目次
2nd アルバム『CITY』(発売:2021年1月5日)
2022年1月5日に待望の2nd アルバム『CITY』がリリースされました。
「歌 ( 主人公 ) の数だけ物語があり、それが交錯する場所を “街(CITY)” と呼ぶ」をテーマに、1stアルバム同様ジャンルレス / ボーダーレスな楽曲を収録しました。
共通楽曲は、朝・夕方・夜・深夜の4つのセクションに分けられており、それぞれのシチュエーションに合ったInterlude(間奏曲)が差し込まれています。Interludeは、プログラミングを佐伯youthK、作曲をJamil Kazmi、Shinichiro Sakainoが担当しました。
また本作は「どこから始まっても流れが楽しめる音楽の聴き方」を提案しており、盤毎に共通楽曲のスタート位置が異なるのも大きな特徴です。
したがって初回盤Aは朝、初回盤Bは夕方、通常盤は夜から始まり、アルバム1枚で一日の流れを表現しました。
今回は、すでにご紹介したシングルの表題曲を除いた、アルバムオリジナル楽曲を一挙にご紹介します。
Rosy
このアルバムのリード曲が『Rosy』です。本作は、日本でも2022年1月7日から公開された映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、日本語吹替版の主題歌に起用されました。
大注目のスパイダーマンシリーズ最新作では、スパイダーマンの正体がピーター・パーカー(トム・ホランド)であることが全世界に知られてしまいます。その影響はピーター自身だけでなく、彼を取り巻く人々や環境にも急激な変化をもたらしていきます。
『Rosy』では「立ちはだかる運命に抗おうとする姿勢」が描かれており、今作の映画のストーリーと重なります。「スパイダーマン」とリンクしたような歌詞も聴きどころの1つです。
▼あわせて読みたい!
作詞・作曲したのは、SixTONESの『うやむや』も手掛けたイワツボコーダイです。ボカロ調の作風は『Rosy』にも表れており、歌詞には日本語特有の言葉遊びが散りばめられています。また作曲・編曲に吹野クワガタ、編曲に『NEW ERA』を手掛けたNaoki Itaiが参加しました。
振付を担当したのは、BTSの『Butter』の振付制作にも参加したダンスグループのGANMIです。語感のリズムが活かされた振付が病みつきになること間違いありません。その全貌は、こちらの「SixTONES – Rosy -Dance Performance Only ver.-」でお楽しみください。
初回盤Aには映像特典として『Rosy』のMV・メイキング・メンバーソロムービーが収録されています。
Odds
『Odds』は、洋楽のエッセンスがたっぷりと盛り込まれたディスコチューンです。
作曲・編曲したのは、グローバルな活躍を見せる韓国の音楽プロデューサーユニットCommand Freaks。最先端の流行を完全に捉えながら、楽曲の中にオリジナリティーも見出しています。
また、嵐の『Beautiful days』を手掛けたTakuya Haradaや、オランダのシンガーソングライターPhattとしても活動するRicardo Burgrustが作曲に参加。ディスコという非日常の空間とジャニーズらしいキャッチーさが融合した作品が完成しました。
全体は英語詞で構成されていますが、ここぞというところで日本語詞が混じっているのがこの楽曲の特徴です。言語は異なるものの不思議と発音の違和感はなく、日本語が英語の中に溶け込んで聞こえてきます。
作詞したのは、シンガーソングライターのMayu Wakisaka。『CITY』では、初回盤Aのボーナストラック『Cassette Tape』の作詞も担当しました。
彼女は近年、K-POPアイドルを中心に楽曲提供しており、NiziUの『Take a picture』やTWICEの『Candy Pop』『What You Waiting For』等、多くのヒット曲を手掛けています。
『Odds』は、可能性・勝ち目・勝算を意味します。ディスコを訪れた主人公は、フロアで意中の女性を見つけると偶然を装って彼女に接近。彼女の傍には他の男性がいるにもかかわらず「刺激が足りないんでしょ?」と言葉巧みにアプローチを仕掛けていきます。
