプロジェクトにより、2012年の第16回文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門大賞、アルス・エレクトロニカのインタラクティヴアート部門栄誉賞を受賞するなど、世界中からPerfumeの先進性が高く評価されました。
PerfumeのおすすめMV10選
TOKYO GIRL
2017年2月にリリースされた23rd シングルで、ドラマ「東京タラレバ娘」の主題歌にもなった「TOKYO GIRL」は、前作から約1年3か月ぶりにリリースされました。
近未来の仮想東京とリアルな東京をミックスしたかのようなMVを手掛けたのは、2004年にインディーズでリリースしたシングル「モノクロームエフェクト」以降、2007年までのPerfumeの全MV作品と現在も度々手掛けている関和亮さん。
関和亮さんは、米津玄師 「サンタマリア」「フローライト」、嵐「カイト」、乃木坂46「帰り道は遠回りしたくなる」なども制作しています。
未来のエレベーターガール風の衣装を着たPerfumeも含めて、MVのコメント欄には『東京オリンピックの開会式ではこんな演出が見たかった』と、出演が有力視されながらも幻となったPerfumeの開会式出演を残念がる声も。
また、「東京タラレバ娘」主演の吉高由里子さんも友情出演しています。
FLASH
映画「ちはやふる -上の句- / -下の句-」の主題歌でもあるデジタルシングル「FLASH」は、合計20万ダウンロード以上を記録しているPerfumeのデジタルシングル最大のヒット曲です。
Perfumeの3人が登場しているイラストのジャケットは、「ちはやふる」原作者の末次由紀さんが描き下ろしました。
Perfumeの楽曲を手掛けている中田ヤスタカさんは、まだ音が入っていない映画「ちはやふる」を見ながら制作しました。
カンフーダンスがコンセプトのMVでは、静と動を表現したダンスと、光と影を描写している映像、柔らかい肌触りのオーガンジー生地とプリーツなどで、対比を表しています。
映像的な変化はほとんどなく、ほぼ3人のダンスだけを見せるシンプルなMVで、ダンスで使う筋肉とは違う筋肉を使わなければいけない振付だったこともあり、光る棒の扱いを殺陣の先生から教わるなど、撮影はダンスというよりは修業に近い感じだったそうです。
Time Warp
26th シングル「Time Warp」は、Perfume結成20周年とメジャーデビュー15周年を記念したプロジェクトPerfume 15th&20th anniv with you allのひとつとして、2020年9月にリリースされました。
この曲は、同年2月に東京ドームで行われた公演「Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome」の直後にレコーディングされた為、レコーディングはまだコロナの影響を受けることなく、リモートではなく普段通りに収録されています。
時間の早送りと巻き戻しがテーマの曲ということから、MVでも時間が巻き戻されます。
ゆっくり踊っていたと思うと急に動きが早くなったり、次々切り替わるカメラワークや、ダンサーとのコンビネーションなど、凝った演出のMVの為に撮影は大変だったのではと想像してしまいますが、編集作業が多い分ほとんどのカットが3テイクほどでOKが出たので、実際の撮影はかなり短時間で済みました。
かしゆかさんは、もしタイムワープできるとしたら、3人ともはっきりとは覚えていないPerfumeを結成した日付が知りたいそうです。
Spring of Life
移籍したユニバーサルミュージック内に新レーベルのPerfume Recordsを設立し、本格的に世界に向けて活動を始めた第1弾シングルが、2012年4月リリースの「Spring of Life」です。
この曲は、日本でのCD発売日と同日に世界50か国のiTunes Storeでも配信がスタートするなど、全世界一斉リリースの第1弾作品となりました。
Perfumeの3人がアンドロイドに扮したMVを制作したのは、サカナクションの「バッハの旋律を夜に聴いたせいです。」「夜の踊り子」「新宝島」「忘れられないの」といった数々の話題のMVや、Perfumeの「FLASH」「Time Warp」「ポリゴンウェイヴ」も手掛けている、今注目のクリエイティブ・ チームCaviarの田中裕介さん。
ライブではテクノロジーと融合しているテクノポップユニットPerfumeが、MVではまだ上手く表現しきれていないと思っていた田中裕介さんは、打ち合わせの際にスタイリストから言われた『服を光らせましょう』という言葉をきっかけに、3人をアンドロイドにする案を思いつきました。
この物語は、ハートのマークをきっかけに感情が宿り始めたアンドロイドの3体が、それまで操作されていたロボットアームにネイルを塗らせたり、オシャレをして、デートや合コンに行こうとした時に、邪魔だから抜いていかなきゃとコードを抜いてアンドロイドは停止してしまう、という悲しいエンディングを迎えます。
If you wanna
2010年後半から盛り上がってきた、ベースを前面に押し出した新しいEDMのフューチャーベースを初めて取り入れたのが、重厚なベースサウンドで支えられた暖かみのある、2017年8月リリースの24th シングル「If you wanna」です。
