【全曲レビュー】SixTONES（ストーンズ）- 歴代シングル曲の順番やカップリング曲、アルバム曲、ユニット曲を完全網羅！

5thシングル『マスカラ』（発売：2021年8月11日）

マスカラ

SixTONESが待望の5thシングルを2021年8月11日にリリースしました。表題曲『マスカラ』を手掛けたのは、King Gnu/Millennium paradeの常田大希です。第一線を駆け抜ける常田とSixTONESのコラボが実現した『マスカラ』は、今、最も熱い視線を集めている楽曲です。

軽快なテンポ感とは裏腹に、繊細に描かれる歌詞は1人の男のリアルを浮かび上がらせます。恋人とのすれ違いから、いつの間にか恋愛に臆病になり、希望を持てなくなってしまった主人公。「終わりがあるのなら 始まらなきゃ良かった」というフレーズには、彼の本音と嘘が半々に織り交ぜられているのでしょう。楽曲中に登場するカップルは、いつの間にか一緒にいることが当たり前になり、今や満たされない事に慣れてしまっています。平気なふりをしながらも彼との関係の変化に気づいていた彼女は、人知れず枕を濡らします。主人公は、彼女のマスカラが取れてしまったことで、初めて彼女が抱える寂しさに気づくのでした。

この楽曲の魅力は、とにかくリアルな質感が至る所に散りばめられていることです。冒頭では、倦怠感や色気を含んだ表現で男性心理を見事に映し出し、サビに向かうにつれて主人公の本当の気持ちが溢れ出すようなメリハリがあります。MVではカットが切り替わるごとにSixTONESのメンバーが入れ替わり登場し、6人で1人の男を演じています。AメロBメロのアンニュイな雰囲気から一転、サビではギターを掻き鳴らすような振付と共にエモーショナルに歌い上げます。

傍にいる人と向き合うことを忘れてしまった切ないカップル、その行く末に待っているのはハッピーエンドかバッドエンドか。お互いが勇気を出して素直になれた時に初めて、その関係性は彼らにとって良い方向に変わっていくのでしょう。『マスカラ』は、これまでとは一線を画した新しいタイプのラブソングなのでした。

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フィギュア

５thシングル『マスカラ』の初回B盤と通常盤に収録された楽曲が『フィギュア』です。作詞・作曲を担当したのは、今引く手あまたのボカロP、くじら。2019年4月からYouTubeで本格的に活動を開始したくじらは、これまで数々のヒット作を生み出してきました。2019年11月にyamaとの初コラボで『ねむるまち』を発表。同年12月に公開した『金木犀』では、後に『うっせえわ』で社会現象を巻き起こすこととなるAdoをボーカルに起用しています。2020年にはyamaから初のオリジナルソングを作りたいという提案を受けて『春を告げる』を制作、絶妙な言葉選びと歌声の調和がエモいと大きな話題を呼びました。

くじらの楽曲制作の特徴は、メロディーやコードではなく歌詞から先に書くことです。言葉の持つ力を最大限引き出し、歌詞により深みを持たせるのがくじらの強みです。SixTONESの『フィギュア』でも、冒頭から伝えたいテーマが明確に浮き彫りにされています。「裏切らないものを 僕らずっと探して生きている」という歌詞は、まさに理想を具現化した「フィギュア」を適確に言い表しているフレーズです。しかし、つづく「だらしない自分に 終点を見ている」という歌詞からは、自分自身に対して諦めの気持ちや、何の希望も持てない相反する感情が見て取れます。

歌詞だけを辿っていくと、この楽曲の主人公は物事に対して冷めきっている人物にも見えますが、曲と合わせて聞いてみると印象ががらりと変わます。シティ・ポップの軽快なメロディーや洗練されたコードが、この深いテーマを心地よい所まで浮上させてくれるのです。すると、何事にも諦めていたように見えた主人公が、自分らしく生きていくために試行錯誤してるキャラクターであることが分かってくるのです。