印象的なのは「もし出会った順番が 違ったらと願うより Just rewrite the line(上書きするだけ)」というフレーズ。主人公が放つ自信と余裕に、陥落せざるを得ません。
WHIP THAT
SixTONESは、ジャニーズアイドルらしからぬ官能的な楽曲もいくつか発表してきました。今回ご紹介する『WHIP THAT』はその最たるもので、非常に攻め切った作品に仕上がっています。
作詞は天才凡人のMiNEとAtsushi Shimada。SixTONESには、これまで『Beautiful Life』や『Strawberry Breakfast』等を提供してきました。本作では情熱的な一夜の情景をバイタリティ溢れる表現で切り取っています。
作曲はAlbin Nordqvist・AdamAlexander・坂室賢一の共作です。Albin Nordqvistは『1ST』の『Special Order』、そして『CITY』では『Everlasting』も手掛けた音楽プロデューサーです。『Special Order』で見受けられた”場を支配する圧倒的な存在感”は『WHIP THAT』でも健在です。
『WHIP THAT』の最大の特徴は、全く異なる2種類の音楽で構成されている点です。
サビ前までは、ハモリとエフェクトを効果的に使用した、清涼感溢れる王道のEDMとなっています。その一方「Whip that…」というリフレインからはワイルドな面が全開。ここでモノトーンなリズムやメロディーを強調することで、それまでのポリフォニックな音楽とのギャップが生まれています。
対極の音楽が交互に出現することによって、ベッドまでの甘い誘惑と脳を揺らすような本能の絡み合いがダイナミックに表現されてます。
Everlasting
『Everlasting』は、1stアルバム『1ST』に収録された『Lifetime』に続き、出光興産のCMソングに起用された楽曲です。前回と同様、このCMにメンバーは出演しておらず、音楽だけで勝負した珠玉のバラードとなっています。
「Everlasting」とは永久に続く・不朽の・永遠のという意味です。作詞したCypherは、永遠に続く明日への希望を描き出しました。また『Special Order』や『WHIP THAT』を手掛けたAlbin Nordqvistに加え、Sebastian LestapierとAdam Sjostrandが共作曲しました。
2022年1月12日に公開されたThe First Takeでは『Imitation Rain』に続いて『Everlasting』を披露。一発録りという緊張の中、SixTONESは聴き手の想像力を際限なく掻き立てるような素晴らしい演奏をしています。
驚くべきは、メンバー全員が同じパートをカバーしあえるような高い歌唱力を持っているということです。
近年では、1人ひとりの歌声の魅力が更に引き出されてきたSixTONES。グループの音楽的な基盤が着実に固まってきたことで、彼ら自身がプラスアルファの表現を楽しんでいるように感じられます。
彼らは、まさに”SixTONES”という名を体現するグループへと成長しています。
8am
続いてご紹介する『8am』は、大好きな人と迎える朝の場面を切り取った楽曲です。
何と言っても、SixTONESの包み込むような優しい歌声が魅力的な本作には、起きがけに聴きたくなるようなチル系の雰囲気も内包しています。
作詞したJamil Kazmiは、ニュージャージー州出身のシンガーソングライター。両親の影響で14歳のころから楽曲制作をスタートしたJamilは、16歳の時に高校の同級生と組んだユニットで自主制作のアルバムを1万2千枚手売りした実績を持っています。
異なる文化に興味があったことから、約半年のタイ留学を経て立命館アジア太平洋大学に入学。日本語に魅了された彼は、そのまま日本でアーティスト活動をしていくことを決意し、2010年にメジャーデビューを果たしました。楽曲提供も意欲的に展開しており、ONE OK LOCKやReNといった人気アーティストの作品に携わっています。
日本語にこだわりを持っているせいか、Jamilが書く英語詞もまた日本人にとって身近に感じられる素朴さがあります。