あ~ちゃんは『数年前なら中田ヤスタカさんのユニットCAPSULEでやっていた曲だったはず』と語り、アイドルグループの枠を超えた革新性やアーティストとしての自覚を持つPerfumeだからこそ発表できた曲とも言えます。
MVはCGによる宇宙船のシーンと、それ自体がメディアアートのようなLEDを使ったダンスシーンから構成されています。
Magic of love
3人が『Perfumeっぽい元気でかわいらしい曲』『Perfumeの王道』と口を揃えるのは、15th シングル「Spring of Life」のカップリング「コミュニケーション」に続きカンロ「ピュレグミ」のTVCM曲にもなった、2013年5月リリースの18th シングル「Magic of love」です。
「TOKYO GIRL」と同じく関和亮さんが制作したパラレルワールド風のMVでは、最初の歩いて入ってくる個所など、ダンスを逆から踊る逆再生ダンスをやってみたそうです。
口の動きまで合わせようと試みましたが、口を意識するあまりダンスのリズムが取れなくなって、再生するとカクカクしたおかしなダンスになってしまう為に、結局適当にパクパク動かしただけで撮影はOKに。
そんなふうに当初の予定通りにはいきませんでしたが、そのぎこちなさが不思議な世界観のMVに絶妙にマッチしています。
Let Me Know
7作目のアルバム「Future Pop」のリード曲として、当時レギュラー出演していたラジオ「Perfume LOCKS!」で初オンエアしたのが「Let Me Know」。
「Future Pop」は20代最後に発表したアルバムということもあり、MVでは3人のこれまでの道のりとこれからを表現しています。
ライブやメディアで見せている明るく元気なPerfumeとはまた違ったシリアスな演技や、MVのフルバージョンにある最後のアドリブの会話も見所です。
ポリゴンウェイヴ
俳優の大泉洋さんが司会を務めた、Amazon Prime Videoの覆面パフォーマーの正体を推理する番組「ザ・マスクド・シンガー」の主題歌になったのが「ポリゴンウェイヴ」です。
この番組には、パネリストとしてPerfumeも出演していました。
「ポリゴンウェイヴ」は、2020年12月に中田ヤスタカさんからの『目的を考えずに気軽に曲を録ってみよう。もしそれが良かったら何かに使えばいいし』といった提案を基に、曲ができたらスタジオでレコーディングを繰り返す中で完成した曲です。
中田ヤスタカさんも特に気に入っている曲で、Original MixやRemixなどいろいろなバージョンを収録した、Perfume初のEPとして2021年9月にリリースされています。
2021年8月14日、15日にぴあアリーナMMで開催されたライブでは「ポリゴンウェイヴ」が初披露されました。
このライブで使われた大きなポリゴンを動かしているのは実は人力で、中に華奢な女性が入って重くて大きいポリゴンを動かしているのが透けて見えた際に、『えっ?まさか人?』とみんな驚いたそうです。
無限未来
「ちはやふる -結び-」の主題歌「無限未来」も、「FLASH」に続いて映画「ちはやふる」の為に書き下ろされました。
MVの広大な自然に囲まれた場所は、MV撮影では初海外のグアムです。
足元が悪い高い崖の上や、30℃を超える猛暑、体が飛ばされそうになるほどの強風などダンスをするには適していない悪条件のなか、2日間かけて撮影されました。
テクノポップユニットのPerfumeはクールでスタイリッシュなダンスが多いですが、「無限未来」も暖かみのあるフューチャーベースということもあって、MVでは自然と調和したエモーショナルなダンスが見れます。
Cling Cling
先に、2014年8月から9月にかけてのアリーナツアーPerfume 5th Tour 2014「ぐるんぐるん」の開催が決まっており、ミニアルバム並みに4曲入りのシングル「Cling Cling」は後から制作されました。
この曲のタイトルは、あ~ちゃんが提案した「ぐりんぐりん」と、それから連想した「ぐるんぐるん」「くるんくるん」などの中から、Perfumeの3人で話し合って決めました。
「おてて つないでる」「つんつんつん」「るんるんるん」
といったわらべ歌のような歌詞が特徴的です。
チャイナドレスやサリーのようにも見える衣装や、アジアを思わせる喧騒に包まれている架空の街など、まるで映画のような壮大なスケールのMVはオリエンタルをコンセプトに制作されました。
このMVの美術監督を務めたのは、映画「スワロウテイル」「キル・ビル Vol.1」「THE 有頂天ホテル」「フラガール」や、スタジオジブリの「思い出のマーニー」など数々のヒット作に関わっている種田陽平さんです。
MVは、Perfumeの他にも、桑田佳祐さん、DREAMS COME TRUE、ポルノグラフィティ、奥田民生さんなどを手掛けています。
まとめ
表現の幅が無限のエレクトロニック・ミュージックとダンスを最先端テクノロジーと融合させているチームPerfumeだからこそ、あらゆる角度から多彩で革新的なMVが実現できます。
またロックバンドのカリスマフロントマンのような、絶対的なカリスマがいないということも、チームPerfumeのフットワークの軽さや柔軟さに繋がっているようです。
単にインパクトを求めるのではなく、より繊細で緻密な表現に移行しつつあるPerfumeに今後も注目です!