『フィギュア』のMVは、SixTONESにとって『うやむや』以来となる全編アニメーションです。イラストを手掛けたのは、世界的に活躍している香港在住のイラストレーター、リトルサンダーです。そして、アニメ―ションを手掛けたのは『うやむや』を担当したえむめろ。新進気鋭のクリエイターが集結し、想像力を掻き立てられる映像に仕上がっています。

また、YouTube限定パフォーマンス企画「PLAYLIST –SixTONES YouTube Limited Performance-」では、完全撮りおろしされた『フィギュア』の特別パフォーマンスが公開されています。このためだけに組まれた豪華なセットや映像演出、そして何よりもこの世界観に違和感なく融合したSixTONESの最高のパフォーマンスは必見です！

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Make Up

『Make Up』は5thシングル『マスカラ』の初回A盤に収録されたカップリング曲です。別れてしまった恋人への未練と後悔を切なく歌い上げています。

作詞を手掛けたのは、John H.。今作がデビュー曲となる彼はロサンゼルス出身で、日本語と英語を巧みに操るバイリンガルです。『Make Up』も全編英語詞の楽曲ですが、これまでのSixTONESの楽曲に比べても分かりやすい英語表現となっています。その柔らかい口ぶりから、主人公が恋人に優しく懇願するように語りかけている様子が伝わってきます。

作曲に携わったのはGrant Boutin、Patrick“j.Que”Smith、Shelby Kemper、Xanseiです。特筆すべき点をピックアップしてご紹介しましょう。Grant Boutinは、2014年に若干16歳でデビューしたサンディエゴ出身の音楽プロデューサーです。彼の楽曲の特徴は、美しく温かさを感じられる電子音楽です。現在もSoundCloudをはじめとした様々なソーシャルメディアを通して積極的に活動しています。Patrick“j.Que”Smithは、グラミー賞にノミネートされた経験もあるベテラン音楽プロデューサー。ブリトニー・スピアーズ、ジェニファー・ロペス、ビヨンセといった大人気歌手に多数楽曲提供してきました。SixTONESの楽曲クレジットを見てみると、制作者の年代も出身も多種多様です。幅広い価値観を噛み砕きながら集約することで、より多くの人に共感してもらえる楽曲に繋がっています。

『Make Up』では、もうこの関係は修復できないと分かっていながらも、縋ろうとしてしまう「男の弱さ」を情感たっぷりに描きました。まさに適材適所なメンバーの歌割りにも注目して聴いてみて下さい。

Lost City

『Lost City』は、5thシングル『マスカラ』の通常盤に収録されたカップリング曲です。この楽曲では、全てをほしいままにしてきた主人公が、「君」と出会ったことで初めて感じるトキメキと渇望を描いています。

この楽曲を手がけたクリエイターは、これまで何度もSixTONESの楽曲を手掛けてきたトラックメイカーばかりです。作詞は、Page Grace。彼は、5thシングル『マスカラ』に収録された『フィギュア』の作詞も務めています。また、SixTONESの代表曲の1つとなった『NEW ERA』や、トロピカルな『Lemonade』、そして田中とジェシーのユニット曲『EXTRA VIP』等の作詞もしています。

作曲したのは、TOMOKO IDAとChris Meyerです。TOMOKO IDAがこれまでに提供した『So Addicted』『love u…』『Coffee & Cream』『Bella』では、幅広い音楽ジャンルを盛り込み、SixTONESの魅力を多角的に引き出してきました。Chris Meyerは『NEW ERA』に収録された『Life in color』『Lemonade』、そして森本と髙地のユニット曲『My Hometown』の作曲を担当しました。

『Lost City』は、ジャズヒップホップの要素を取り入れたエモーショナルな楽曲。冒頭では主人公が「君」と出会い、一瞬にして恋に落ちた衝撃を鮮烈な音楽で表現しています。いつの間にか彼女は街から姿を消してしまい、主人公は満たされない心を持て余しながら、今もどこかにいる「君」を捜し求めるのでした。楽曲全体を通して漂う大人の深みと艶やかな印象が魅力的な楽曲です。