「Sun sun sunrise with you 朝日は君と一緒に昇る」からは、僕にとって君の存在はまさに”希望”であり、太陽と同等かそれ以上の価値を見出していることが伝わってきます。
『8am』で感じられる多幸感は、Jamilの言葉の選び方が大きく影響しているのでしょう。
そして、本作を作曲したのは、Simon JanlovとDaniel Caesarです。特にSimon Janlovは、Kis-My-Ft2『CHUDOKU』や嵐の『Doors ~勇気の軌跡~』『Daylight』等、ジャニーズグループの楽曲を多数書き下ろしてきました。
『8am』はシンプルな楽器編成とアレンジによって、歌詞をよりクリアに浮かび上がらせています。常にベースが快活なリズムを刻んでくれるので、1日の爽やかな始まりを予感させるような躍動感も特徴です。
Ordinary Hero
『Ordinary Hero』は、直訳すると「平凡なヒーロー」という意味です。街中の雑踏から始まるこの楽曲は、どこかアンニュイな雰囲気が漂うCITY POPです。
幼少期に夢に描いていたのは、いつでもハッピーエンドにしてくれる勇敢なヒーローでした。大人になった今では、かつての憧れとリアルな自分を比べてため息をこぼしています。
しかし、形は少し違っても、明日を迎えるために今日を頑張れる自分も十分カッコいいんじゃないか。『Ordinary Hero』は、たとえ本物のヒーローのように派手じゃなくても、日常で頑張る人すべてが自分を肯定できるような楽曲に仕上がっています。
作詞したgbは、日本育ちのアメリカ人シンガー/ラッパー。Kool &The Gangの創設メンバーであるジョージ・ブラウンを父に持ち、2008年にはThe New Classicsとしてメジャーデビューを果たしました。
2019年から本格的にソロ活動を開始し、Spotifyを始めとした各種配信コンテンツを通して注目を集めました。2021年には、ダンスグループ「Local Campione」が、TikTokにてgbの『STRESS』の音源を使用したことで若い世代を中心に大流行しました。
作曲は、Andy LoveとALYSAが共作しました。Andyは、TWICEの『YES or YES』や安室奈美恵の『Golden Touch』等を手掛けたロサンゼルス在住の音楽プロデューサーです。
ジャニーズではV6の『PINEAPPLE』やSexy Zoneの『LET’S MUSIC』等、ファンの間でクオリティーの高さが話題になった楽曲を数多く作曲しています。
『Ordinary Hero』の全体的なテンションは基本的にニュートラルですが、サビからはパーカッションのわずかな変化でギアを上げています。AメロBメロで引き算の構成が出来ているからこそ、サビがより引き立つアレンジになっています。
Your Best Day
『Your Best Day』は、SixTONESが出演するエイブル 2022年春のCMソング。現在「言いたいことはひとつだけ」篇 と「イメージを現実に」篇 の2つが公開されています。
『Your Best Day』は、SixTONESのアイドルらしい一面が垣間見られるPOPな楽曲です。
”何かいいことが起こりそうな気がする” というポジティブエネルギーに溢れた楽曲なので、聴けばテンションが上がること間違いありません。
作詞したのはMASAYAとMarcello Jonno。MASAYAはNissy『トリコ』の他、EXILEグループの楽曲に携わってきました。Marcello Jonnoはサンパウロ出身のシンガーソングライターで、自身の楽曲では作詞・作曲・編曲だけでなくミックスやマスタリングまで幅広く手掛けています。
歌詞の中には、息抜きをするきっかけや視野を広げるためのヒントが散りばめられています。「憧れの誰かと比べて立ち止まるなら お決まりのルーティーンたまには変えてみないかい?」という提案も、自然と胸の中に入ってくるような言い回しが魅力的です。
作曲はRob Derbyshire・ Hanif Sabzevari・Yoko Hiramatsu。そして編曲はNaoki ItaiとHayato Yamamotoが担当し、グルーヴィーかつ爽やかな楽曲に仕上げました。
冒頭からリズミカルなクラップ音で盛り上がれるので、コンサートでもファン参加型で楽しめる楽曲となっています。時折登場するMo-mo-moveやGro-gro-grooveも思わず一緒に叫びたくなる合いの手です。
Cメロの「We gotta keep it up」からは、歌の旋律とバックサウンドが同じリズムを刻み、同調している様子が伝わってきます。『Ordinary Hero』が平日のイメージだとすると『Your Best Day』は晴天の休日を思いっきり満喫するイメージが浮かび上がります。
Fast Lane
『Fast Lane』は、疾走感溢れるドライブミュージックです。
作詞したのはnana hatori。彼女がSixTONESに楽曲提供するのは、4thシングル『僕が僕じゃないみたいだ』に収録された『Call me』に引き続き2度目となります。前作では、切ない三角関係を全編英語詞で書き綴りました。
『Fast Lane』も英語詞中心の楽曲ですが、『Call me』とは全く異なるテイストになっています。「Fast Lane」には、追い越し車線や高速車線、出世街道や出世コースという意味もあり、人生と重ね合わせたような表現が多々見受けられます。
本作では、主人公と君がお互いの存在だけを全身で感じながら、見知った街を最高速度で駆け抜けていきます。「目指していく先は Infinity」という歌詞から、無限の可能性を目掛けて走り続けていることが分かります。
▼WORKS
2022.01.05 本日発売‼️
SixTONES 2ndアルバム「CITY」収録の「Fast Lane」作詞させていただきました!疾走感溢れる都会のドライブソングとなっております🌆✨
以前書かせていただいたCall meとは全然違う雰囲気で、これもまた良い😳👏是非楽しんでもらえると嬉しいです💎#SixTONES_CITY pic.twitter.com/0R7pWZCoi4
— nana hatori (@nanahatori) January 5, 2022
作曲は、福田貴史とMayu Wakisakaの共作曲で、編曲も福田が務めました。彼はこれまでAKBグループや坂道グループに楽曲提供してきた他、クリス・ハートのアルバムでは20曲以上に渡る編曲を手掛けています。
Wakisakaは、自身もシンガーソングライターとして活動する傍ら、国内外を問わず意欲的に楽曲提供しています。『Odds』でもご紹介した通り、K-POPへの造詣が深いコンポーザーである彼女は、最先端の音楽の流行も敏感に吸収しながら作品に取り入れています。
『Fast Lane』では、80sサウンドを盛り込むことで、迷いなく突き進む様をダイナミックに演出しました。「Interlude-Sunset-」の1曲目となるこの楽曲では、メジャーとマイナーの間でコード進行が揺れ動き、日没に向かう哀愁も漂わせています。
Good Times
共通楽曲の最後にご紹介するのは『Good Times』です。SixTONESは、今までに無かったゴスペル調という新しいジャンルに挑戦しました。
作詞はTSUGUMIと『Your Best Day』も作詞したMarcello Jonnoです。
TSUGUMIは、これまで『love u…』『So Addicted』『Cofee & Cream』『Bella』をSixTONESに楽曲提供してきました。
聴き比べていただければ分かるように、彼女の作品はそれぞれ芯を持った楽曲でありながら、まったく異なるテイストに仕上がっています。
作曲を手掛けたのは、音楽クリエイターチームFuture UnisonのSteve Rusch・Mischa Mandel・Thom Mackenです。また『NEW ERA』を作曲したNaoki Itaiが編曲で携わっています。
ピアノで奏でられるコード進行は基本的に変わりませんが、メンバーの声が重なる度に一体感が増し、楽曲の雰囲気も変化していきます。
初回盤Aの特典映像には、Everlasting~Good Times-Live with Coir ver.-が収録されており、ゴスペルの魅力がふんだんに盛り込まれています。本作は、演奏者や聴衆すべてに幸せを共有できるような楽曲に仕上がっています。